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【アニメ2期!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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そしてつかまる。


ミシェルを見つけたのは一瞬だった。


ついさっきにも視た、全く同じ過ぎる部屋で煌々と光る炉の前で崩れるように倒れていた。手足をそれぞれ繋がれたまま、まるで犬のように首枷に繋がれた鎖を引っ張られている。

顔の傍には、男が落としたのだろう焼印がまだ熱を持っているのが見るだけでわかった。駆けつけ焼き印を靴で蹴り飛ばす間に、近くにいた護衛達はアーサーに薙ぎ倒され床や壁に後頭部を打ちつけた。

先ずは、ミシェルの鎖を両断する。手も足も、首からの鎖も全ての繋がりを斬る。棒立ちの男へ膝から飛び、そのまま押し倒した。もうミシェルには指一本だって触れさせはしない。

茫然と口を開けたまま固まる男は、私の体重でも充分に転倒させられた。背中から仰向けに倒れる男を足蹴にしたまま、瞬き一つしない顔の横へと剣を刺す。鉄をも斬る剣は、ズシャンと半身近くを床へと貫通させた。

そこでやっと我に返ったように首と目で剣の場所を確かめる男の顔は、薄暗い部屋の中でも炉の灯りではっきりと表情全てが見て取れた。焦りもまだない、自分がこんな目に遭うなど想像もしていなかった間の抜けたその顔に。



「下郎が」



侮蔑を込め、吐き捨てる。

言い切った時には、ハリソン副隊長が部屋にいる全員を無力化してくれた後だった。アーサーと並び立ってくれているのが視界の隅に見えた。続いて「ジャンヌ!!」とアラン隊長を初めとした騎士達が入り口から駆けつけてくれる。

私が下敷きにした男が、何かしようとしたのか。ドスッという鈍い音と同時に大きく目を見開き絶叫する。足までバタつかせて乗ってる私まで揺らされた。顔だけで振り返れば、ハリソン副隊長が男の右手をナイフで床に串刺して固定していた。多分、私の見えない背後で何が不審な動きをしようとしたのだろう。いつの間にか自分まで荒くなっていた呼吸の中で思う。


「ジャンヌ。……後は、こっちに任せてください」

不意に肩に触れられ、肩ごと息をしていたことにも今気付く。そっと柔らかな声に振り返れば、アーサーだった。少し顔が強張ったような真剣な表情は、私が独断行動したことを怒ってるのかもしれない。私ほどじゃなくても珍しく少し息が乱れてる。

私の代わりに自分の剣を男の首へと突きつけるアーサーの背後では、今もミシェルが力なく倒れこんだままだった。そうだ、今は彼の方が大事なのに。


反対の手で促すように差し出してくれるアーサーの手を取り、抜いた剣を鞘に納めて男の上からゆっくりと立ち上がる。真っ直ぐにこちらへ駆け込んできたアラン隊長が私と入れ替わるように、男の捕縛にかかってくれた。他の騎士達も倒れた男達の捕縛を進める中、カラム隊長とエリック副隊長がミシェルへと優しく呼びかける。もう大丈夫です、聞こえますかと優しい声を掛ける二人に、ミシェルも言葉は出さないままも真っ直ぐに見つめ返していた。少なくとも意識はある様子にそれだけでもほっとする。痛々しい鞭の後はあるけれど、予知した傷はない。


「ミシェル……」

アーサーに手を取られ、胸を撫で下ろしながら歩み寄る。

切れた鎖をぶら下げた枷はついたまま、カラム隊長の補助を得てゆっくりと身体を起こすミシェルはまだきっと状況を飲み込み切れていない。

私が呼びかけたところで、視線は四方に散らばり小さな口を中途半端に開いたままだ。

ぐしゃぐしゃに乱れた衣装に、絡み合う長い髪。それでも透き通る白い肌と華奢な身体そして中性的な顔立ちは、わかっていても女性に見えてしまうほどだった。

カラム隊長が背後から彼に自分の上着を羽織らせる中、まだ表情もあまり動かない。呼びかけられても言葉を話さない彼を前に、私は一度両膝をつき目線を合わせる。その途端、彼の唇が微かに動いたけれど声にはなっていなかった。空っぽの息だけだ。

「無理に話さなくて良いわ」と言葉を掛けながら彼の手を取る。今この瞬間までどれだけのことを強要されたか、……考えるだけで苦しくなる。


「遅くなってごめんなさい。もう、貴方を縛り付ける者はいません。騎士団と一緒に帰りましょう」

「…………か、ぇ……」

ぽつりと、聞き取れる音を溢した。

視線が今度は目だけでなく顔ごと左右へ交互に動く。部屋中を見回しているようにも、拒絶の意味にも見えた。何度も交互に顔を動かした後には視線が誰へでもなく下へと落ちた。

床へと両手をつき、ぺたりと座り込んでいた足を立たそうと震わせている。あまりに震えが酷すぎて上手く力が入らないようだった。


「……ぇ、ない……く、……りじゃ……」

ぽつり、ぽつりと聞こえる音は全ては拾えない。

待って、無理をしないでと呼びかけても彼は動こうとする。足を震わせ、片足を立たせても力の入れ方すらわからないようにカクンと崩れてしまう。折角羽織らせてもらった上着がずれ、落ちる。

闇オークション会場では少なくとも歩けていた筈なのに、まさかここに来るまでに何かをされたのだろうか。単純に腰が抜けてしまったのかもしれないと、遠くに蹴り飛ばした焼印が視界に入ってから思う。

途中から歩くのを諦めたように四つ這いでも出口の方向へと向かおうとする彼に、上着を羽織らせ直したカラム隊長が抱え上げようとしたけどそれも拒まれた。カラム隊長の胸を押し出すように細い手で突っぱねる。また、上着が落ちた。


「ぼっ……僕、駄目……!僕だけ、じゃ」

「先ずは医者にかかりましょう。話なら後で聞きます」

やっと言葉らしい発声が放たれ、特殊能力ではない彼の喉だけの声にカラム隊長も落ち着かせるように重ねた。それでも、今度はしっかりと意思を示すように彼の首が横に振られる。じわりと目元を滲ませ、苦しそうな眉間を狭めた表情はきっと自分の為じゃない。

嗚呼そうだ彼に言うべき最初の言葉を間違えたのだと、私が思い出す。予知のことばかりを気にしていたせいだ。

やだ、やだと。繰り返す彼に手を伸ばす。まるで子どもの駄々捏ねのようにカラム隊長を突っぱね手をバタつかせるミシェルへ、今度は私から両腕で捕まえた。ボロボロになった衣装越しの身体は私が想像した以上にひどく冷え切っていて、まるで人じゃないようだった。

何が起きたかわからないように全身を硬ばらせ、言葉が止まる彼を抱き締め、温める。


「大丈夫、会えます。……貴方の────」

冷えた耳に顔を近付け、囁く。ぐしゃつき跳ねた彼の柔らかい髪が瞼や額にあたったけれど構わない。

大きな身震いの後、バタつかせていた彼の手から力が抜けたのが腕の中でわかった。呼吸が止まったんじゃないかと思うほど、彼の動きが全て止まった。手だけじゃない、くっついていれば感じるはずの肺の動きも、酷かった震えもぴたりと。胸越しにうっすらと伝わる鼓動だけで、彼が生きてることを確かめる。

「ほんと?」の声は、十秒以上経ってから。それも、歌声とは別人のようにか細かった。抱き締めた腕を少し緩め、至近距離から彼の顔を覗く。「本当よ」と私からははっきりと皆に聞こえるくらいの声と心からの笑顔でそれを返した。


「だから今は貴方のことを大事にしてあげて。そうしたら、ちゃんと会わせますから」

「────が、そう……?」

「いいえ。だけど、貴方が死んだら悲しむわ。……ね。だからもう、休みましょう」

絶対に大丈夫だから。そう約束して、寝る前の子どものようにミシェルの髪を正しい方向へと撫で、わけた。

さっきまでの呆然とした様子が嘘のように、真っ直ぐ私を見つめ返してくれる。大きく開いた目から、自分でもわかっていないと思うくらい大粒の涙が溢れて顎まで伝い切れずにいくつも落ちた。開いたままの口から、猫のような呻き声が聞こえたと思えば嗚咽に変わっていく。

あんなに冷たかった身体が急激に熱をもっていった。胸が大きく繰り返し上下して、綺麗な歌声が嘘のように喉がガラついた泣き声を放ち出す。ぐらりと彼の身体が傾いて、私の腕では支え切れないくらいに体重がかかってきた。白い肌が頬から鼻まで紅潮して、ずびりと鼻を鳴らす姿は子どものような泣き方だった。

私も抱き締めているだけじゃ力が足りず、一緒に傾き倒れそうなところをアーサーが背後から支えてくれた。私の腕に重ねるように、私ごと抱きしめてくれるようにしてなんとか共倒れはしないで済んだ。けれど倒れ掛かるミシェルは傾きが変わらず、むしろ大きく開いていた目も薄くなっていた。焦点のあっていない目と重くなっていく瞼の彼に、意識が遠のいているのだとわかった。

最後は崩れたまま私の胸に顔を埋めるようにして眠る彼を、そっと自分の膝へとずらし寝かす。乱れたままの彼の髪をもう一度撫で、掻き分け、許される範囲だけでも整える。……良かった。ちゃんと、思い出せて。

カラム隊長が他の騎士を指名して、ミシェルを診るように言ってくれた。恐らく七番隊か、怪我治療の特殊能力者の騎士だろう。指示を受け、歩み寄ってきてくれる騎士に私は後を託




「ッ止まれ!!!」




突然の。

()()()()()()()怒号。姿が見えないまま聞こえた彼から二度目が放たれると同時に、私の身体は強引に引っ張り込まれた。

膝の上にいたミシェルの頭が床に着地するのを見ながら頭を打ってないかしらとどこか呑気に思う。ほんの一瞬で、ついさっきまでいた場所から大きく遠退き皆の背中ばかりが見える。瞬きをするくらいの間で、背後からの不意打ちに抵抗どころか予知をする間もなかった。

本当に、ステイルの瞬間移動くらいに視界が変わって、何故ロドニーが叫んだのか、何故私が引き離されたのか、何故

















……ミシェルが、消えたのか。



















正しく理解できたのは、私を抱き抱えたアーサーごとローランドに透明化されたと気付いてからだった。


本日22時に更新します。

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― 新着の感想 ―
ティペット来る可能性あるのかな……?
いやぁーーー!!!めっちゃ気になる!! たくさん更新うれしい!!けど、つぎまでが待ちきれない!w
ここでティペットくるのか?
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