兵器アスケラ
翌朝、早朝から行軍を開始して軍事都市から兵器が存在する山間部へやってくる。
敵の姿はまだ見えないが翔達は斥候部隊に混じり兵器の調査と破壊を目的に動く。
「出発前に確認だ、斥候部隊が情報を持ち帰れるように援護する事、兵器の破壊は狙うが無理なら撤退も視野だ」
アキトが指示を出して全員が頷く。タウロス率いる後詰め部隊の到着までに任務を完了するぞと意気込み進軍を開始する。
先発隊が全滅したという情報から慎重に進軍する一行、翔達は上下左右しっかりと確認しながら一歩一歩確実に歩みを進める。
道中モンスターが出現して対処をする。
「コイツラは野生か?帝国の回し者か?」
翔の疑問にアキトが考えて答える。
「野生じゃねぇか?兵器の攻撃に味方を巻き込むのは勿体ないだろ?」
「…たしかに」
そんな会話をしていると周囲が焼け焦げ爆破されたような跡がありここで先発隊が攻撃されたのだと察する。
アキトは歩みを止めて周囲を見渡す。
「…俺の危機センサーがビンビンに反応しやがる。全員動くなよ?」
アキトを先頭にして全員が足を止める。
意を決してアキトが前に一人で進む上空に巨大な傘状の何かが揺らめき出現しビームのような物が放たれる。
「氷雨!」
氷雨がアキトが呼ぶ前に氷雨は攻撃に反応し氷の防壁を展開する。
爆発、氷の壁が破壊されアキトはよろめきつつ投擲で上空の敵を攻撃する。反撃のビームで投擲物はかき消される。
翔達は呆気に取られて反応が遅れるがすぐに武器を手に加勢する。上空の傘状の何かを全員で魔法攻撃する。しかし効果が薄く感じられる。
「コイツがアスケラ!?」
「参ったな攻撃が通用しねぇ!」
アキトも苦戦を強いられる中でアスケラの傘の持ち手部分がゆっくりと翔達の方を向く。
「マズい!散開だ!」
アキトの声に遅れて全員が慌てて移動を開始する。直後無差別にビームが放たれて翔達を攻撃してくる。
「うわっ!」
爆風に翔がふっ飛ばされる。
「翔君!…よくも!」
黒姫がデスを飛ばして鎌で攻撃を試みる。攻撃は当たるがキンッキンッと弾かれるような音が響く。
「硬い!」
「砲塔は弱点じゃねぇのか…」
アキト達の攻撃を受けてもピンピンしているアスケラに黒鴉が痺れを切らして最大出力のウォーターカッターを放つ。
「すぐに風穴空けてやるわ!」
翼膜のような傘部分を重点的に攻撃する。アスケラは攻撃を受けて軽く揺らぐ。
「効いた!」
揺らいだ勢いで天高く飛んでいき霞のように姿をくらませてしまう。
「っち、逃げた!」
「落ち着け、今がチャンスだ」
「撤退するの?」
黒鴉は情報の持ち帰りを優先するのかとアキトに尋ねるがアキトは進軍を提案する。
「このまま攻め込む」
「敵の規模も分からないのに?!」
「外の力と断定する。攻めるぞ」
アスケラを完全に秩序と均衡を破る危険な外の力と見たアキトはこのまま帝国の一団を打ち破ると決めたのだった。
「今下がればまた砲台を構えられる、今しか攻めるチャンスはない」
翔が咳払いしながら立ち上がり空を見上げてから返事をする。
「分かりました。行きましょう」
「勝手に決めて!斥候部隊しかいないのよ?」
黒鴉の言葉にアキトは時間が無いと答える。
「後詰めは待てない、兵団も俺達がやる。行くぞ!」
ーーーーー
砲撃エリアを抜けて進軍する一同は帝国の展開させたモンスター部隊と接敵していた。
この程度なら余裕であると翔達は戦闘を繰り広げる。
兵士達は上空からの攻撃が来ないか怯えているがアキトの最初に言った味方を巻き込む事はないと言った通り攻撃はやって来なかった。
「敵とは肉薄し続けろ!離れれば的にされるぞ!」
アキトの言葉に兵士達は否が応でも戦いを強いられるのであった。
モンスター部隊を押し返す少数精鋭に帝国の兵士達も気付く。
「マズイぞ!敵が接近してくる!」
「アスケラを起動しろ!モンスター共を壁にして敵軍を破壊し尽くせ!」
非情な作戦を取ることを決定する帝国軍、何か無機質な生物とも機械とも言えない球状の何かに命令を始める。
アキト達がモンスター部隊を半壊させたタイミングで上空に再びアスケラの砲台が出現し斥候部隊はパニックに陥る。
「っち、モンスター部隊は切り捨てたか…斥候部隊は総員撤退!俺達だけでやるぞ!」
「そんな無茶な!」
アキトは無茶な作戦を取り味方を撤退させる。
砲台はどちらを攻撃するのかと迷った様子だったが少ししてアキト達に狙いを定めてくる。
「無理せず散開!」
三人は散開してビームの攻撃をアキトに向けさせる。氷雨のバリアで攻撃を防ぎつつ黒鴉が上空を攻撃する。
アスケラが二発目を構えている内にアキトはモンスターの一団を突破してそのまま敵陣に突入する。
敵兵を蹴散らしながら球状の本体をアキトが見つける。その異質な存在にアキトも思わず足を止めてしまう。
「コイツは…いや、コイツが!」
アキトは迷いなく刀を使い一閃、本体を切り捨てると上空の傘が大きく揺れ動きボロボロと崩れていく。
帝国軍は兵器が打ち倒されたと知り散り散りになって逃走を始めるのであった。




