女冒険者に連れられて(食事中)
「無事に戻ってきたことに、カンパイ!」
「「カンパイ!」」
ナデナデされている間にルースハートの街に着いていた。そしてそのまま酒場へ直行。その間ずーーっと撫でられていたんだが、撫でられ過ぎて抜けないよな? 毛……。
「そろそろ、その猫を渡しなさい!」
気の強そうな女性が俺を撫で続けているルーバに苛立った声をかける。
「私のグレート・ブリュッセル・パワードに何するつもり?」
「何をバカなことを……その子の名前はリュイシェクト・セカンドです。この私、チュールの従者猫です」
どちらも違いますけど? それに従者猫ってなんだよ!
「お前ら止めろ。飯食う時に騒ぐな」
「そうですよ。その実験体108号はこっちで与ります。渡しなさい」
三編みメガネが手をワキワキさせてこっちに来ようとしている。来んじゃねえ! 引っ掻くど!
「ミーシア! あんたが変な事言うからグレート・ブリュッセル・パワードが暴れるじゃない!」
「いいえ、従者猫のリュイシェクト・セカンドです。ミーシアがそんなことばかり言うから動物に好かれないのよ?」
「大丈夫。この惚れ薬飲ませるから。そうすれば思いのまま……フフフ」
「それって、この間ネズミみたいな魔物が食って泡吹いてたやつじゃないか?」
「マダラメ紫草って毒草をすり鉢ですって作ってたよな?」
「……新しい薬を作るには犠牲もつきものなんですよ?」
「ダメ! この子に絶対に近づかないで!」
怖いわ~。絶対にこの女からは食い物は貰わない! 後、抱き締められて地味に痛い。
「そういえば、途中であの男が泡吹いて何も言わなくなったのって……」
「ああ、あの男なら、『腹へった』とか『放さないと後でひでえぞ』とかうるさかったのでお手製の薬を飲ませました」
「「…………」」
皆さんドン引きしてます。しかし、薬を作るって薬師なのか?
「そういえば、シュカ、あの男の仲間は見つかったの?」
静かに酒を飲んでいる赤毛の女性にミーシアが聞いた。
「いや、どうせ明日にはギルドに顔出すだろうからその時にぶん殴る」
男前な発言に他の仲間が拍手する。興味ないふりして酒飲みながら少し顔が赤くなってない? 照れてるの?
「シュカのお陰よね。私達が変に絡まれないのって」
「シュカと出会わなかったら今頃こうしてないわね」
「そして、シュカが『お姉さま』と呼ばれることもなかった……はず」
「「それはない」」
「何でよ!」
その後、ほほを膨らましてすねるシュカをみんなでなだめ、食事を続けた。仲が良いのね。俺はミーシアの手を逃れ、シュカの膝の上にいる。興味なさそうにしてても撫でたいんだろ? 撫でてみたまえ、許可する。
「思ったより撫で心地が良くないな」
なんですと! そんな事言う子には撫でさせません!
「えっ、あっ……」
シュカの膝から飛び出して着地する。振り返るとシュカが手を伸ばしてこっちを見ている。そんな悲しそうな目をしても許しません! さて、他の人に……。
「やっぱり私の従者猫ですね。シュカのゴツゴツした膝の上より私の柔らかい膝の上がいいのですね」
チュールに捕まり膝の上に乗せられる。おーまいがっと! この人首根っこ捕まえて離さないのよ!
ナー!(助けて!)
「そんなに嬉しいでしゅか?」
撫でる手に力が入る。酔っ払ってきてるから手加減なし! 潰れる~。
「いやがってるじゃない!」
チュールの膝の上から取り上げられ助かった……。
「このお姉さんは熊を素手で倒すからね~。気を付けないとね? これ食べる?」
つき出された肉に毒々しい色したものが着いている。臭いもきつい! てーか、ミーシアだよ! 逃げなきゃ!
「何で私が熊を素手で倒すのよ! 弓で仕留めるわよ!」
「そのでっかい弓引けるんだからできるでしょ?」
「できないわよ! ちゃんと罠はって引っ掛かった奴を仕留めるわよ! リュイシェクト・セカンド、こんな女に抱かれていると性格の悪さが移るわ! こっち来なさい!」
イダダダッ、尻尾引っ張るな! やめて! ちぎれちゃう!
「この子はこっちがいいんです! そっちこそ離しなさい!」
こっちはこっちで前足引っ張るし! もげる! とれる!
ナギャァァァァ!
俺の絶叫に気がついたシュカが2人から引き剥がし、自分の膝の上にのせる。ルーバ? 酒飲んで寝てます。
「まったく、猫ごときで騒ぐのはどうかと思うが?」
「ごめんなさい」
「ミーシアが離せば……ごめんなさい」
2人も反省しているので許してやって。椅子の上に正座は辛いよ? ルーバの所に行って皿に残っている肉を食いたいんだが……あの……離して。
立とうとすると上から押さえつけられ逃げられない。肉を……我に肉を……。
その後、ルーバが起きるまでそのまんまシュカの膝の上から逃げられず、肉を食い損ねた。……なんか、先が思いやられる。




