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脱走したんだが、迷ってしまった。

「ドナドナドーナ、ドーナー」


 今、クレイの後ろをロープで縛られたままドナドナされている為に呟くように歌っています。


 あー、行きたくねえわ~。日向ぼっこでゴロゴロしてたい。クレイ、止まれよ。


 クレイは外へ出て嬉しいのかはしゃいでスキップしている。不意に引っ張られるから止めろ! 久しぶりに馬小屋に覗きに行ったら使い捨てされたキャラみたいにやさぐれていたのにな。


「ドウドウ、ドウドウ」


ニャ。(あまり揺らすな)


「クレイを止める気あるなら、手綱ぐらい握れ!」

「全速前進!」

「やめろーー!」


 引きずられ頭にたんこぶを作った半泣きの俺をお仕置きしゅうりょー! とばかりにクレイの背に乗せる。ちくしょう! 弄ばれた。


 大体、このロープが邪魔なんだよ! 少し位弛めば抜けられるんだが。後ろに手も縛られて……人間の手が役に立たないなんて……。


 ひょっとしてこのまま猫に戻れば逃げられんじゃね?


 そうと決まれば思い立ったが吉日! 猫化開始。ロープが弛む!


ナー!(明智くん! 去らばだ!)


 クレイの背を飛び降りて一目散に茂みに逃げ込む。……そういや、何で逃げるんだっけ? 


ニャ!(逃げたわ!)

「尻尾持って振り回す!」


 尻尾がちぎれるかもしれない。俺は足に力を込めて全力で逃げた。


ナー。(迷った)


 逃げ回った挙げ句、迷ってしまった。とりあえず、木に登って辺りを見渡す。止まっていた小鳥が逃げていった。赤い色の見たことない小鳥だ。


 家に戻ってもアルさんに何されるかわからんし……って言うか、迷ってんのにそんな事考えてどうすんだ?


 森から出よう! その後はその時考えればよかんべえ。赤い小鳥が飛んでった方に行ってみよう。


 その前にエメドラ出して。いや、一人は寂しいでしょ?


シャァァァ。


 猫化した時に巻き付くな! 骨がミシミシ言ってる! 子猫は繊細なのよ!


ギシャーー!


 毛を逆立てて引っ掻く! これでもかって引っ掻く! 鱗が何枚か剥がれたわ。うなだれるエメドラ君、反省するように!


 エメドラを従えて赤い小鳥が飛んでった方に向かう。進んでいくと一本だけ赤い木があった。よく見るとさっきの赤い小鳥がその一本の木に集まっている。何でそんなに集まってんの? エメドラ君、気付かれないうちに戻るよ。


 そっと、後ろ向きに戻り始めた時に小鳥が一斉に飛び立った。木の影に隠れこっちに来んな! と念じる。


 俺の念が通じたのか小鳥は集まっていた木の下に突撃していく。下には今までこの森で見たことのなかったゴブリンが団体さんで小鳥につつかれて逃げ惑っている。小鳥さん武闘派ですね。


ナー?(ってーか、食ってね?)


 倒れたゴブリンに集って離れる時には骨になってる。小鳥の主食はゴブリンでした。見つかったらこっちも骨になってしまうかもしれない。


 恐怖に硬直したまま、ゴブリン達が全滅するのを見ていた。骨と血の池がそこに残っている。そうすると小鳥が血溜まりに下りて羽に血をつけ始めた。


 何? あの小鳥。あの羽ってそれで赤かったの?


シャァァァ!


 エメドラ? 見ると小鳥の群れに突っ込んで行って食い散らかしていく。うわぁぁぁ~。小鳥が逃げ惑ってる……エメドラさんハンパねえっす!


 食い散らかして戻ってきたエメドラ。食いすぎたのかゲップしている。あーあ、かわいそうに。何羽か逃げ切れずに落ちたのがいる。……翼が折れてるね。エメドラさん食い残しはゆるしまへんで! ……丸まって寝てるし!


 可哀想だし、ニクキューをに小鳥にのせて治療魔法をかける。猫のニクキューには癒しと回復効果があるからね!翼が治って飛び出した小鳥が俺の回りを飛び回っている。実に嬉しそうだ。他のも治してやろう。


 こうして、生き残り30羽ほど治してやったけど、こいつら俺の回りから離れない。追っ払っても追っ払っても背中とか頭に止まりやがんの。啄まないよね?


(主よ。そのブラッド蜂鳥は主を慕っているようです。『迷宮リング』へ移住させてはどうでしょう?)


 変な声が聞こえる。エメドラ……は寝てるし、幻聴かな? それにしても鬱陶しいな! 散れ!散れ~。


(主よ、聞こえてますか? あーあー、本日は晴天なり。所によって血の雨が降るでしょう!)


ナッ!(こえぇよ! 変なこと言うな!)


(主よ。『迷宮リング』です。セバスチャンです。……何で猫なんですか?)


 そんな事いいから、どうにかして!


(『迷宮リング』に入れて下さい。こちらでちょうk……育成しますので)


 ……今、調教って言おうとしなかったか?


(主が困っているようなので進言しただけです。決して、珍しく人にもなつかない小型の魔物なので研究したいとかじゃないですよ)


 どうでもいい。こいつらを入れればいいんだな? 前足あげて、このニクキューにとーまれ!


 掃除機に吸われる埃のようにニクキューに消えていった。


(それでは主。このブラッド蜂鳥をいつでも召喚できるようにしときますので後はご自由に……)


 声が遠ざかっていった。昨日のは夢じゃなかったんだな。それより、どうしようか……エメドラも寝てるし、……俺も寝よう! 


ナー。(おやすみ)


 エメドラに寄りかかって眠った。

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