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【第1章完結】僕だけ戦う素材収集冒険記 〜集めた素材で仲間がトンデモ魔道具を作り出す話〜  作者: 花村しずく
閑話集

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現状調査

 ハルは腕を組みながら、「うーん……」と小さく唸った。


 考えれば考えるほど、頭の中がこんがらがってくる。


 毒草だけを消したい。でも薬草は残したい。


 簡単そうに思えて、実際にやろうとすると難しい。


 しばらく唸っていたハルだったが、不意にぱっと顔を上げた。


 「……こういう時って、みんなならどうするんだろ」


 「ん?」


 コウが薬草を整理する手を止める。


 ハルは考え込むように空を見上げながら続けた。


 「ツムギおねえちゃんとか、エドさんたちって、よく“まず環境確認”とか“原因を考える”とか言ってるよね」


 少しずつ思い出すように指を折る。


 「それで仮説を立てて、実験して……って」


 「おお」


 コウが納得したように頷いた。


 「あいつら、確かにいつもやってるよな。とりあえず試してみて、失敗したらまた考えて……みたいな」


 少し感心したように羽を揺らす。


 「いいかもしんねぇな、それ」


 その言葉に、ハルも「うん!」と頷いた。


 そして荷物の中をごそごそと漁り、アークノートを取り出した。


 ハルはぺらりとページを開き、真剣な顔で書き始める。


 


 【毒草が増えた原因】


 大きくそう書き込んでから、改めて草原を見渡した。


 「よし。まずは、なんで毒草が増えちゃったのかから考えてみるよ」


 その言葉に、コウも「確かにな」と頷く。


 「物事にはだいたい原因があるからな。いつも毒草が多い場所なのか、それとも今回だけ異常に増えたのか」


 羽を組むようにしながら続けた。


 「それがわかるだけでも、だいぶヒントになりそうだよな」


  ハルは「うんうん」と頷きながら、ノートへ次々とメモを書き込んでいく。


 しかし、しばらく書き進めていたところで——不意にぴたりと手が止まった。


 「……あ」


 ハルが、はっとしたように顔を上げる。


 「毒草について、僕たち何も知らなくない?」


 「ん?」


 コウが首を傾げる。


 ハルはアークノートを抱えたまま、少し慌てたように続けた。


 「毒草とか薬草とか言って区別してるけど、どんな毒草で、どんな薬草なのか、ちゃんと調べてきてないよね?」


 草原を見渡しながら、だんだん顔が青くなっていく。


 「どんな特徴があって、どうやって増えるのかも知らないし……!」


 そして、がくっと肩を落とした。


 「これじゃ何もわからないよ……ちゃんと調べてから来るんだったーー!」


 思わず天を仰ぐ。


 コウも「うわ、確かに」と羽をぱたつかせた。


 「俺たち、抜けばいいと思って来ちまったしなぁ」


 少し気まずそうに頭をかく。


 「俺も草のことはさっぱりだわ」


 するとハルは、ぱっと顔を上げた。


 「……よし!」


 勢いよく立ち上がる。


 「じゃあ早速ギルドに調べに行こう!」


 そう言うや否や、さっそく荷物をまとめ始めた。


 だが、その様子を見ていたコウが、「おいおい」と呆れたように声を上げる。


 「ちょっと待てって」


 羽でハルを制するようにしながら続けた。


 「調べるにしても、サンプル必要だろ。この辺の草、毒草も薬草も含めて、全部少しずつ持って帰ろうぜ」


 ハルが「……あ」と動きを止める。


 コウはそのまま草原を見回した。


 「あと、それぞれの草がどれくらいの割合で生えてるかも調べた方が良くねぇか?」


 羽先で辺りを指し示す。


 「どこに多いとか、逆に薬草が少ない場所とかさ。そういうのも関係ありそうだろ」


 その言葉に、ハルの目がぱっと輝いた。


 「確かに……!」


 アークノートを開き直しながら、慌てて新しいページへ書き込み始める。


 ハルはアークノートへ薬草や毒草の位置を書き込みながら、ふと顔を上げた。


 「ねえ、コウ」


 「んー?」


 薬草を袋へ詰めながら、コウが返事をする。


 ハルはノートの端を指でとんとん叩きながら言った。


 「前にサイルさんが、ダンジョンでマッピング教えてくれた時に言ってたんだ。情報はできるだけ細かく書いておくに限りますって」


 少し考え込むように空を見上げる。


 「ってことはさ……例えば風の向きとか、今いる動物とか、目につくもの全部書いておいた方がいいのかな?」


 その言葉に、コウが「おお」と感心したように羽を揺らした。


 「確かに。それ、めちゃくちゃ大事かもしんねぇな」


 辺りを見回しながら続ける。


 「また後で戻ってくることになったら、二度手間だしよ。なんでも書いとくに越したことはねぇ」


 そして、ふと思いついたように付け加えた。


 「サンプルも、草だけじゃなくて土も持ってった方がいいかもしれねぇな」


 「……あ!」


 ハルの目がぱっと輝く。


 「ナイスアイデア!」


 さっそくノートへ《土のサンプル》と書き込み、そのまま周囲の土を小瓶へ詰め始めた。


 それからは、二人ともすっかり調査モードだった。


 ハルは手当たり次第にノートへ情報を書き込み、毒草や薬草、それ以外の草木まで少しずつ採取しラベリングしていく。


 コウも途中から空高く飛び上がり、上空から地形を確認し始めた。


 「ハルー! 西側、少し地面低くなってるぞー!」


 「ほんと!? そっち湿ってたりする?」


 「おう、なんか水集まりやすそうだな!」


 そんなやり取りを繰り返しながら、二人は夢中で調査を続けていく。


 気づけば、太陽はゆっくりと傾き始めていた。


 ——いつの間にか、毒草を抜くだけだったはずの依頼の目的が、駆除から解明へと変わり始めていた。

ツムギの物語はしばらくの間不定期更新、ハルの物語は月曜日の23時ごろまでに1話投稿します


同じ世界のお話です

⚫︎ 僕だけ戦う素材収集冒険記 〜集めた素材で仲間がトンデモ魔道具を作り出す話〜

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