アルスロウネはこう呼ばれている。
アルさんに半日かけて人食い魔女じゃない事を説明されて、心なしやつれたアルさんに『勘違いって誰にでもあるよねっ』と言ったら更に疲れた顔をされた。
そしてパシュティに、ニクキューパンチを食らった。ある意味ご褒美です!
「冗談はそれくらいにして……」
「……冗談で、半日……」
フシャァァァ!
落ち込んだアルさんを見てパシュティが怒っている。ニクキューパンチ、カモーン!
……引っ掛かれました。碁盤の目みたいに顔がなってます。
「アルさん、傷薬ってあります?」
そんなすみっこで『の』の字書いてないで。痛いのよ! ヒリヒリするのよ!
「は~、痛いの痛いの飛んでけー」
人の頭に手を置いて何言っとるだか! そんなんで、傷が……。
「痛くない! 傷が消えた!?」
アルさんの顔を見ると得意気だ。さっきまで『の』の字書いてた人とは思えない!
「ふふふ、傷薬もあるけど治療術の方が早いからね」
その笑みは柔らかく女性でも男性でも頬を赤く染めるだろう。俺も一瞬だけ見惚れた。
「それに傷薬使うともったいないしー」
あ”あ”? もったいない?
「傷薬は売り物だし、作るのに時間がねぇ?」
もったいない発言でジト目でアルさんを見る。
「アルさん、あんた何者なの? 傷薬作ったり、治療術使えたり……」
まさか、長老? 長老にしてはノリが悪いが……。
「ふふふ、教えてあげよう!」
「けっこーです」
「ふふふ、ふふふ、うっうっ……」
ニャー!(よけいな事、言うから泣いちゃったじゃない!)
何、この豆腐メンタル。このままでは不味い。飯に影響がでるかもしれない。
「アルさんのこと、聞きたいなー。すごいんだろうなー。」
ニャ。(棒読みって)
うるさいよ! こっちも必死なんだ!
「ホント?」
orz 状態から期待するような目で見上げてくる。
「ホントーにアルさん。いや、アルスロウネ様の事を知りたいな」
目がキラキラと輝いている。パシュティもなぜか嬉しそうだ。
ニャ。(よし! このままいけば今夜はお肉がでるわ!)
マジっすか!
「そこまで、言うなら教えてやろう!」
立ち直ったのはいいが、テーブルに立つなよ。
「私、アルスロウネはあらゆる錬金術、魔術を修め、貴族に頭を下げられて教えを乞われる日々に嫌気が差してこの魔の森の魔物や植物の生態に興味をもち住み着いた! 人は私を森の賢者と呼ぶ!」
パチパチパチパチ……。
この拍手はいったいどこから聞こえてくるの? 握りこぶし上げてやりきった感出しているアルさん?
「成る程、森の賢者さんだったんですね」
「あれ? 森の賢者に変な副音声が付いてない?」
いえいえ、付いてないよ。パシュティさん納得した様にアルさんを見ないで! かわいそうだから。
アルさんの機嫌が良くなり何処からか手に入れたお肉が食卓に並んだ。鶏肉のような味だった。
……まさかね?




