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金色と漆黒  作者: 雨後乃筍


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波乱と退屈

夏美は一瞬ためらった。


「あの、私…」


「いーじゃん。つまんなそうな顔してるし、今日は飲んで忘れよ。ほら、これ」


冬香は、焼酎パックを掲げて笑った。爪のマニキュアは剥げかけていた。


その笑顔は、太陽の光のように眩しく光っていた。


夏美は、普段なら絶対しないであろう行動をとった。


少し座る位置をずらし、この女性のために、隣を空けたのだった。


夏美の目の前に、見たことのない「自由」の扉を提示したように感じられた。


夜風が少しだけ熱を冷ます。


冬香は夏美の隣にドカッと座ると、紙パックの焼酎をぐーっと飲みだした。


「夜になってもまだまだ暑いねー、あ、私冬香って言うの、春夏秋冬の冬に、香りね」


夏美は、自分も名乗ろうか躊躇した。


「あ、あの私は‥」


「あ、いーのよ、無理しなくて。こんな初対面の人に個人情報教えたくないもんね、だから、おねーさんって呼ぶね」


夏美はなにも言えず、頷いただけだった。


「おねーさんが、つまんなそうに公園のベンチで飲んでたからさ。ほら物騒じゃん?私もちょうど飲みたい気分だったし、ね?」


冬香は、弾けるような笑顔で言ってきた。


いいな、この人は。きっとつまらない悩みなんてなくて、人生楽しいんだろうな。


「私さ、今日、日本に帰ってきたとこ。だから帰国のお祝いしたくてさ。おねーさんがここにいてくれてラッキーだったってわけ。だって一人で祝杯なんてありえないでしょ?」


冬香は軽く自分の持っていた焼酎パックを掲げてみせた。


夏美はつい笑ってしまった。


「焼酎で祝杯って、ちょっと合わないですね?」


「そお?だって安かったし。度数も高いし」


二人は笑いあった。


「どこか海外に行ってたんですか?」


「そ、18ぐらいの時からね。もう9年ぐらいになるかな」


18歳で海外!夏美は驚いた。自分が大学に入学したころに、この人は海外に行っていたんだ。


「18歳から海外って、留学とかですか?」


「ぜーんぜん、私高校もまともに行ってないよ」


「え?」


「日本から逃げ出したのさ。身一つでね」


夏美は、この金髪で輝いている女性の人生に興味を持った。


一体どんな人生をおくってきたのだろう。


夏美が夢見た波乱に満ちた人生を想像した。


だが、冬香の送ってきた人生は夏美の想像を超えた波乱に満ちていた。


<つづく>


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