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神の下僕は世界を救いたい  作者: D沖信


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ミリディエム

連合軍側が諜報によって得た情報をアキトはタウロス(つて)で耳にする。


「兵器は全部で六体、帝国軍はそれらをミリディエムと呼んでいた」


「ミリディエム…」


「ああ、意味は分からないがそう呼ばれている。そして六体の兵器はそれぞれ『アスケラ』『ナム・アルサディエル』『ヌンキ』『プリマ・トゥ・アルサディエル』『カウス・ボレアリス』『ポリス』と名付けられている…」


全く名前に統一性が無いなと呟きつつアキトはメモを取る。


「アルサディエルが被ってるな…何か意味があるのか?兄弟機とか…」


「分からない。我々が得られたのはコードネームのみ、兵器の詳細は不明のままだ」


「分かった。今後兵器が戦場に出るようなら俺達が対処する。そういうのも対応する専門業なんでな」


冒険者としてではなく救世主としての役目をアキトは笑って説明するがタウロスは流石に調子に乗っているのではないかと(いぶか)しむのであった。


ーーーーー


アキトは入手した情報を酒場まで持ち帰り翔達と共有する。


「…えっと、それが兵器の名前…ですか?何か統一感が全くないですね」


「だろー?何なんだろうな」


翔とアキトが首を捻っていると黒姫が小さく手を挙げる。


「あの…一部なら分かります。カウス・ボレアリスとか多分、星の名前です。もしかしたらアスケラも…えーっと星座までは覚えてませんが」


意外ね、と黒鴉が妹をつっつく。


「何よアンタそういう知識あったの?」


「べ、別にいいじゃないですか…ちょっとだけですよ…?」


アキトが腕組みして少し考えてから丁度いいと呟き指を鳴らす。旅行鞄が出てきてアキトは神鳴と相談する。


「よーし、ちょっくら調べてくれ、もしかしたら攻略のヒントになるかも知れねぇ」


メモ書きを旅行鞄に食わせて神鳴を使って地球の叡智インターネットを利用して調べさせるのであった。


数十分後、神鳴が調査結果を旅行鞄越しに吐き出し渡してくる。


「おっと、早かったな。流石!」


旅行鞄はフフンと得意気なポーズを取る。


「インターネット様々だな」


アキトの次の言葉に旅行鞄のドツキツッコミが入るのであった。黒鴉はやれやれと呟きつつ調査結果のメモをアキトから奪い確認する。


「えーっと何々ー、『アスケラ』『ナム・アルサディエル』『ヌンキ』『プリマ・トゥ・アルサディエル』『カウス・ボレアリス』『ポリス』はいて座の一部である南斗六星の星の名前…だそうね。これだけ?」


「いて座。成る程ちょっと聞き覚えがあったのはその為ですか」


黒姫が納得してポンと手を打つ。黒鴉はメモを睨見つけた後旅行鞄にもう一度確認する。


「これだけ?攻略の情報は?」


アキトがツッコミを入れる。


「ンなもんあるかよ。星の名前を符号にした兵器ってだけだろ」


「ミリディエムは?」


黒姫がチラッとメモを確認する。


「ラテン語で南方を意味するみたいです」


役に立たない情報しかないじゃないとツッコミを入れる。翔が苦笑いして話す。


「ま、まあとにかく名前の由来は分かったな」


アキトも頷いて肯定する。


「そうだな、だがそれが分かったという事は敵はそういう知識があるって事だ」


「また随分とマニアックですね…」


普通は知識として覚える必要のない星の名前を覚えてるなんてと翔はついツッコミを入れてしまうのだった。

ここまでの話を踏まえてアキトが総括する。


「名前の由来、敵の知識を知ったのはいいが、兵器の詳細が分からないのが残念だがな…兎に角、次の戦いに備えて訓練するか?」


三人は嫌な顔をしてアキトの言う訓練とは?と渋い顔をする。


「そりゃもう依頼よ依頼。ちゃんとやるぞ」


もうやると決めているアキトの勢いに任せて翔達は仕事をやらされるのであった。


ーーーーー


一仕事を終えたアキト達の元へ兵士が連絡に来る。


「アキト殿、タウロス様からの伝言です。『ナム・アルサディエル』が新たな戦地にて起動したとの報告が入りました。すぐに対策会議に参加お願いします」


「分かった。すぐに行こう」


四人は急ぎ会議の場に向かう。


「来たか、敵の一軍が前回奪った陣の先に展開している。最悪総出で動かれて都市まで肉薄する可能性がある。対策をしなければならない」


「兵器の出撃も…?」


「そうだ、諜報員からの連絡が入った。兵器のコードは『ナム・アルサディエル』…詳細は残念ながら不明だ」


情報が無いことにアキト達は残念がるが戦うべき敵がやって来たことに険しい顔をする。

アキトは夜になった外を確認して進軍を提案する。


「善は急げだ、今のうちに本隊を移動して迎え討つ準備を整えよう」


「もう動くんですか」


翔が夜の進軍について疑問に思うがアキトは得意気に指を立てて語る。


「兵は拙速を尊ぶ、だろ?」


黒鴉がアキトの(ことわざ)を解説する。


「孫氏ね、多少の粗があっても迅速に行動をすることが成果に繋がる…と」


「迅速丁寧にじゃないのか…」


「それが一番よ?でも出来ないから速度を優先するのよ」


翔は成る程と頷く。こうして一同は今夜の進軍の話に乗っかり行軍を開始するのであった。

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