とりあえず、強化魔法いっとく?
あれから毎日のように魔法の練習をしている。今日も庭に突き刺した木の板に向かって、
「『火よ! 矢となり敵を貫け!』」
手の上で創られた炎の矢が木の板を立ってただけの的に突き刺さり燃え上がった。
どうだ! すごいだろう。
「ペケ君もやってみてね」
アルさんの実演販売でした。俺?
「『火よ! 矢となり敵を貫け!』」
俺の手全体が火に包まれるが……。何も飛ばない。
的まで走っていって、はいタッチ。アルさんの火矢に貫かれたのと変わらない位燃えている。
「上手に燃えました~♪」
「………………」
いや! そんな目で見ないで! そんな、かわいそうな子を見るような目で見ないで!
ニャー。(庭の隅っこ行ってなさいよ)
隅っこ行って体育座りでいじけとく。
「原生魔法は使えるのは使えるけど、飛ばすのはダメだねー」
目の前が歪んでいるけど……膝が湿っているけど、き……気にしないもん!
「光と闇を混ぜて強化魔法の方を覚えようか」
強化魔法?
「火とか出すわけじゃないから、派手じゃないけどね」
えー、ビミョー。
ニャ?(あんたに選択肢あるの?)
ありません。土下座するので教えて下さい!
「最初に足に風の魔力を込めて走って柵に沿って一周」
足に風の……?
「足ってどう込めるんですか?」
ニャ?(真顔で聞くこと?)
呆れないで欲しいニャー。
「……手に集めるようにすればいいんじゃないかな?」
足に込める。足に圧力がかかったような気がする。走る。……普段と変わらないですが?
変な顔して戻って来るとわかってるような顔してアルさんが、
「今度は光の魔力も一緒に混ぜて走って」
風の魔力と光の魔力を半々に混ぜて足に込める。もう一周してこようかね。
足の回転が早くなってない?そう思いながら走っていると、目の前に毛繕いしているパシュティさんが……。思わずジャンプ!
おおっ! 陸上の走り幅跳びのように空を歩く! 見上げるパシュティさんのはるか上を飛び越えてゴール!
「と、このように原生魔法に光か闇を混ぜて体に流すといろいろな効果を生むので試して見てね」
その心は?
「強化魔法ほとんど使わないから忘れちゃった」
アルさんがテペペロしても似合わないんじゃ!




