表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

PR
8/9

ターゲット達


 翌日。黒崎のアパート。テーブルの上にはノートパソコンと大量の写真が並べられていた。

ミコは思わず息を呑む。


「これ……」


「お前をいじめてた連中だ」


 黒崎はコーヒーを飲みながら答えた。


「SNSから顔も生活パターンも全部調べた」


 写真は五枚。一人ひとりの名前が書かれている。黒崎は一枚目を手に取った。


「佐藤由奈」


 由奈の笑顔の写真だった。学校では人気者で、教師からの評判もいい。だが、その笑顔の裏でミコを笑い続けた張本人だった。


「主犯格だな」


 ミコは静かに頷く。


「黒板に『ミコ自殺予想』って書いたのも、この人です」


 次の写真。


「山本愛」


 茶髪の女子だった。


「スマホ担当です」


「担当?」


「私の写真を勝手に撮って、SNSに載せてました」


 三枚目。


「高橋優香」


 ショートカットの女子。


「暴力担当です」


「なるほど」


「体育館裏で何度も殴られました」


 四枚目。


「藤井翔太」


 笑いながらピースしている写真だった。


「優香の彼氏です」


「机に『死ね』って書いたのも、この人です」


 黒崎は写真を机へ戻した。そして最後の一枚を手に取る。黒髪の女子だった。制服も髪型もきちんとしている。どこから見ても優等生だった。


「西園寺麗華」


「政治家の娘です」


「政治家?」


「学校にも影響力があります」


 黒崎は写真を見つめる。麗華だけは他の四人と少し違った。直接ミコを殴ることはない。机に落書きもしない。だが。いつも教室の一番後ろで笑っていた。誰よりも楽しそうに。


「いじめには参加しなかったのか?」


 黒崎が尋ねる。ミコは首を横に振った。


「参加してました」


「でも……」


「自分では絶対に手を汚さないんです」


 ミコは写真を見つめたまま呟く。


「『汚れるから嫌』って」


 黒崎は何も言わず、ただ楽しそうに、五枚の写真を並べる。 


「一人ずつ追い詰める」


 黒崎は静かに笑った。


「恐怖は伝染する」


「一人が壊れれば、次も怖くなる」


「二人壊れれば、残りは勝手に怯え始める」


「やれるな、ミコ」


 即答はできなかった。ミコは五枚の写真を見つめた。本当に、こんなことをしていいのだろうか。復讐が終わっても、自分は元の自分には戻れないかもしれない。 


 それでも――。あの日々を忘れたまま笑って生きているあの五人だけは、許せなかった。ミコは小さく息を吸い、ゆっくりと頷く。


「……やります」 


 黒崎は静かに笑った。


 こうして、五人への復讐が始まった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ