戦士の休息
帰還したアキト、まったりとしたい所だが魔法学院の学食にて目の前では翔と黒鴉の押し問答が繰り広げられていた。
「さあ浜松、再戦よ再戦!」
「絶対に嫌だ」
アキトは目の前の光景に頭を痛める。
「なんでウチに来てまで夫婦漫才してんだよ」
「夫婦じゃないわよ!…どっちかっていうと義兄弟?」
「俺は理由を聞いているんだが?」
呆れながら確認する様に聞くと翔が経緯を語り出す。
地球での戰の一戦以来完全にリベンジに執着されて追い掛けられていて逃げ回った結果だという。
「熱いライバル関係ってか?羨ましいねぇ」
「全然良くないですよ!」
翔は困り顔になってしまい黒鴉は逃さないぞと完全に狙いを定めていた。
「次回の戰でリベンジマッチよ!イエスと言うまで帰さないわよ!」
「いや迷惑だから帰れ」
異世界来てまで追いかけっこするんじゃないとアキトは溜め息混じりに呟く。
「しかし神鳴が嬉しそうに首突っ込みそうな話なのに居ないのは珍しいな」
アキトの疑問に答えるように神鳴が疲れた顔をして現れる。
「その問答には飽きたわ。勝敗は付いてるし」
「だから私はリベンジするのよ!」
何としても勝ちで終わらせたい黒鴉は拳を震わせて戰への思いを熱く語ろうとする。
「大観衆の前で勝利の喝采を浴びてこそ神藤なのよ、無様に敗着したままなんてあり得ないんだから!」
そこへ黒鴉を探して黒姫と神華がやってくる。
「姉さん!やっと見つけました」
「社長、業務にお戻り下さい」
二人の登場に黒鴉はたじろいで逆に逃げだそうとする。
「し、仕事なんてアンタ達がやればいいのよ!」
「ダメです!翔君に迷惑掛けてまで仕事をサボろうなんて許しません!」
黒姫は姉の襟首をガっと掴まれて逃さない体勢にはいる。
「浜松!なんか言いなさい!助けなさい!」
「そのまま連れてってくれ、俺の安寧のために」
「浜松ぅー!」
茶番を見せられているアキトは下らないものを見るような哀れみの目線を送るのであった。
黒鴉が連れ帰られて翔はホッとして自分も帰ろうとする。
「あー、ちょっと待て翔」
「はい?」
アキトは何か思い出したように翔を呼びとめる。
「次の救世の旅の準備しとけ、俺アレ使っちゃったから」
アレと言ってフルパワー使った事を語る。
翔はそれを思い出しフルパワーを出させた敵が何だったのか気になってしまう。
「本気出したなんてどんな敵が…」
「まぁ…その…実質?国一つ相手にした」
「へ?…何してるんですか…」
アキトの破天荒な行動に翔は呆れてしまい神鳴は「ああ、アレね」と苦笑いする。アキトは取り敢えず言い訳をしておく。
「俺は悪くねぇよ?ただちょっと意見の食い違いが発生して?仕方なく?だから俺は悪く無い」
「それで国一つに本気をぶつけるなんて…恐ろしい」
「約束を守らない帝国が悪い。うん。そうだ。俺は悪く無いんだ」
いくら正当化しようがフルパワーを使った事は嘘にはならず神鳴に肩をポンと叩かれる。
「でも結局使ったわよね?」
「お前が使えってオススメしてきたんじゃないか」
「使えとは言ってないわ」
神鳴の言い分に「そりゃねーぜ」とアキトは肩を落とす。
「と、まぁそういう事だ。またすぐに救世の旅をする必要があるわけだ」
授業終わりの神楽がそこにやってきてアキトに詰め寄る。
「なーにぃ!?また旅に出るの!?」
「うお!?…誓約だから仕方ないんだって」
「子供達の事もたまには面倒を見てほしいんだけど?」
父親の努めも果たせと詰められてアキトはたじたじになる。そんなアキトの姿を見て翔はぼんやりとした未来図を思い浮かべる。
「父親かぁ…」
翔が思い悩む姿に神楽は翔を指差す。
「そうよ!翔君だって黒姫ちゃんと蜜月な時間をねぇ!」
「それは、そう」
アキトは冷や汗垂らしながら翔達の時間も貴重なんだと認める。神鳴は少し考えて休息はちゃんと取らないといけないのだと頷く。
「確かにぃ、アキトの事情は知らないけど翔の事情は踏まえないとダメよね?」
「そうね、神鳴も理解してあげてね?愛は何よりも優先されるのよ!」
「優先…それはどうかと思うけど…」
冷静にツッコミを入れられて神楽は「優先されるの!」とムキになる。
結局一週間の休息を神鳴が言い渡してメンバーはまったりとした時間を過ごすのであった。
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黒鴉は休息の間も再戦の催促をするが翔はしっかりお断りして代わりにアキトが戰のイベントに参加する事で溜飲を下げさせるのであった。
「ぐぬぬ、アキトが久々の参戦したのはイイんだけど私はやっぱり浜松と決着を…」
社長室で執務を行う黒鴉は苦虫を噛み潰したような顔をしてハンコを握っていた。神華は黒鴉を監視してツッコミを入れる。
「決着は付きましたよね?」
「うぐっ」
黒鴉は歯ぎしりしてしかめっ面をする。神華は続けて意見を提案する。
「それに即リベンジなんて印象が悪いですよ?ちゃんと他試合と時間を積んでからリターンマッチしないと」
「な、なるほど…?そんなに印象悪いかしら…試合と時間ねぇ…」
黒鴉はちゃんと華麗なる復活話にニヤニヤが止まらず神華に呆れられるのであった。




