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少女の小さな願い事  作者: Marimo
Side.C
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Side C-8

空には欠けた月が昇っていた。


小屋へ向かう中、気がつくとリクに話しかけていた。

「昨日あんなにぐったりしていたのに、良かったな……でもなんでリクがこんな酷い目にあわなきゃならないんだろ。なにか悪さでもしたのか?」

じっと顔を見上げるが、返答ない。

「まぁ、いいんだけどさ……カノンに心配かけないようにしてくれよ」

擦り寄ってきたリクについ嬉しくなる。どうやら何度か会っているうちに気を許してくれているようだった。そんなリクが鼻を動かして道の先を見る。

坂道の途中、まだ小屋は見えないが道の先は明るい。


「なんだこのにおい」

遅れて僕も気がついた。どこからか鼻をつく何かが焦げた臭い。

あたりを見回しても、当然なにも見えない。

月明りではない明るさに向かって、先ほど以上に早足で坂道を上がっていく。


次第に見えてきた明かり、それに対する違和感。


咽るような黒い煙が崖へ向かって流れていく、その中心。

思考と体が停止する。


どうして?

いったいなにが、



「はぁっ、はぁ……なんで、なにが」



目の前に、確かに昨日まであったはずの小屋だったものが焼け落ちていた。


「カノン!?カノン!」


消えかかった火と黒くなった小屋の焼け跡に呼びかけても返事が無い。

その場に膝が崩れた。


なにがあったんだ?

昨日見た男達と、おびえていたカノンと、リクのケガと、

色々なことが頭のなかをぐるぐると回る。

ポタポタと汗が肌を撫でて落ちていく。

リクに煙が行かないよう、落とさないよう手の力は保ったまま、膝からは力が抜けてその場に座り込む。


崩れた元小屋だった跡には、当然カノンの姿はない。

言いようの無い恐怖と焦りが体を振るわせる……



「おい!」



「ーッ!?」

とっさに呼びかける声に体が跳ね上がる。

小屋の影から現れたのは、迷彩柄の服を着た銀色の短い髪の男。

片手は腰のホルスターについた銃に添えたまま数歩近寄ってきた。


「だ、だれだよ!あんた!この火事はあんたがやったのか!?」

リクを抱きしめたまま立ち上がり距離をとる。

「いや違う、俺は軍の調査としてこの山の村へと来たんだ。キミこそここの家の持ち主か?」

よく見ると、確かに軍の証であるバッチが胸元についていた。

アイク上官の話も思い返す、いや、それよりも

「違う、でもここに居た子は知り合いなんだ!なぁ、なにがあったんだ?どうしてここが燃えてて、なんでカノンはいないんだよ!」


「……やっぱり、あいつらの方か……レックスさんに伝えないと。」


ボソボソと独り言を話されてもわけが分からない。

ただ、この人は何かを知っているのだと思えた。

こちらに顔を向け、ゆっくりと話す……


「いいか?ここに居た子は、たぶん近くの村へ連れて行かれている。住んでいるところを焼くほどだ、きっと良くないことしか起きないと思う。そんでキミはその子を知っているんだろ?なら一緒に来てくれ、助けたいと思う」


その言葉に反射的に頷いた。

昨日の男達と腕の中のリクのケガを思い出す、もしこんなことがカノンにされていたら……ぞくっと背筋を悪寒が走る。

ホルスターから手離した男は数歩近寄ってくる。

「あ、あの、僕、この山に課外実習に来ていたカールベルテ校の少年隊です、ライナスっていいます。すみません、失礼なことを言ってしまいました」

「まぁ、この状態じゃ悪いやつに見えるだろうよ。それにしても奇遇だな、今回俺と一緒に来ているやつにカールベルテ出身がいるぞ、お前の先輩ってわけだな。俺はアレフ、陸軍本部の第三部所属だ。……ところで、その猫はペットか?」

ずっと抱きかかえていたリクを指差してアレフさんは首を傾げる。


「僕のじゃなくて、ここに住んでいるカノンの家族です。ケガをした治療で昨日僕たちのテントに運んでいて、回復したので返しにきて……」

「そうか、置いていくわけには行かないし、悪いがそのまま連れてってくれな」

「はい、もちろんです!」


アレフさんは小屋から森を見回すと村の方向を確認し、

「よし、向かうぞ」

「はい!」

先導して走り出した。

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