蜥蜴が現れた。訛った男が現れた。魔物達が逃げ出した!
おおう。この蜥蜴どっから現れた?
人の足をぱっくりといきそうなデカイ口開けて俺を見ている茶色のお前だよ!
エメドラに掴まったまま見下ろすと獲物を捕らえるのをしくじった蜥蜴は地面に同化するようにして消えた。
「ペケ、見つけた」
「来るな! 危ない!」
走りよってくるルビー達に叫ぶと地面に降りていつでも動けるようにして辺りを見回す。
「……いない」
ついでに気配もない。でも野生の勘が危険を伝えてくる。何処だ!
「……ナマイキ、ペケを捕まえろ!」
頬を脹らませたルビーが拗ねた声で出した命令にゴーレム3体が走り出した。来るなって言うのに。
ーーパクッ!
いきなり右端のゴーレムが消えた? そしてそこには口に入ったゴーレムを食っているトカゲが現れた。いつの間に!? だが、食っている間は消えないようだ。
ニャァ!(何なの!こいつ!)
パシュティさんも知らない奴か……。テンパってんの分かるけど、毛を逆立てたままむやみにウロチョロしない。
それにしても動かないな。近づいてペシペシ叩く。少し嫌がるがリアクションがない。それじゃ、いい芸人になれんぜよ。……トカゲに言っても意味ないか。
近くで見ると人が一人乗れる大きさで、背中が少し凹んでいる。実際乗っていたのかな? 上って座ってみる。ルビーと二人で乗れるくらい広いな。
「あー! おらのサフィーちゃんに何してるだか!」
乗っていると後ろから怒鳴られた。振り向くと革鎧を着た男ががこっちを指差して怒っている。
「ちょっと目を離すた隙に、サフィーちゃんを寝とられる何て……許せん!」
地団駄踏んで背負っている斧を構えると話も聞かないで突っ込んできた。
降り下ろされる斧を避けると勢いで蜥蜴に当たった。だが、鉄でも打った音がして斧が弾かれる。
「わあぁぁぁ! サフィーちゃんゴメンよ~! 痛かっただか~!」
斧を放り投げて当たった場所を泣きながらさすっている。傷1つ付いてないけどな! それにそいつさすられて嫌がってるぞ。見ていると蜥蜴がスッと消えた。
「サフィーちゃーん! 何処だべっ! 街に帰るだよ!」
消えた事に気がついた男が回りを見渡しながら叫んでいる。目の前にいるだろ! そこから前に進めないのに気がつかないのか?
「ひっぐっ、ざフィーちゃん……ひっぐっ……」
地面に手と膝を付いてまるで恋人に捨てられた様に泣いている。ルビーよ、小枝でツンツンするの止めなさい。ある意味、悲しすぎる。
「兄ちゃん、一緒に探してやるから泣き止め」
ホントか? と言う風にこっちを見てくる。プルプルと震えて捨てられたチワワのようだ。どうする、ア〇〇ル~!(古!)
「サフィーちゃん探してくんろー! 仲間も呼ぶだ~! 出てきてくんろー!」
指にはまっている指輪がキラリと光った。
「えっ!?」
男の回りに小型の蜥蜴や、猿に似た魔物が現れ辺りをキョロキョロ見渡している。
俺は男の指にはまっているのが自分の持っている指輪と似ていることに気がついた。
「わーっ! どこ行くだか! 戻ってきてくんろー!」
指輪に気をとられていると、男の回りにいた魔物達が一斉に逃げ出した。どさくさに紛れてサフィーという名の蜥蜴も。どうすんだよ、これ!




