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【アニメ2期!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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Ⅲ321.騎士達は辿り、


「では、我々はこのままスタッフ通用口へ」


そうロデリックがミスミの警備隊長を促したのは、一度部下である騎士を複数名呼び出した後だった。

正面の会場扉に並ぶフリージア王国騎士とミスミ王国警備の兵士達以外、人払いがされている。一般スタッフのみならまだしも、ミスミ王国会場の異変を知った他国護衛代表者も一時的に建物の入り口手前まで下がった。ミスミ王国と異なり、フリージア王国と同盟を結んでいない国々にまで特殊能力の使用詳細は明かせない。

ロデリックに指名された騎士により、閉ざされた扉の前でも大体の状況は確認できた。優秀な温度感知の騎士は、一度で扉の前ならず会場全体の配置と状況も大方確認できた。自国の王族を含む、来賓大勢の命がかかっている現場と名誉挽回に与えられた機会に、大勢の死者も重傷者の存在もある差し迫った状況を把握した。ただし、それが味方か敵かまでは判断がつかない。

正面扉の前にはどの扉と敵か味方かわからない数が複数集まり、佇んでいる。それが脱出を試みようと様子を伺う来賓か、見張りの侵入者かわからない以上、やはり正面突破は危険であると判断した。


「こちらがスタッフ用通用口です。正面扉と同じく何度も叩き続けておりますが、反応はありません」

案内された先は直接会場にではなく、競売品の中でも舞台での出品間際の控え部屋に繋がるスタッフ通路への扉だった。

ここを開ければ通路一本で会場舞台裏にもそして競売品倉庫にも向かうことができると、そう説明された扉は簡素だが頑丈な作りだった。事前の説明通り、一度に一人しか通れそうにもない。


「内側からの施錠は缶抜き式なので、鍵もありません」

「トニー」

通用口に辿り着くまでも警備や頑丈な扉を越える為、大勢のスタッフが業務中は繰り返し使用することも多い。スタッフ通路内の扉は施錠も簡素だが、だからこそ外側から鍵なしに開くことも難しい。壊すしか方法はない扉に、ミスミの警備隊も火薬を水面下で用意させているところだった。

その説明を受けたロデリックは連れた騎士の内、一名を指名した。尋ねられるまでもなく「やってみます」と頷く騎士は、前に出るとぺたりと分厚い扉に触れて目を瞑る。人間一人持ち上げる時と比べれば重さは問題ない。それよりも自分の目に見えない物を動かすことはやや困難だと考える。見えない代わりに手のひらをぴったりとつけ、数十秒間眉を険しく寄せ続けたところでガッチャンと缶抜きがゆっくりと上げられた音がロデリック達の耳にも届いた。

ただ騎士が扉に手のひらをつけていただけにしかよう見えない光景に、警備隊長達はぎょっと目を疑う。施錠されていた筈の扉がゆっくりと開かれれば、感謝よりも先に気味の悪さもやや勝った。訳がわからない現象過ぎて、まさかフリージアの騎士達の自作自演かも一瞬考えてしまう。ただ扉に触れていただけの騎士へ賞賛の言葉も思いつかず、半歩身を引いた。


そんなミスミ王国の警備達の反応にも、ロデリックは慣れたように目も向けない。

開かれた扉は少し隙間を空ける程度で留めた〝物体を直接触れず動かす〟騎士の肩を叩き誉めると、そこで引かせた。続けてまた手で合図を出せば、控えていた騎士達の中から四名が入れ替わるように前に出た。直後、その四名全員が姿を消せばミ、スミの警備隊達も今度こそ声を漏らした。四名もの屈強な騎士達が消えた上、触れてもいないのに通用口の扉が開かれ、そして再び閉じられた。警備隊長が声を出さないように部下達にも注意したが、彼もまた状況がわからない。ただ唯一理解できたことは、これがフリージア王国の〝特殊能力〟であることだけだ。


透明化の特殊能力者三名と、その内一名と腕を組み繋がりながら同じく透明化された騎士。四名全員は、音もなくそして文字通り誰の目にも気付かれることもなくスタッフ通用口へと侵入を果たした。

スタッフ通用口自体は大勢のスタッフが行き交い迅速に動けるように充分の広さがあったが、今は騎士達以外誰も通路にはいなかった。通用口自体も人目につかない位置にあり、扉を隠す絵画で偽装されていたこともある。温度感知の騎士により無人であることは確認済みではあったが、しかし裏家業である侵入者どころかスタッフも警備も一人も気配がないことには騎士達も静かに眉を顰めた。侵入者が通用口の存在を気付けなかったことはわかるが、何故スタッフの誰も逃げようとした形跡すら残っていないのか。同時に、そう遠くない距離にある舞台裏からは激しい戦闘音や怒声が聞こえてくるから余計に疑問の皺が深まる。

万が一にも後から扉の存在を気付かれないように再び扉を閉じ絵画で隠した騎士達は、そこで無言のまま次の一手へ移る。腕を組む騎士同士以外、互いに姿を見えない者同士の騎士が連携の取れた動きで戦闘音の聞こえる舞台裏へと向かう。彼らの第一優先は〝未だ〟事態の沈静化ではない。

舞台裏に向かうのも、そこでの戦闘が目的ではなくあくまで目的地への最短距離であるからでしかない。戦闘音に様々な可能性を鑑みつつ、侵入者同士の争いであってくれと願う騎士達が通路から舞台裏へと足を踏み入れた瞬間。



パァンッ!と、新たな銃声が鳴り響いた。



幸いにも騎士達には当たらず傍の壁を抉るだけで済んだが、しかし姿を消したにも関わらず狙撃を受けたことに騎士達も敵の姿を見る前に緊張を走らせた。やはり会場を占拠するだけの腕前はあるらしいと敵を再評価する。

気配も消していた筈だが、全員がさらに神経を爪の先まで張り巡らせる。姿を消しているにも関わらず、壁沿いに身体をぴったり付けながら今度は数秒様子を伺った。視覚のみに頼らずとも、目と鼻の先にいるだけで拾える情報は多い。真新しくも生臭い鉄の匂いと、自分達のところまで溢れ流れてきているほどの血液量。変わらず戦闘音が繰り返されるが、微かに拾える足音はたった一人であることにその人物が自分達の気配にも気付いたのだろうとまで騎士達はそれぞれ推測する。

ズシャリとまた一人を殺害したのであろう刃物独特の音が聞こえた直後、素人ではない足で今度は自分達の方へ近付いてきた。姿を消している自分達へ、明らかに確信を持って接近を試みている人物に騎士達も気配を消しつつ壁の先を覗き込んだ、その瞬間。


「ッ?!待て味方だ!」

「待てノーマン!!」


ギラリと瞼も消える程大きく見開かれた水色の眼差しとそして敵から奪い取った銃口を突きつけてくるノーマンに、流石の騎士達も顔色を変えた。

ノーマンの名前こそ出ずとも同じフリージア王国騎士団であることは覚えていた騎士と、ノーマンの名前も思い出せた騎士が声を上げ、更にノーマンが反応し肩を揺らしたところで騎士一名は敢えて透明化を解き姿を現した。見間違いようがない白の団服を前に、ノーマンも一瞬だけ思考が停止し再稼働する。

一人で舞台裏の裏家業全員を相手にしていた中で、場所を忘れるほど神経が研ぎ澄まされてしまったせいで壁の先にいる微かな気配まで勘付けてしまったノーマンは、あと少し騎士達からの反応が遅ければ辺り構わず弾が尽きるまで撃っていた。ちょうど新しい銃を死体から奪ったところで、手に余っていた旧式を〝正体不明の気配〟の探るために消費するところだった。

見間違いようがない騎士団の団服を前に、今まで忘れていた分の鼓動を耳の奥で自覚するノーマンは、すぐには話せなかった。ハーーッ……と肩で息をしつつ、まだ瞬きをしていない目は姿を現してくれた騎士へと釘刺さる。まだ完全には切り替えられず、視界以外の全てが他に残った侵入者が動いていないか人質に接近を試みていないかに休みなく回り続ける。


自分達が現れてしまったことにより、足と同時に最高潮にまで上がっていた集中力を持て余し続けるノーマンに、透明化の騎士も「落ち着け」「八番隊のノーマンだな?」と繰り返しながら潜めた声で自身の所属隊と共に名乗る。

現状を簡潔に説明するべく口を動かすが、その間もポタポタとノーマンの全身が赤く滴っていた。遅れて吹き出した汗と返り血が混ざり、出来たての死体以上の異臭を放っていた。

先輩騎士達から説明を受け、ノーマンも集中力と引き換えにやっと会話も可能な程度には頭も回ってきた。「失礼致しました」と最初に銃を向けたことを謝罪してから、姿勢をきちんと伸ばす。まさか味方の騎士に銃を向けてしまったことに小さく口の中を噛んだノーマンだが、そもそも何故自分に気付かれてしまうのかと言及したくなる。自分が拾えた気配は四人中のたった一人だったが、その一人もしっかりと気配を消していてくれれば自分も誤認して攻撃することなどなかった。

しかし今はそれを言うような悠長な状況ではない。それよりも、ハリソンより遙かに話が通じる騎士と情報共有ができることを喜ぼうと切り替える。姿を見せないままの騎士三名を含め、合流した騎士達に今度は自分から把握している状況を説明する。侵入者が人質と引き換えに扉を閉じるように脅迫し、会場に立てこもっている。女王により各近衛騎士が沈静化の命を受けたと、今自分が説明すべき内容を的確に纏めた報告はどの騎士達の耳にも的確で、必要最低限だった。この後に女王の下へと合流する予定である騎士達が、辿り付くまでに必要な情報だけに絞り、ハリソンが侵入者のいる地下本部から通路の爆破も行ったと女王に伝えるべき伝達を優先した。


「自分は、……もう一仕事で終える予定です。スタッフや警備に重傷者は見られない為、スタッフ数名と協力しその後は会場裏の巡回と追撃に移るべきと考えています」

仮にもフリージアの騎士の特殊能力を見られた以上、侵入者達は全員息の根を止めなければと脳裏で結論付け、大振りのナイフを握り直した。

ノーマンの言葉に、騎士達も異議はない。任せた、とその言葉の後には唯一姿を現した騎士も再び透明化する。彼らの気配が消え、遠のいていくのを十秒だけ時間を数えて待ちながらノーマンはまた深く息を吐いた。

呼吸を整えつつ、最後の残りたった四名の侵入者を五感全てで捉える。既にこれまで舞台裏に溢れかえっていた侵入者、名のある裏家業や闇オークション来賓王侯貴族の護衛を任されていた者達まで掃滅した騎士を前に、完全に腰を抜かし戦意を喪失した者達だ。人質を取るどころか、逃げることすらも削げた者達は男女それぞれ異なったが、息を吐ききったノーマンの目は変わらない。

たとえ命乞いをしたとして、もう彼らは死罪が決まっている。いくらこの会場に被害を与えるつもりはなく逃げてきただけだとのたまっても、彼らが全員闇オークション参加者であることは事実。違法奴隷や盗品、薬物に非正規武器まで取り扱うような催しに参加をした彼らにどのような理由も許しに値しない。

呼吸を深くゆっくり、と。それを意識しつつも、それに反して床を蹴る足に鋭く迷いはない。悪党に慈悲をかける気もなければ、後悔させる時間を与える気も当然楽しむつもりもない。


油断はせず、しかし次の工程を頭を練り直しながらノーマンは再び任務へ戻った。



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― 新着の感想 ―
ノーマンやべーです。八番隊みんな、あんな機械っぽいのかと思うと鳥肌がたちました。ハリソンの笑いながらも怖かったですが暗殺者や機械のように標的だけを的確に、単騎でいくのはさすがですがちょっと恐怖でした。…
更新お疲れ様です! いや〜……ノーマン最近の回で、わかるんですけど…すごく!有能ですね!騎士団全体的に有能なんですけどなんというか…、言葉にするのが難しいのですが、…………ノーマンは凄いです!!(語彙…
お話の更新をありがとうございます。連日楽しく読ませていただいてます。 登場人物の配置に唸ってしまいました!展開は想像できますが、騎士個々人の活躍や描写が想像を遥かに超えて、このノーマン回にも胸躍り、ド…
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