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街へ行ってお仕事です。

「おう、坊主。どっから来た? ルースハートの街は初めてか?」


 俺は今、巨大な門の前に立ち髭面の門番に質問されている。


「お父さんがぎっくり腰になったので代わりに行商に来ました」


 にっこりと笑ってそう答えた。


「そうか、偉いな。でも、坊主の持ち物がないぞ?」

「持ち物は今から呼びます」

「?」


 俺は背後を振り返り、口笛を吹いた。


ドドドドッ、ドドドドッ、ドドドドッ!


 黒い馬がその巨体で押し潰すような迫力でもって駈けてくる。髭面の目の前に止まり、


ヒヒーン!


 前足を振り上げた。


「こっ、〇王号が来たーー!」


 俺が見ても巨体の世紀末覇者が乗る馬に見える。でも、この門番、何でそのネタ知ってんだ?


 魔の森に一番近い街ルースハートは街全体を高く分厚い壁に囲まれ、言い方は悪いが下手をすると塀の中に居るみたいに感じる。それもそのはず、ここは元は犯罪者等を魔の森攻略に利用しようとして建てられた街なのだ。


 今では魔の森の素材集めに商人や冒険者が集まる街として栄えている。


 俺が入ってきた門は魔の森の反対側に位置し、魔の森の前は冒険者用の小さな門になっている。冒険者用の門から入れば早いが、魔の森から来た魔物と間違えられても困るので遠回りではあるが商人用の門から入ってきた。


ニャ。(ここもずいぶん変わったわね)


 お目付け役にとアルさんを説得(物理)して着いてきたパシュティさん。キョロキョロと辺りを見ている。おのぼりさんである。


「最初行く店って何処だっけ?」


ニャ。(あっち)


 パシュティさんが指差した方向へ人混みを掻き分けて進む。本当は掻き分けなくてもクレイの姿見て避けてくれるんだけどね。


 たどり着いたのは、普通の薬屋だった。木製の扉を開き、声をかける。


「はいはい。お客さんかね?」


 出てきたのは禿げたオッサンだった。アルさんも禿げたオッサンと言っていたのでこの人だろう。


「ツルー・ピッカーさんでしょうか?」

「今、頭見て言っただろう?」

「……はい!」

「息を思いっきり吸って返事すな!」

「はい! 正直者なんで!」

「貴様という奴は!」


 オッサンが掴みかかって来るが、その後頭部を背後から箒でぶん殴ったオバサンがいた。


「子供に何してんだい!」

「この子に社会勉強をさせてやろうと思ってな」

「ハゲをハゲって言われた位で怒るのが大人げないよ!」


 オバサンには頭があがらないのか苦虫を噛み潰したような顔で睨んでくる。


「ありがとうございます。助かりました。お姉さん」

「まあ! お姉さんだって!」

「お世辞に決まってんだろ」


 オッサンが小さい声で言ったがオバサンには聞こえたようだ。襟首を捕まれて奥に引きずられていくオッサンにはドナドナを贈ろう。


「それで、薬がいるのかい?」


 オバサンが出てきて聞いてきた。中からうめき声が聞こえるが、無視していいだろう。


「アルスロウネさんから預かった薬を持ってきました」

「あの人からの? 元気かい?」


ニャ。(今頃、切り傷用の薬を量産してるはず)


「そうかい、元気なんだね」


 パシュティさんを抱き上げて可愛がる。パシュティさんは撫でられながら不満そうにこっちを見ている。猫の言葉は通じないのよ。


「それで、何処におろせばいいですか?」

「中に置いておくれ。……その荷物何処にあるの?」


 クレイ君、出したまえ。


ヒヒーン。


 尻をこっちに向けると、


ブリブリッ、ブリブリッ!


 薬の入った箱を糞みたいにひりだした。


 ぽかーんと口を開けたオバサンに、


「はい、数を確かめて下さい」


 そう言って、手渡す。うちのクレイが下品ですいません。


 クレイは、体中の空間に亜空間を作り出し見た目以上に物を入れることが出来る。しかし、その出口が何故かお尻の方にきてしまう。背中に乗せたら全部飲み込むのに……一度じっくり調べて貰おうアルさんに。


 数件同じように薬をおろして、アルさんの行着けの宿に泊まった。皆さんのぽかーんとした顔が印象てきでした。お休みなさい!


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