表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
【アニメ2期!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

2394/2402

Ⅲ318.女王付き近衛騎士は任務を遂行し、


「旦那様お下がりください!!」

「お嬢様こちらに!」

「死んでも陛下をお守りしろ!!」

「警戒を崩すな!!服装に騙されるな!」

「近付いてくる者は全員斬りつける覚悟でいけ!」


侵入者の発生から、警備だけでなく護衛達も体勢を立て直すまで時間はかからない。

武器こそ持ちえないが、全員が公式の場で身辺を守ることを任された護衛の専門家だ。隙を突かれることさえなければ、それ以降は自らが壁になってでも護衛対象を守り抜く。銃を相手に丸腰の中、護衛対象者の為に負傷する者もまた多く出たが刃物程度であれば応戦する。自身を包む防具や鎧を盾に耐え抜いた者もいる。

人質を取る側も相手を選ぶが、侵入を気取られてからの時間勝負に負けた者から人質を取ることも難しくなっていった。人質になる価値がある者ばかりの会場は、全員が護衛を連れているのだから。中には第三者の救援も必要無く襲いかかってきた相手を押さえつけた者もいる。

侵入者側は自分だけが助かることだけを考えるが、来賓の護衛達は会話すらしたことがない関係であろうとも一つの目的の為に連携し合う。時間が経過すればするほどに、じわじわと劣勢に追いやられるのは侵入者側だった。


それに比例して、侵入者側も悠長にしている余裕を無くし安易に強硬手段へと移っていく。

人質を取れた者は人質を引き摺り、場所を移動しスタッフの脅迫を試みる。自分の命であればいくらでも沈黙を貫こうとする者でも、来賓の命を突きつけられてしまえば逆らうことは難しい。

人質は得られず、しかしまだ侵入者として裏家業達ほどは悪目立ちをしていない闇オークション参加者の上級層達もまた突発的な行動に移る。このまま騒ぎに乗じて逃げられればと考えていた者もいたが、それよりも先に警戒態勢が高まる中で知り合いに気付かれてしまう者も現れた。闇オークションに招待されるほどの富を持っている以上、表舞台に顔を知られている者も多い。

その素性を隠す為の仮面も紛れる為に取り去った後では、知り合いから隠しようもなかった。自分が侵入者だと気付かれ逃げようとする者、気付いた者の命を狙おうと武器を抜く者、気付いた者を人質にして逃げようとする者まで行動は様々だった。

第一波を過ぎて間もなく第二波が生じようとする中、密集する人混みの中から騎士の腕が伸びる。


「女ァばっか狙いやがってドクズ共が」


チッ、と短くはあるが舌打ちを零す騎士が掴んだのは、たった今人質を取ったばかりの貴族の後頭部だった。

ノーマンと連携した時と比べ、全体的に護衛側が巻き返してきていることを長年の経験から肌で感じるブライスは、今は沈黙に結んでいた口も緩んでいた。人質を一度全員救出したことにより、もう水面下で潰す必要はなくなった。あくまで標的に気取られなければ良い。今も、面識があった来賓の令嬢を人質に取ろうと護衛二人を撃ち抜いた侵入者が令嬢を無理矢理護衛から引き剥がしたところで、ブライスが気配を消したのは侵入者の頭を掴むまでだった。

口を動かした時には、背後から引きよせ指を折り、銃ごと人質を解放させてから床に叩きつける。今日だけで何度も繰り返した手法はもう作業に近い感覚になってきた。

周囲に警戒している武器保持者の隙を突くまででも驚きの手腕だというのに、そこからの流れるような迅速さに令嬢の護衛も倒れた先の視界の中で唖然としてしまう。更にはその直後、既に意識を奪った筈の侵入者貴族の顔面を垂直に踏みつけたことで絶句する。「おっと」とわざとらしく零したが、誰の目にもうっかり踏んだような勢いではなかった。


「ッく!来るんじゃねぇ!!ぶっ殺されてぇか?!」

「きゃああああ!!ちょっと!なんでこの私がっ……」

あっという間に主人が潰されたことに、侵入者の護衛がもう一人の雇い主である女性にナイフを突きつける。

女性も自分を守る筈だった護衛が急に手の平を返したことに本気の悲鳴が上がった。冷静に考えてみればこのまま人質の振りをすれば自分だけは助かると二秒遅れて理解する。今度は狙って被害者らしい弱々しい声で助けを求める女性は、裏家業の男にとっては本気の人質であることにも気付かない。

混乱状況である来賓の中、一見すれば同じような立派なドレスを身に纏う女性は来賓と区別がつかない。今度は真正面から人質を取られたブライスは


ドゴッッ、と。自分もまた真正面から女性を先に殴りつけた。


「やっすい芝居を見せんじゃねぇド素人が」

人質にしていた女性が最初に殴られたことに裏家業が目を剥いた隙に、今度は鳩尾へ膝をめり込ませる。

鼻を折られ血を噴きながら白目で崩れ落ちる女性に見向きもせず、鳩尾は耐えた男の髪を掴み、更に同じ急所へ二撃打ち込んだ。内側にある酸素を全て強制的に排出させられた男も、今度こそ気を失う。膝から崩れたところで無造作に投げ捨てられた。

来賓である令嬢の悲鳴を聞きつけた時点で、周囲の状況にも目を配ったブライスが直前まで護衛の男と女性が結託していたのを見逃すわけがなかった。たとえ本物の人質にされていようとも、侵入者である時点で安全など保証はされない。女性に手を挙げることは基本的にしないブライスだが、敵であれば別である。女を狙う人間も嫌いだが、女であることを都合良く利用してくる女性にも反吐が出るほど嫌悪する。

一見すれば来賓である人質まで殴りつけたようにも見えるだろう騎士に周囲も呆然と言葉を無くす中、ブライスは慣れた様子で彼らを順番に指し示す。動作と表情で彼らが仲間同士であることを主張した。これで実は女性が招待状を持つ来賓であればそれは目が濁っていた自分の責任として受け止める覚悟もある。

続いてまた発砲音が聞こえれば、後処理も他の護衛や警備に任せ、駆け出した。怪我人の護衛二人の容態は少し気に掛かったが、今は自分の任務を優先する。護衛である以上負傷も死も全員が了承済と判断する。それよりも新たな被害者を出さないように動くことが騎士の役目だ。

恵まれた体格をものともせず、密集する来賓や護衛達の合間を縫うように気配を消しつつ抜けていく。


「誰でも良い!裏口でも何でも他に出口がわかる奴名乗り出ろ!!そうじゃねぇと弾なくなるまで撃ちまくるぞ?!」

最初に目視できた時点では、裏家業とも判断にしにくい黒服の男が銃を周囲へ方向も決めず突きつけているところだった。

その先では、主人を守って撃たれた護衛が腹を押さえて苦渋に顔を歪めている。銃を持つ者こそ強者になる中で、弾の予備まで充分にあった男は既に同じ乱発で怪我人を次々と出していた。出だしこそ遅く、人質を取るには至らなかったがそれでも銃がある限り誰もが安易に手を出せない。既に何件も被害者を出している男が銃を牽制ではなく撃つ側であることは立証されている。

男に名乗り出るどころか、大勢が密集する会場内で男を中心に大きな空間ができていた。いくら離れても会場にいる限り発砲の射程範囲内だが、それでも距離を取ろうとした。


一度足を止めたブライスは人混みに紛れた場所で頭を掻き、息を吐く。これでは自分がいくら気配を消そうとも気付かれないのは流石に難しい。いっそ二階席から飛び込もうかとも考え見上げたが、角度と距離から届くのは難しいと諦める。

騎士の上着を二階席に置いてきた今、煌びやかな衣装の来賓の中では目立ちにくいブライスは己の顔を俯き隠しながら姿勢を低くし、少しずつ前に進む。人混みの最前にまでそっと出たところで、しゃがむような仕草で更に姿勢を下げ、駆け出した。


「?!なんだテメェ?!!」

パンッパンッ!と突然飛び込んできた相手に、男も雑な照準で連発する。

低い姿勢になったことで、狙い通り銃口の角度も下がり弾は背後の客ではなく何発も床に当たった。そのたった一つもブライスの足を止めることはなかった。

騎士の足で一直線に男の眼前に駆け込んだブライスだったが、その前から男は体勢を崩し銃を手から落としかけていた。凄まじい速度で自分へ飛び出す大男の殺気に、裏稼業の男すら思わず息を詰まらせた。手から溢れそうな銃を間違った構えで握り直し、薬指で無理やり引き金を引きまくる。装填していた最後の弾が偶然にも、ブライスの肩に命中した。

しかし全く足を緩められないまま、直後には首を直接掴まれた。ぐぇっと縊られ声を漏らし、ガチリと撃鉄だけがまた鳴った。

掴まれた首をそのまま圧迫と同時に後方へと、背中から床に押し倒される。首を圧迫された男は頭を守る暇もなかった。締め上げられる首が衝撃に耐えられず、パキッと軋むのを意識を手放す直前に耳の奥で聞いた。

男に意識がないことを目の色で確認し、ブライスはゆっくりと手を引く。男が落とした銃を拾い、低い姿勢から立ち上がれば天井に向けて引き金を引いた。ガチンッとやはり弾のない銃を指先で回し、比較的近くの警備に投げ渡す。恐らく男がまだ補充の弾を持っていると伝え、また次の標的へと歩き出した。話しかけられた警備が銃弾が当たったであろう肩を心配したが、振り返らずに一言で断ったその時。


パァンッパァンッ


「……」

遠巻きに見ていた来賓。その影から今撃たれたと、振り返る前にブライスは()()()()()理解した。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ