しばらく見ないうちに太りましたね。
パシュティさんが復活しました。およそ1週間俺達は野菜サラダとパンで生きてきたせいでパシュティを見たとき、『……誰?』と言ってしまった。たぶん食物繊維が脳に回ったからだと思う。
それに、……太っていた。あの細くてかっこよかったパシュティさんがどこをつついてもプニプニと音をたてそうな体をしていたからだ。
ニ”ャ?(体が重いんだが?)
そりゃー、その体は重いよな。歩く都度によろけるとか笑い取りにきてるし。
「あの時、台所から肉と共にパシュティがいなくなったと思ったら……やけ食いしていて……止めるまもなくて……」
ストレスを感じると拒食になるか過食に走るかするが、パシュティさんは後者だったようです。
「これでは肉を取りにいけないな……」
ニャー。(失礼な! 肉ぐらいすぐに取ってきてあげるわよ)
外に出ようと駆け出し、玄関にたどり着く前に息切れしていた。それを見てため息をつきながら持ち上げ……。
「重い」
腕がプルプルして落としそうになる。抱き上げるようにして持つとアルさんのいる部屋へ連れていった。
「パシュティ、ダイエットしよう」
部屋に入ると怪しげな薬品を混ぜ合わせて、紫色の泡立つ液体になった薬を持って待ち構えるアルさんがいた。不気味な薬品を見て逃げようとするパシュティを赤子のてを捻るように簡単に取っ捕まえ、その口に流し込む。
睡眠薬も含まれていたのかパシュティは眠ってしまった。決して不味さのあまり気絶したのでは……ないはず。舌がダラーンと口の中から垂れてるのは見ていないぞ!
「ペケ君、パシュティを粘土みたいに揉んで」
プルプルしてるのをマッサージすんの? えっ? お肉用意するから頼むって? わかりました!
魔力を込めて揉む。お客さんこってますね? ニクキューは重点的にこりをほぐさないと。プニプニ。
ニクキューを堪能した後は耳だな。今は力なく伏せているがこれをピンと伸ばす。
そんな事をしているうちにアルさんが帰ってきた。戦利品は、見たことあるトカゲだった。
「珍しい潜伏トカゲ見つけちゃった! 近くにいたけど、近くにエサ場あったかな?」
たぶん昨日、虫とワニ口ネズミを食ってた奴だろう。足に噛みつかれた後があるし。その前に食えんの? それ。
トカゲさん! いや、トカゲ様! スンマセンでした! 食えんの? ってチョーシくれてました!
軽く火で炙っただけだけど、噛んだ瞬間の肉汁と柔らかさは歯がなくても食えそうでした。旨さに一時放心してたもんね。
久しぶりの肉にパシュティさんの事を忘れてました。まだ目を覚まさない。……とりあえず、放置で。肉の味を反芻しながら寝ます。お休みなさい。
朝になると、パシュティさんの様子を見に行く。そこにはミイラとみ間違うほどに痩せ細ったパシュティさんがいた。意識は無いみたいだ。
「んー、薬が効きすぎたかな?」
他の薬を飲ませて放置を繰返し、太ったり痩せたり不眠症になったり毛玉になったりしたが、何とかもとに戻った。
ニャ?(私の名前なんだっけ?)
もとに戻るには、もう少しかかりそうだ。




