ナム・アルサディエル
夜の行軍を行い連合軍陣へと馳せ参じる翔達。
流石に疲労感が溜まっている面々にアキトは三人に少し休めと提案する。
「どうせ作戦までは時間がある。休める内に休め」
「アキトさんは?」
「俺は…ほら、余裕あるから気にしなくていいぞ」
余裕があるという無茶な言葉に翔は心配をするが他人の心配は不要とアキトから説き伏せられて翔達はテントで一休みするのだった。
アキトはタウロスと今後の作戦について話し合う。
「敵は平地に展開している。敵の兵器も来ているとの情報だ」
「ナム・アルサディエル…どんな性能しているんだろうな。いや、その前に敵の陣容を打ち破らないとな」
「斥候を向かわせている。無事に戻ってくれば…」
タウロスも緊張した声色でアスケラの時の二の舞にならない事を祈りつつ敵陣がある方角を睨みつける。
アキトは少し休むかとタウロスの気の張りようを気遣うのだった。
ーーーーー
朝になり斥候が這々の体でキャンプへ戻って来る。
タウロスが歓喜してテントから飛び出す。
「無事だったか!」
半数を失いつつも情報を持ち帰ってきた斥候をタウロスは労いつつ報告を聞く。
陣容についての報告をアキトは聞きつつ敵の兵器について聞きたがるが中々出てこないで焦らされる。
「陣容は以上です…ナム・アルサディエルについて、それと思われる物体も確認しています」
(それだよそれ!知りたい情報)
「あれは巨大な投石機…的確に狙ってきて着弾地点を爆破してきます」
自動照準付き爆弾投石機だと聞いてアキトは腕組みして対策を考える。
(突破するならバリアでゴリ押し…か?遠方にいる間は攻撃されるが近寄ればアスケラと同じで撃てなくなるはず…)
タウロスはアキトを見て軍団の犠牲を減らしつつ戦う術はあるのかと確認する。
「俺も流石に軍団を守らる程のバリアは張れないからな…精鋭で突撃して機能停止させるしかないな」
「うーむ…バリアか…魔法部隊で援護しながらか」
連合軍側も作戦を練っているようでアキトは睡眠明けの翔達に突撃部隊だぞと伝えに行くのだった。
「なーんて寝起きで突撃しなきゃいけないのよ!」
「覚醒者の身体能力使って爆撃は避ければいいから」
「無茶言うなー!」
激しいツッコミをアキトに叩き込む黒鴉、敵の情報を聞いて翔達は何とかなると思い始める。
「アキトさんの言う通りなら氷のバリア張れるアキトさんが有利ですよねぇ…」
有利と言われてアキトは口を尖らせ刀を翔に渡す。
「そんなに言うなら特攻隊長させてやるよ」
「え!?…アキトさんは…?」
「もう一本ある」
刀を見せつけ苦い顔をする翔に氷雨を渡し背中をバシバシ叩く。
結局翔を先頭に兵器に向けて進軍する事になるのであった。
「どーしてこんな事に…愚痴を言っても仕方ないか…」
翔は意を決して先陣を切る。黒姫達が後に続いて走り出すと遠距離攻撃が早速飛んでくる。
「なんか…来た!」
砲弾が翔の進行方向に着弾するように飛んできて早速防壁を展開する。
「氷雨!氷の壁だ!」
氷の壁を展開し爆弾を受け止める。着弾、大爆発し氷の壁が砕かれる。
しかし翔達は無傷、そのまま進軍を再開する。アキトが分析し翔に伝える。
「連発は出来ないみたいだな。上手く進軍すれば敵は攻撃出来なくなるはずだ」
「了解、盾は俺がやる。皆で一気に進もう」
次々と飛んでくる爆弾を的確に防ぎきった翔達はモンスター部隊に接敵し交戦開始する。アキトが注意を促す。
「翔、気を付けろ。モンスターごと爆撃してくるかも知れねぇぞ」
「そんな非道な…うわ、本当に来た!」
アキトの忠告通り攻撃が飛んできて氷の壁を咄嗟に展開し防ぎ爆破でモンスターが吹っ飛ぶ。
モンスター退治をしながら進んでいくと遂に兵器の全貌が見えてくる。
巨大で生物的な要素が織り込まれつつも不気味なデザインのソレに嫌悪感すら感じる。
「あれが…ミリディエム、ナム・アルサディエル」
「倒すぞ!」
アキトが羅刹を握りしめて飛び出す。黒鴉も負けじと前に出る。
「姉さん!」
黒姫は姉を心配するがモンスター退治に手がいっぱいになっていた。
近距離は爆撃出来ないだろうと踏んだアキトだったが魔法で迎撃してくる。
「っち、魔法もしっかり備えてますよってか?!」
「退きなさいアキト!私がやるわ!スプラーッシュ!」
黒鴉は白鯨を呼び出して水圧ビームで一気に攻勢に出る。大きく姿勢を崩す兵器、帝国兵達も何が起きたと驚く。
「このまま押し切ってやる!」
突出しようとする黒鴉の攻撃に翔が雷怨も呼び出しサポートする。
「黒鴉!飛び出しすぎだ!」
「前に出ないと勝てないわ!」
口論している暇はないとペースを合わせろと黒鴉に言われて翔もアキトも仕方なく従い攻撃を合わせる。
連合軍が戦線に加わりいよいよクライマックスという所で黒鴉と翔の水雷の攻撃に合わせてアキトがナム・アルサディエルを一刀両断する。
「ああ!良い所持って行くなー!」
「チンタラしてるのが悪いんだよ!」
アキトに挑発されて黒鴉は憤慨するが帝国兵がまだ残っているとアキトは突撃していき黒鴉は足を止めてしまうのだった。




