第4話:新たな敵
お読みいただきありがとうございます!第4話です。
朝日が昇り、街に明かりが灯り始めた。
街の一軒の家で、一人の男が技術について調べていた。だが、彼の興味を引くものは何も見つからない。
本を漁っていると、『原材料』という題の一冊が目に留まった。気になった彼は、それを持ち帰ることにした。読み進めていくうちに、あるものが彼の目を釘付けにする。「ウィルズ」と名付けられた武器だった。
説明書きにはこうあった。
――腕に装着せよ。さすれば、太陽にも等しき力が汝に与えられん。
さらに下には、街からそう遠くない森へと続く地図が載っていた。男はリュックと道具をひっつかみ、家を飛び出した。
十分ほど歩いて森に着くと、一本の高い木の陰に神殿が佇んでいるのに気づいた。
近づいた瞬間、一本の矢が彼めがけて放たれる。最後の最後、ほんの刹那のところで、男は身をひねってかわした。
心臓が激しく脈打つ。ごくりと唾を飲み込み、神殿の中へ足を踏み入れた。奥には、眩く輝く武器が見える。
だが、足元に目をやった瞬間、彼は凍りついた。感圧式の仕掛け板を踏んでしまっていたのだ。
無数の矢が一斉に放たれる。男はカッと目を見開くと、木の板を取り出して構え、そのまま前へ駆け出した。矢は次々と、即席の盾に突き刺さっていく。
走り抜けた先で武器をひっつかみ、素早く腕に装着した。
武器に、凄まじいエネルギーが収束していく。まるで、彼を自分のものだと主張するかのように。
装着感が悪くないのを確かめると、男は腕を動かして動きやすさを試してみた。そのとき、ある考えが脳裏をよぎる。
(「ヒーロー」どもを探してみるか。新しい武器を試すには、おあつらえ向きの相手だろう)
男はゆっくりと神殿を後にした。すでに、仕掛けるタイミングを計算しながら。
◇
一方その頃、キロはカフェでコーヒーを飲んでいた。周りの人々の支えのおかげで、ここ数日はそこまで苦しくはなかった。とはいえ、金はまだ十分とは言えない。
スマホを取り出してウォーフに電話をかけると、すぐに応答があった。
「どうした?」
「この国にいると、どうも落ち着かなくてさ。街のことは何も知らないし、そもそも来たことすらない。あの病院のせいで、俺たちは故郷からこんなに遠くまで連れてこられちまった。……俺自身も、迷子みたいなもんだ」
「俺もだ。ただ、迷わず帰るには海のどの航路を使えばいいのか、まだ分からないままだがな」
ウォーフは真剣な声でそう答えた。その声には、かすかな郷愁が滲んでいる。
キロはため息を一つこぼし、通話を切った。
ちょうどそのとき、武器を携えた男が店に入ってきた。店内を見回していた男の視線が、キロのところでぴたりと止まる。次の瞬間、男は何のためらいもなく、キロに向けてエネルギーのチャージを始めた。
キロは目を見開くと、素早く男の両肩をつかみ、カフェから引きずり出した。そのまま人気のない離れた場所まで連れていき、着いた途端にぱっと手を放す。
キロは距離を取り、咳払いをした。
「なんでそんな妙な武器で俺を撃とうとしたんだ?」
真面目な声を作ろうとしたが、好奇心が隠しきれていなかった。
「お前相手に試したかったのさ。頑丈だって話だからな。威力を確かめるついでに、本に書いてあった謎の原材料も探せる」
「その『原材料』ってのは何なんだ?」
「お前の知ったことじゃない」
男は即座に切り捨てた。
返事も待たず、男は引き金を引いた。キロは横に跳んでかわしたが、すぐ近くに建物が並んでいることに気づく。
キロは即座に建物へ駆け込み、全速力で中の人々を外へ避難させていった。
直後、光弾が建物に直撃した。巨大な土煙が舞い上がる。建物は崩れ落ち、あとにはただの瓦礫だけが残された。
キロは元の場所へ戻った。だが、彼を出迎えたのは、武器から放たれたエネルギー弾だった。服が裂け、あらわになった上半身に赤い痕が刻まれる。深手ではない。だが、確かに効いている。
(マジかよ。ただでさえ金がないってのに、このふざけた野郎、シャツまでダメにしやがって。しかも普通に痛ぇし)
キロは、ほんの少しだけ苛立ちを覚えた。
間髪入れず、キロは男の周囲を駆け回り始めた。あまりの速さに、その姿は残像となってぼやけて見える。男は四方八方へ撃ちまくるが、そのうちの一発をキロの拳が粉砕した。キロは迷わず男の首をつかむ。男の耐久力は、まだ普通の人間と変わらなかった。
「は、離せ……!」
男の声に、かすかな焦りが滲む。
キロは手を放した。――が、すぐさま男の両腕をつかみ、武器を乱暴にもぎ取って地面に叩きつける。そのまま足で踏み砕くと、地面にかすかにひびが走った。
間を置かず、キロは男を刑務所へ連行した。唐突に乗り込み、動けなくなった男を床に転がす。数人の警官が駆け寄ってきたが、質問を口にするより先に、キロが遮った。
「殺人未遂と、人に危害を及ぼしかねない武器の所持だ」
キロは真剣な声でそう告げた。
それ以上は何も言わず、刑務所を後にする。警官たちは困惑したが、言われた通りに動いた。男の両腕をつかむと、男は激しく暴れて抵抗しようとする。
警官は男の腹に蹴りを入れた。男は一瞬で黙り込む。そのまま牢へと引きずっていき、扉を開けた。
「新居にご挨拶でもしておけ」
一人が嘲るように言う。
男は突き飛ばされるように牢へ放り込まれ、扉はすぐさま施錠された。警官たちはゆっくりと去っていく。
男にできるのは、声を殺して悪態をつくことだけだった。計画は失敗し、気づけば他の犯罪者たちと一緒に檻の中だ。
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