……変態さん? 違いますよ!
ナー!(どこだここー!)
叫び声は木霊して、木々の間に消えていった。ここって、前に入った所よりでかい木だらけでどう見ても人は来ないだろ! ワニの口もった俺よりでっかいネズミチョロチョロしてるし。
人化しよう。猫がネズミに食われるのは種族的に屈辱だ。遺憾ながらぼうけんしゃのふくとズボンを着て木の棒装備する。今考えるとすごいな勇者。こんなんでよく旅に出れるよな。
とりあえず川を探すか。川があれば飲み水も困らないし川沿いを行けば村かどっか人が居るとこに着けるだろうから。
途中でどうしても避けきれなかったワニ口ネズミを木の棒で切り捨てて、……表現がおかしい? ワニ口ネズミを叩いたらスパって切れたんだよ。
頭が真っ二つでグロッ! この後、スタッフが美味しくいただきました。味は鶏肉と言っとこう。
そしてやっと待望の川……じゃなくて家を見つけた。森の中にポツンと柵に囲まれた一軒家。全体的に蔦のようなものに覆われて不気味この上ない。
「……魔女とかいそうだな」
人のままでいると今夜のおかずの一品にされてしまうかもしれない。……猫に戻ろうか。
そう思って着ている服を脱ぎかけた時、
ニャー。(誰だよ。こんな時間に)
猫の鳴き声。声の方を見ると柵の上にグデーって感じにもたれかかっている尻尾の短い灰色の猫がいた。
ニャー?(そんな所で脱ぎ始めるなんて……変態さんかな?)
いえいえ、これは違うんですよ! こんな粗末なパオーンはしまいますからちょっと待って!
わたわたしながら頭と片腕、ズボンも片方だけあげた所で、
「パシュティ。おきゃくさんかい?」
ニャー。(ただの変態さん)
猫の側にいつの間にか男とも女とも見える青黒いローブを着た人が立っていた。首に巻いている赤と緑の混じりあったマフラーを手で弄びながら、
「こんな所で服を脱いでしまうなんて……街から逃げてきた裸族かなぁ?」
イタズラを思いついた子供のような表情でこっちを見てくる。ニヤニヤすんな!
ニャ。(裸族? それなら仕方ないな)
「違います! 虫! 虫が服の中に入って痒かったから脱いだだけです!」
急いで服を着て叫んだ。
「……そう言う事にしとこうか? 迷子君」
そうです。迷子です。ついでに食い物も下さい。
ニャー?(変態をうちに入れるの?)
灰色猫のパシュティさん。その認識はやめてください。傷つきます。
「僕は……ペケりんと言います。ペケとよんでください」
「私はアルスロウネ。アルと気軽に呼んでいいよ。この猫はパシュティ。この魔の森から自力で出るのは不可能に近いけど頑張ってね」
……魔の森? 出れないってどういう事?




