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転生する時に選んだ【記憶】スキルが自重を忘れてきた  作者: ゆらゆら


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僕、今日も平和を楽しむ

 【浄化】が想像以上にやらかしていた事に生まれて早六年ようやく気付いた僕。


 アッシュの美味しい水は【浄化】で魔力が綺麗になってたから出てきた水みたいだね。

 ついでに綺麗な魔力は人からしても心地良いものの様で、ウィンドウさん曰く長時間眠りながら触れ続けると夢見心地らしい。


 ポーラを洗う時も、浄化された魔力によって出来た水に触れ続けて、僕も維持のために指先から魔法を維持し続け、その指でポーラの頭や尻尾を洗っていた。

 それが心地良かったのが決め手となった……のかな?


 女の子の気持ちを決めつけてると痛い目を見るからね。仮定に留めておこう。


 そして気付けば僕は魔力を少なからず漏らし続けてしまっている様で……。




 今は魔力視でどれぐらい自分の魔力が漏れているのか確認していたのだが——


 ——全身から漏れてました。


 昨日の四倍かいおっげふん! 四倍圧縮精密身体強化で何かが起こったとしか言いようがない。

 魔力的な負荷をかけたのがそれくらいしか無かったからだ。



 一先ず現状の把握に努めよう。


 一つ。全身から魔力ダダ漏れ。

 お姉ちゃんがずっと眠りこけてるのはこの状態で接触していたからと思われる。


 一つ。魔力が漏れているが、魔力が減っている感覚は無い。

 この事から、余剰魔力が漏れていると思われる。


 例えるなら魔力の器に中心から噴水みたいに魔力が溜まっていって、端に行った魔力が徐々に溢れていく。その溢れた魔力が自然と漏れている感じかな。


 逆に今まではどうだったのかと問われると、意識していなかったので分からない。

 でも何らかの方法で魔力も代謝をしていた可能性はある。


 汗や放尿、脱糞、唾や、垢、後は呼吸。人間の通常の代謝と共に排出されていると考えるのが妥当かな。


 そして最後にもう一つ。魔力を放出する場所を手の先に、植物の気孔の様なイメージで作り上げていたのだが、現状はその気孔が全身に出来た様に感じる。



 以上の三点を踏まえて現状の改善を試みるなら、気孔を塞ぐか、代謝魔力すらも支配下に置くかだ。


 まずは気孔を塞いでみよう。


 塞ぐと言っても、閉じるのと被せるのとで変わってくるんだけどね。


 とりあえず閉じるイメージ。全身の毛穴を引き締めるイメージでキュッ!

 ……これはしんどいかも。お尻を引き締め続けるのに近い。


 二つ目の被せるで行こう。魔力の穴を魔力で上から塞ぐ。

 魔力操作訓練にもなるし、悪く無いでしょ。


 体表に魔力を展開していって、漏れでる魔力と僕の身体を魔力で包んでいく。


 視た感じ漏れは抑えることが出来たけど、根本的な解決には至って無いのがなあ。


 一先ずはこの状態を維持しつつ、エレアお姉ちゃんを起こして、僕お手製の朝ごはんを食べよう。


 特別美味しいものでは無い様に思えたのは僕だけだったのか、他の三人は感激しながら食べていた。



 目が覚めたエレアお姉ちゃんは思ったより静かに食べていて不思議に思って少し見ていたのだが、誰よりも食事を味わっていた。


 まず目に刻みつけるのかと言うぐらい一品づつ見つめ、一品づつ匂いもかいで、目を閉じて味を楽しみ、息をほっと吐いていた。


 品評されているみたいで緊張した朝食だった……。



 その後は畑の様子を見に行ったのだが、僕が魔法で耕した所だけ小麦の成長が著しく、我が子の様に可愛かったので丁寧にお手入れした。

 他はまだまだ芽が出ていないところが多いので父さんに教わりながら様子見だ。


 日課を終えたら、フェーグさんの訓練は基本午後からになったので勉強会に行く。

 いつも通りエレアお姉ちゃんと手を繋いでいくのだが、道中で昨日の事をようやく【記憶】で振り返る。



 魔力密度による、身体強化の幅が増える要素。あれが何らかの形で、超集中状態と、不思議な感覚を与えてくれたのだろう。


 あの瞬間、世界の感じ方が変わった。

 纏わりつく何かを感じ、周囲よりも体感速度が圧倒的に速かった。


 そして最後。

 カル父さんの振りを模倣した一撃。あの瞬間を具に再確認する。


 ……あっ。


「あっ」

「ん? どうしたの?」

「ああ、ごめん。昨日の模擬戦の事を思い出してただけだよ」


 思わず声に出てしまったが、そうか。やっぱりこの時か。


 僕が纏わりつく何かを斬る事を意識して丁寧に剣を振った時、全身から魔力が吹き出して身体と剣に纏わりついていた。


 本当に全身から全魔力が溢れ出し、外から僕と剣を包んでいた。

 そしてその状態でただひたすらに斬る事のみに集中した結果、そのイメージが魔力を通して剣に干渉したのだろう。


 そして斬ることの出来ない剣で、斬れる筈のない剣を真っ二つにしてしまった。


 最後に僕がぶっ倒れて、その後指一つ動かせなかったのは、恐らく身体にあるべき魔力が全くなかったのと、全身の感覚の鋭さの落差に僕の頭がついてこれなかったからだと思う。


 ……あの纏わりつくなにかは魔力で、それを肌で感じていたのだろうか、それとも空気? 微細な粒子? 何だったんだろう……。


 四倍自体は問題無く出来る。

 ものすごい速さで魔力が消費されていくが、昨日の感覚をもう一度感じ取る事は出来た。


 ……? あれ? 纏わりつくものを感じない。身体が軽い。なんでだ?


 ……あっ


「あっ」

「ど う し た の ?」


 体感速度が伸びてるからか、エレアお姉ちゃんの声もゆっくりと聞こえて面白い。

 面白いがこのままだと笑ってしまうので、すぐに四倍をゆっくりと解き身体強化もやめる。


「また気付いた事があってね? なるほどなーって」

「お姉ちゃんも昨日のゼフィア先生との戦いはいっぱい学びがあったよ〜」

「ねっ。本当にそうだよ」


 ほんとに。フェーグさんが僕の全力を受け止めてくれたお陰だよ。


 あの纏わりつく何かは魔力だ。

 今の僕は浄化魔力を漏らさないために魔力を纏っているから、僕以外の魔力を遮断出来ているんだ。


 この状態で四倍を使って戦えれば、まだまだ強くなれるかも……!

 魔力でイメージや意思を武器に伝えて攻撃する方法もわかったし……コルハには当分負けないなあこれは!


「ふっふっふ〜」

「ご機嫌だね、アッシュ!」

「うん。楽しくて嬉しくて面白い!」

「アッシュが嬉しいと私も嬉しいー!」

「いいぇーい!」

「いいぇーい!」


 心も身体もスキップしながら僕たちは勉強会に向かう。


 僕の奇行はいつもの事だが、エレアお姉ちゃんも一緒にやっていたからか、急にスキップをし始める人達が現れて笑ってしまった。


 今日もこの村は平和だ。



 勉強会は恙なく終わったが、ポーラの距離が何時もより近くなっていて驚いた。

 そしてそんなポーラをエレアお姉ちゃんが咎めなかったのだ。


 昨日の昼食は女性陣四人とグロックで取っていたはず。その時に何か話をしたのだろうか?

 僕の知らない所で、何かが蠢いている。そんな気配を感じるよ……!!



 いつもとは少し違った勉強会を終えて、家で昼食を取った後はフェーグさん家で訓練だ。軽く身体をほぐしておこう。


「エレア〜。ちょっと良いかい?」

「なにーお父さーん」

「来週の頭、火の日に教会でスキル確認の儀を行うそうだから楽しみにしておくと良いよ!」


 おっ。ついにエレアお姉ちゃんも自分のスキルを知れるのか。どんなスキルを持っているのか楽しみだな。

 ……直感は絶対あるよね。無いとおかしいレベルで僕の行動を読んだりしてくるもの。


「スキルって何か意味があるの?」

「自分に何が出来るのか、何が向いているのかが分かるんだ。今までやったことのない事でも実は素質があったって事もあるんだよ!」

「へ〜〜料理の素質とかあったら良いなー」


 エレアお姉ちゃんの手料理か。スキルに載って無くても悪いものは出来そうに無いけどな。

 毎日サフィー母さんと一緒につくってるしね。


「アッシュは私にどんなスキルがあると思う〜?」

「直感系は絶対ある。無かったら一日中お姉ちゃんのお世話してあげるよ」

「ッッ!! 絶対ありません様に!!!」

「あはは……お父さんも絶対あると思うな〜」

「無い! 無いったら無いよ!!」

「どちらにしても、結果は来週まで分からないからね? そろそろフェーグさんの所に行こうか」

「「は〜い」」


 カル父さんに答えて今日も家族みんなで家を出る。


「そう言えば父さんと母さんは何しに行くの? 訓練する訳じゃ無いよね?」

「お父さん達はね、鍛える側かな」

「お母さんもビシバシ鍛えてやるわよっ!」

「……贅沢な訓練だね」

「おー! お父さん先生とお母さん先生だねっ」

「いつも教えてるんだけどね?」


 流石に三十人を二人で相手するのは大変だよね。

 二人が昨日も観に来て居たのは、自分たちの手助けが必要なのかどうか確認の意味もあったんだろうな。


 父さん先生と母さん先生が向こうで何を教えてくれるのか楽しみにしておこうっと。



 訓練場に着くと、着いた者から百周走る様に言われた。


 エレアお姉ちゃんと走り出そうとしたところで、待っていたのかコルハが現れる。


「今日こそは負けねえぞ!! 飯食ってる時も寝る前も朝起きてからも魔力を動かし続けてやったぜ! 昨日の俺とは違うぞアッシュ!」

「今魔力視で見たけど、まだまだ甘いよ? 身体の中でぐるぐるぐるぐる、ずーっと回し続けるんだ。その状態で身体強化の質をあげなきゃね?」

「くっ! ……待ってやがれすぐ追いつくからな!!」

「うん、待ってるよ!」


 今日は妨害は無しで走る。百周走るだけなら簡単だ。今日は落ち着いて訓練出来そうだな


 ……そう思っていたんだけどね?


 コルハが少しペースを上げて、少し先から僕を振り返ってニヤニヤ笑ってくるんだ。

 抜き返して笑ってやるしか無いよね??



 抜いて抜き返してを繰り返した結果、ほぼ同時にゴールし、ほぼ同時に疲労で倒れ込む羽目になってしまった。


 精密身体強化を等倍で縛ったとは言え、ペースを乱せばこんなもんだ。


 とは言え、コルハ許さん!!!!!


「あーーー! しんどいー!!」

「俺はしんどく無い!! 俺の勝ちだ!」

「じゃあ僕もしんどく無いよ!!」

「俺の勝ち!」

「僕だ!!」


 競い合ってるのにお互い笑ってるのは何でなんだろうね?

 でもまあ、楽しいからいっか!!

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