作戦立案
情報収集を終えて合流した一行は酒場で食事がてら成果の報告をし合っていたが先にアキトが傭兵として内部に潜り込んだと語ると黒鴉が半ギレする。
「ちょっと!どういう事よ!?ガッツリ武力介入するって事!?」
黒鴉の怒りっぷりにあたふたと困惑する翔と黒姫。アキトはそんな中でも冷静に黒鴉の言葉を否定する。
「誰もそこまでするとは言ってない。必要な情報を得たら…」
「んな事許される訳ないでしょ!おバカもテキトーも極まるとクレイジーになるわね!」
散々な罵倒を受けてもアキトはケロッとしている。
「いつもやってるやり方だ。気にするな」
「気にするわよ!私達まで巻き込んで!」
「おっと、その場に居合わせた翔はともかく二人は巻き込んだ覚えはないぞ」
それは詭弁だと黒鴉は怒りっぱなしであった。姉がこんな調子でまくし立てていたら話が進まないと黒姫はまあまあと姉を宥める。
「私達もそれなりに商人づてに情報を集めてきたので聞いてください」
黒鴉は感情的になって止めようとするが理性で何とか抑えてモゴモゴと何か言いたそうになっていた。そんな黒鴉を置いて話が始まる。
「帝国に関する話ですがどうやらモンスターを使役して尖兵に使っているそうです。後は帝国の立地が難攻不落の山岳要塞になっている…という事くらいでしょうか」
「なるほど、戦争仕掛けるには不利なわけか…」
アキトは少し考えて話題のタネを得たとほくそ笑む。
「それにモンスター相手ならお前らも気兼ねなく戦えるだろ?」
「武力介入の正当化にならないわよ」
そういう問題じゃないと黒鴉は溜め息をついてアキトの開き直りに呆れかえる。
取り敢えず拾えた情報をまとめる翔。
「帝国が各地で戦乱を起こそうとしていることは事実でモンスターを尖兵に使っていると…そして、こちらから攻めるのは難しい…と」
「今わかってるのはそれぐらいか、救世の為に帝国潰せな話って訳じゃないのが面倒くさそうだな」
アキトは他人事のようにボヤく。
黒鴉も面倒くさくなって適当な事を言い出す。
「はぁ、帝国じゃなくて魔王とかだったら楽なのに…」
「ハハッ、黒鴉もジョークの一つは言えるじゃないか」
「アンタのせいで凄い悩まされてるんですけど?!」
頭が痛いと黒鴉は額を押さえるのであった。
ーーーーー
翌日、一同揃って訓練所に顔を出す。
レオンが兵士達の指揮を執っていてアキトが来たのを見て手を止めて挨拶してくる。
「昨日は居なかったメンバーがいるようだが…」
「黒鴉と黒姫、二人とも実力は保証する」
「まぁ二人増えた所で変わりはないか…」
レオンは若干の困惑はしたもののアキト殿が保証するならと黒鴉達を歓迎する。
「帝国がモンスターを使役すると聞いたが事実か?」
「本当だ、奇怪な術でも使うのかモンスター共を引き連れている…厄介な事だ」
既に何度か交戦したことがあるように語るレオンに事は性急な話なのだと全員が察する。
「モンスターが相手なら冒険者の領分ですよね」
翔がアキトに確認するように語り掛ける。アキトは小さく頷きレオンに確認を取る。
「敵の野営地などが分かるなら今すぐにでも遊撃するが…」
「本当か!実は近場の要所で陣を築かれていて困っていたのだ」
レオンは来てくれとアキト達を案内し地図のある部屋に通される。
「敵の陣はここ、山間部の開けた場所にある」
近くの山の谷間に陣地があると言われてアキトは真剣に聞いていた。
黒鴉が地形から面倒くさいことを察して溜め息をつく。
「攻め手は正面しかないわね、狭い道で軍隊は動きづらいでしょうね」
「作戦は一つだな」
アキトは黒鴉の意見を踏まえて答えを出す。
「少数精鋭での夜襲」
「でしょうね」
アキトと黒鴉だけで話が進み翔と黒姫は意見を出す暇がない。
「姉さん後方は…」
「同じね、狭い谷間の通り道、山を迂回して攻める利点は無いわ」
翔が今度は意見を出す。
「逆落としは?」
「あれは陣の後方を突くから効果があるのであって…わざわざ山から降りながら戦う利点は無いわ。大体馬にでも乗ってないと崖を降りれないっての…」
翔は論破されて苦し紛れに指を立てて意見を出す。
「じゃあ誘き出しは…」
「却下、細い道を敵がわざわざ遊撃相手に出てくるとは思えないわ」
黒鴉は腕組して他に意見はと翔と黒姫を見て二人はありませんと答える。
「少数精鋭で陣地を攻める。決まりだな」
アキトは武力介入する気満々な様子で話を進めるので黒鴉がアキトの足を踏んづける。
「あくまでも私達はモンスターの退治と遊撃!戦争の領分は隊長さんが指揮して頂戴」
人殺しまではしないとあくまでも冒険者の立ち位置をしっかりさせる黒鴉にレオンは頷いて戦は任せておけと答えるのであった。
テントを出て作戦開始の為に移動を開始する一行。
アキトはニヤニヤして黒鴉を褒める。
「割とノリノリで作戦立案するじゃないか」
「ふざけないでよ、私はやるべきことをしただけ…」
茶化されそうになって黒鴉は憤慨する。
「誘い出しよりも突撃を選ぶ辺りらしいな」
「私、何事も攻めの姿勢が好みなの」
アキトは自分の戦い方を否定された気がして頬を掻くのだった。




