第4話 亡霊デビュー前
「どんな手を使ってでも復讐する」
黒崎の言葉が頭から離れなかった。
私にできるだろうか。そもそも、復讐が正しいのだろうか。ミコにはわからなかった。
散々笑われた。死ねと言われた。そんな連中が今さら怖がるとは思えない。
「納得してない顔だな」
黒崎が言った。ミコは正直に頷く。
「だって信じられない」
「何が?」
「私を見て怖がるなんて」
黒崎は笑った。
「じゃあ試してみるか」
「試す?」
「ああ」
黒崎はパソコンを開いた。動画サイトの画面が映る。派手なサムネイルに大げさなタイトル。黒崎が再生ボタンを押す。
『どうもー!』
若い男がカメラに向かって叫ぶ。
『今回は心霊スポットに潜入しまーす!』
ミコは眉をひそめた。動画の中で男は立入禁止の廃墟へ侵入していた。壁を蹴る。落書きをする。大声で騒ぐ。コメント欄には批判が並んでいる。
「こういう奴は怖がらせても罪悪感がない」
黒崎が言った。
「練習台にはちょうどいい」
ミコは画面を見つめる。
確かに腹の立つ男だった。
だが。
「私にできるかな」
思わず本音が漏れた。黒崎は肩をすくめる。
「知らん」
「え?」
「やってみないと分からん」
あまりにも適当な返事だった。ミコは呆れる。だが少しだけ気持ちが軽くなった。
「失敗したら?」
「その時は逃げろ」
「……」
「大丈夫」
黒崎は笑う。
「お前はもう一回死んだも同然だ。死んだんならなんだってできるさ」
ミコは思わず吹き出した。なんだかその言葉が私を安心させた。
その日の夜。
二人は迷惑系配信者が向かうという廃ホテルへ向かっていた。




