ハーレムかと思ったら強い女性の集団でした。
木々の間を赤い小鳥が飛んでいく。『迷宮リング』から出したブラッド蜂鳥の群れが辺りを探っているのだ。
朝になってセバスチャンからの声に起こされて聞いたんだが、ブラッド蜂鳥達に言うことを聞かせることに成功したらしい。そして周りを観てもらっているのだが、命令(俺)→通訳→行動(ブラッド蜂鳥)の流れでやっていかないといけないらしい。俺も魔物の言葉わからないしね!
先にブラッド蜂鳥に集めて貰った木の実をかじる。猫なのに草食系? 腹へってんだよ!
そうこうしていると、一羽戻ってきた。他のブラッド蜂鳥よりも鮮やかな色をしている。この群れをい率いている一羽だ。ブラッド蜂鳥の生態で獲物の血をつけて一番良い色のやつがボスになるそうだ。そして俺の頭に止まる。
(主、この先に人がいるそうです)
よし、逃げるぞ!
(主、このままでは飢え死にしてしまいますよ!)
そうだな。ここは見つからないようにスネークして様子を見よう。えっと、段ボールは?
(段ボールはありません)
そこは、『ねえよ!』ってツッコんでくれたらいいのに……。
こそこそと木の影に隠れて移動する。5人が警戒しながら歩いている。男1人と女4人……ちくせう! どこのハーレム野郎だ!
と思った時もありました。よく見ると男は薄汚れていて装備もないまま首に縄をつけられて前を歩かされている。その後ろを武器を持った女達が警戒しながら歩いている。あ、1人だけ警戒対象を男に向けている。
「ほら、さっさと歩け!」
縄を持っている背の高い赤毛の女が男を押して急かす。腰には剣をさげている。
「勘弁してくれよ。お前達が『紅蓮女帝』って知らなかったんだよ」
「女ばかりだと思って襲ってきたお前達が悪い!」
「私達が女を下にみる男達にどんな事をしてきたかわかってないですね?」
「勘弁してくれよ! 俺はあいつらにそそのかされただけなんだ!」
「情けない奴だな? お前を置いて逃げた奴等を捕まえるのを手伝ったら、少しは考えてやってもいいぞ?」
「本当か! 何かあった時の集合場所に決めていた所があるそこにいるはずだ」
おバカな人発見。『考えてやる』って許す気ない人の言うことよ! この流れじゃ、他の奴等も捕まって……南無南無。
こっそりと着いていく事、男は完全な弄られキャラと化している。そして集合場所に着いたみたいだが……。
「何でいねえんだよ!」
「よかったな。良い仲間を持って」
「戦力外で見捨てられたの?」
「……この豚野郎」
膝をついた男に対して言いたいように言っていた。最後の言葉にちょっと顔を赤くして興奮すんな!
「よし、仲間もいないことだし、首チョンパでいいか?」
腰の剣に手をかける赤毛の女。殺っちゃうの?
じーーーーっ。
ハラハラしながら見ていると、動きやすそうな皮鎧を着た子がこっちを見ている。えっと……、
ナー。
とりあえず鳴いて首を傾げた可愛さアピールをしておこう。たぶん『なんだ、猫か』と興味を失うはずだ。
じーーーーーーーーーーーーっ。
むっちゃガン見してますけど! どうしよう。動けない! それに目が宝物見つけたみたいにキラキラしてる。たぶん気のせいだ。もう一声出せばごまかせるはず。
ナ、ナー。
一瞬で捕まえられた! そのままナデナデされる。なして!
「ルーバ! 猫見つけた! 飼っていい!」
「ルーバ、ダメです!」
「ほら、こんなに可愛い。今ならただ」
捕まえたのはルーバと言うらしい。短い青い髪に青い目をしていて両手で抱きしめるようにして小ぶりな胸に俺を抱えている。
そんなルーバにお姉さんのように接している茶色の髪の気の強そうな女性が不機嫌そうに俺を見る。
ナーオ!
やけくそで愛想を振り撒いてやる! 煮るなり焼くなり好きにしろ!
「こっちによこしなさい! ちゃんと暖かい寝床とミルクを用意しないといけないわ!」
イデデデデッ。そう言いながら頭、鷲掴みにして引っ張るな! ルーバも抵抗して引っ張らない! もげる! 首がもげる!
「何をしているんだ! ……ったく。猫なんてほおっとけ」
「そうよ。私にあずけなさい。『イエス』と『はい』しか言えないように調教するから」
背の高い赤毛の女性が男を木に括り付けてこっちに来た。そして物騒な事を言ったメガネに灰色の三編みの女性もこっちをニコニコして見ながら着いてくる。こっち来んな!
結局、ルーバちゃんに捕まえられたままでドナドナされる。俺ってどうなるの?




