認識汚染
仕事を終えて部屋に戻った翔は情報収集としてパソコンへと向かう。
(そういえば…ドゥーマーも今回の敵も外に出てたのなら事件になってるはずだよな…?ちょっと調べてみるか)
カタカタと検索開始する翔であったがどうしても情報がヒットせず腕組して考える。
(ワードがダメか?もうちょっと…考えて…)
色々試すがそれっぽいニュースは一切出てこなくて首を傾げるのであった。
(これは…情報統制ってやつか?消されたって事か?)
少し疑念を抱いてしまう翔はもしかしてと自分達が遭遇した空間の亀裂についても調べてみる。
(もしかしてこの前の事件も…?)
当然見つからず類似例も出てこない。
(無い…消されたのか事件にすらなって無いのか…)
そんな事までするのかと翔は目を丸くするのであった。
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翌日ラウンジで調査した事を話すと二人は今更調べたのかという顔をする。
「今更ぁ?初日に調べるでしょ?本当に動画しか見て無かったの?」
「うっ…ちょっと気になって…」
アキトは怒る黒鴉を宥めつつ自分の話もする。
「大トカゲも狂気の殺人犯も見つからなかったか…まぁ俺も火を吹く犬だとかいくら調べても出てこなかったしな」
「私も変なトランプについて商品として出回った事例すら無かったわね…」
二人の言葉に翔は少し肩を落とす。
「やっぱり消されてるんですかね?」
「だろうな」
あっさりアキトが答える。黒鴉も同じ意見で肩を竦める。
「嫌になるわね、情報統制する組織なんて」
「おいおい、社会が混乱しかねない危険な存在を収容する事になってるんだぜ?そんなの表沙汰に出来ないだろ」
「それは…そうかも」
渋々受け入れる黒鴉であった。
エリスが現れて今日の仕事について話しに来る。
「お疲れ様です。皆さん神妙な顔をしてどうかしましたか?」
さっきまで話していた情報統制について黒鴉が愚痴をこぼす。
「情報統制?についてちょっと話していてね…アナタ達もよくやるわね」
「当然の事です。社会の混乱を避けるためにもアノマリーの存在は秘匿されて然るべきです」
だよなとアキトは頷き翔もそうなんだろうなと考える。黒鴉だけまだ納得が薄いようであった。
「外に情報があれば何か収容のヒントとかになりそうだけど…」
「一部はそれでいいかもしれませんが危険なものもあるんですよ。情報に触れるだけで精神の汚染が起こったりするものとか…」
「そんな危険なモノが…あるのね…」
黒鴉は唖然として危険過ぎるそのアノマリーに三人揃って震え上がるのであった。
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アキトの仕事として今回はまた別のアノマリーの調査をしに来る。
「で、今日の調査内容は?またワンちゃんのお散歩か?」
「いえ、今日はまた別のアノマリーです。管理番号130、かわいい猫ちゃんです」
「か、かわいい猫ちゃん?…それ本当に猫か?」
アキトの疑問にエリスは「鋭いですね」と確実に意味ありげな反応を示す。
研究室に入る前にエリスは何かのゴーグルを装着する。
「なんだそのゴーグルは…」
「認識汚染対策ゴーグルです」
「認識汚染…?俺のは?」
エリスは大丈夫ですからと笑いながら研究室に入りアキトも仕方なさそうに後に続く。
研究室の中には確かにかわいい黒猫が居て毛繕いしていた。
「…猫、だな…」
「ふふ、猫に見えますよね?」
「だがわかるぞ。猫じゃないんだな?」
気配は猫の大きさじゃなくアキトは腕組して少し考える。
「チーター…いや、もっとガッシリとした…虎か?」
「ブラックジャガーです」
「ジャガー…また変化球だな…」
クワーっと欠伸する黒猫にアキトは目を擦る。
「何度見ても猫だ…」
「ゴーグルすればちゃんとジャガーに見えますよ」
「貸してくれ」
エリスがゴーグルを外してアキトに手渡す。アキトはスチャっと装着すると黒猫は大きなジャガーに変化しアキトはまばたきする。
「ジャガーだな…」
「はい、猛獣です。という訳でご飯タイムです」
エリスは大きな生肉を冷蔵庫から取り出しアキトに手渡す。
「俺があげるのか!?」
「そうですよ。あ、ゴーグルは返して下さいね」
ゴーグル無しで生肉を捧げるのかとちょっと震える。
(まあ猛獣如きに負けるわけはないんだが…どうなるんだコレ…)
サイズが違うのにどう食べるのか気になってくる。
「はい、観察して経過報告をお願いします」
「お、おう…分かった」
アキトは実験室に入り興味津々な猫の前に生肉を置く。
素早い動きで肉に齧り付く猫、生肉が歪んでバクバクと食されていく。
「エリス?あー、えーっと…肉の方が歪んで猫に吸い込まれてく…うわ、猫と同じくらいの大きさの肉がみるみる内に…」
『ゴーグルで見る限り普通なんですよね。はい、観察ありがとうございます』
黒猫は食べ終わって満足したのかアキトを一瞥したあと丸くなる。その後さっさと帰れと尻尾をビタンビタンさせる。
「はいはい、帰りますよっと…」
「お疲れ様です。どうですか初めての認識汚染は?」
「幻覚攻撃は受けた事あるが…リアルだな…」
エリスはフフッと笑ってお仕事完了とハンコを押すのであった。




