冒険者ギルドの混乱の奥で
「採取、ポイントが、全滅、ですって…?」
受付嬢の声は、小さいながらも良く響き渡り、周囲を恐慌状態に陥れた。
「薬草取れないの「ポーションはどうす「他の場所は「一体どうして
「 静 ま れ ッ !!!」
支部長の一喝で、ようやく落ち着きを少し取り戻す。
「…こちらで話を聞く。ついて来い」
「ッ…はい」
通された先は、支部長の執務室。
「…これが、サンプル、です。目視で半径1m程度、少々歪ですが円状に。確認した限りで、バツ印の所は全滅でした」
例のガラス瓶を、ローブの内側からいくつか取り出す。基礎が錬金術師御用達ローブである特注のローブは、内側に多数のポケットが付いているのだ。他にも耐火撥水電気絶縁能力が高く更にウィンドブレーカーとしても優秀、など兎に角すごい代物だが、その話はまたいつか。
「そうか…待ってろ、1つ心当たりのある薬品がある」
支部長は、乱雑に積み上げられた木箱のうち1つから、真っ黒な液体の入った小瓶を取り出した。
「…除草剤、ですか。効能は状況によく似ています」
「鑑定眼持ちか…その歳で…あぁいや、何でもない。…商業ギルドの野郎共が、最近売り出した物だ。効能検証の名目か何かで、やったのかもしれん」
「…!」
ステラの占いがよく当たる理由は、その観察眼と豊富な知識、それらの情報を処理する能力、それと異様なまでに鋭い直感に依る。
師匠たるおばあちゃんしか知らない事ではあったが、ステラの占いの本質は実は星占いではない。良くも悪くも占星術師に向かない弟子を、師匠は占星術師としては複雑な思いで見守っていたとか何とか。
閑話休題。
「薬草が無くなれば、他の街から薬草やポーションを融通してもらうしか無い。そしてそれらを売り捌くのは商業ギルド…っ、あいつら、まさか不当に値段を吊り上げるつもり!?」
「…その歳でそこまで頭が回るか。見事なものだ…俺の予想も同じくだ、だが厄介なのは…」
「絶っ対、実験許可が下りてるでしょうね…」
前の街(今では瓦礫の山)の領主の嫌がらせもあり、ステラは許諾関係にはかなり敏感になっていた。
「だろうな…」
「あの」
「ん?」
「ホコリ叩き、手伝えますか」
「…」
恐らく、商業ギルドの、だろう。
「…ああ、頼む」
「!」




