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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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Ⅲ305.来襲侍女は騒然とし、


「アーサー!!絶対にジャンヌを離すなよ?!」


わァってる!!と、アーサーがステイルへと喉を張る。

ローランドの特殊能力で再び透明の姿になったアーサーとカラム隊長に続き、ステイルも今はローランドの特殊能力を受けた。第一の目的は達成した以上、もう客に扮する必要はない。


突然の断続的な衝撃と振動に、暫くはその場で様子を窺った。

一度ステイルの瞬間移動で避難も考えたけれど、ひとまず振動が収まったことで原因を確認しにいくことが決まった。

幸いにも天井が崩れるほどの被害には及ばなかったものの、状況によっては倒壊の恐れがあると判断したステイルは急遽保管庫にあるだけの商品も全て瞬間移動させた。騎士団が突入したところで押収する予定だったけれど、このまま倒壊なんてことになったら押収どころではなくなる。

それどころか、騎士団が突入してくるまでまだ少し時間があるのを考えると、状況によっては突入も撤回になる可能性もある。流石に崩壊前の地下に騎士達を突入させることは我が国の騎士達でも危険過ぎる。この振動が我が騎士団とも考えにくい。


道を切り開くのは一番隊のアラン隊長とエリック副隊長に任せ、残す私達は姿を消してその後に続くことにした。「準備は良いですか」と尋ねてくれるアラン隊長に言葉を返し、エリック副隊長の手により扉が開かれる。物騒な音は収まったけれど、扉一枚開くだけでもさっきまではくぐもっていた人の騒ぎ声がはっきりと耳に届いた。


姿の見えない私達に配慮した速度で先頭を駆けてくれるアラン隊長とエリック副隊長に続き廊下へと飛び出せば、一度はアーサーが一掃した廊下にまた大勢が流れ込んできていた。スタッフではなく、服装や仮面の有無から判断して恐らくは来賓だ。

私達、というかアラン隊長とエリック副隊長が駆けていくのを誰も気にとめる様子もない。「助けてくれ」と悲鳴に近い声で一度エリック副隊長が来賓に飛びつかれたけれど、それも流石あっさりと避けて突き飛ばした。

攻撃してくるのなら応戦だけど、そうでない限りは受け流す方向で人の流れを逆走していく。事情を聞くよりも自分達の目で確認する方が絶対早い。


闇オークション参加者が私達を見えずに通り過ぎるのを、アーサーとカラム隊長が私を間に入れてぶつからないように守ってくれる。

ステイルのこともカラム隊長やローランド達がぶつからないように手を伸ばしたけれど「僕よりもジャンヌを」と一人で見事に避けいなす。

とうとう駆けて通路の先にロビーがちらりと見えてきたけれど、不思議なくらいにスタッフとはぶつからなかった。客がスタッフ用の通路に入り込んだ時点で少し予想はできたけれど、警備用のスタッフどころか接客や雑務スタッフも全員ハリソン副隊長とアーサーが倒しきってしまったのかもしれない。

ロビーに近づけば近づくほど、客の騒ぎ声が大きくなってくる。私達がいた時よりも動揺の色が濃い空気感に、目で確認するよりも先にビリビリと皮膚が震えた。戸惑いや不満の声だけじゃない、これは




阿鼻叫喚だ。




「逃げれると思ってんのかあ?ハハッ!逃げれるわけねぇだろ?!テメェらここで死ぬんだからよぉ!」

わああああああああああああああああっっ!!と、恐怖一色の悲鳴や叫び声がまた一際大きく響き出す。

ロビーに出た途端、飛び散った血があと少しで私にかかった。直前にアーサーが前に出て代わりに被ってくれたけれど、お礼を言う気力も今はない。目の前の光景に口が中途半端に開いてしまう。ちょっと、ちょっと待って。なんで、ここに彼が。


「セドッ……ダリオは無事……⁈」

「騎士が付いております。今騎士が見えないということは会場内に戻っているかもしれません」

最初に頭に浮かぶ巻き込まれたら困る人を尋ねれば、アラン隊長達よりも先に傍に立っているカラム隊長が落ち着けるように返してくれた。

ロビーには、変わらず客が敷き詰まっていた。当然だ、会場にはハリソン副隊長がいるのだから一階客は戻れるわけがない。けれど、さっきまでは騒動が終わるまで避難しているだけだった彼らが今は完全に逃げ場を失っていた。

上流階級の来賓も多い筈なのに、ドレスも構わず床にへたり込んでいる人もいる。彼らの視線の先はたった一点、……地上への出口となる扉だ。地震で様子を伺っていた時、ステイル達が一応封鎖したから逃げられる心配はないと話していたけれどそれどころじゃなくなっていた。出口の扉が存在せず、天井からの瓦礫で塞がっている。

人海戦術で撤去すればまだわからないけれど、今はその前に恐ろしい人物が立っている。特殊能力による大きな翼を広げたレオナルドだ。


「御命令とあらば俺が送り返しましょうか?」

苛立たしげな低いステイルの声に私だけじゃなく、騎士達も首を横に振るのが見えた。

確かにステイルなら貧困街にも彼を送り返せる。でも、透明になってる私達を消すならともかく、特殊能力である瞬間移動の存在をここでレオナルドや大勢に披露するわけにいかない。今までのただの裏稼業の巣窟じゃない。立場だけなら王侯貴族だっている現場だ。しかも消すにはレオナルドは注目され過ぎている。


余裕を見せるように両手を広げて見せるレオナルドの足下には既に、血まみれの男達が倒れ伏していた。

服装と体格から考えて、スタッフではなく来客の護衛達だろう。本当はこの場で身体を張って対処するスタッフ達は、やっぱりアーサーとハリソン副隊長が殆ど倒してしまったと考えて良さそうだ。残すはヴァル達の方だろうか。

レオナルドの足下にいる男が一人ピクピクと微弱に痙攣している。今さっき目の前で血飛沫をあげた人だ。レオナルドの羽根に突き刺されたまま、床に転がり今はこれ見ようがしに踏みつけられている。少し距離の離れた位置には客も倒れていて、傍に銃も転がっていたからきっとレオナルドに撃って返り討ちにされた。彼に銃なんか簡単には利かない。

考えるまでもない、レオナルドが扉を封鎖した。さっきの振動と衝撃音もこれだ。そして、ロビーに集まった観客の護衛達を返り討ちにしている。膝から下が返り血で真っ赤になっているレオナルドは、喜々とした笑みで観客を見晴らしていた。

あまりの光景にその場で佇むアラン隊長とエリック副隊長を視界に捉えたレオナルドは、眉を上げて「よぉ」と軽い調子で手を振ってきた。


「なんだあの嬢ちゃん達は一緒じゃねぇのか?悪いがもう暫くだけ封鎖させてもらうぜ」

「レオナルド!!!何故ここに?!」

まるで道ばたで合ったくらいの気軽さで話しかけてくるレオナルドに、透明のまま大勢の客に紛れ声を上げる。何の為に昨夜カラム隊長達がボッコボコに止めてくれたのか!!!

彼が約束を守るかが五分五分だったのはある。エルドだって私達なんかよりも首領ご本人の意思を守るだろうし、レオナルドが奴隷に対しての思い入れも知っている。でも!だから昨日も奴隷被害者達は請け負うと言ったのに!!!エルドが伝言をさぼったのか、それとも私達では信頼できないとレオナルドが判断したのか。


私が叫んだ声は、騒然としているロビーでもきちんとレオナルドに届いた。

彼がこちらに話しかけてきた分、客の注意もこちらに向き始める。私の声に、探すようにきょろきょろと周囲を見回したレオナルドは声がした方向も騒然とした中では掴めていないらしい。くるりと周囲を丸く見回してから、まったく悪びれもしない笑顔で腰に手を置いた。どこにいるかもわからない私にも聞こえるようにロビー全体に響く声で返答をする。


「何故って?そりゃあいるぜ。負けたんだから今更アンタらを邪魔するつもりもねぇ。全面戦争だってやめてやった、伝言も聞いてやった奴隷共は任せろってやつだろ?」

ロビー中に響かせながら、両手を今度は降参でも示すように顔の横に掲げて笑う。

ご機嫌の笑みを浮かべたままの彼は発言と行動が合っていない。私達に任せるのなら、ここにいるわけがない。

もう一度叫ぼうとしたら、今度はぱしりとステイルに口を手で封じられた。姿は見えなくても場所を特定されたらは困りますと早口で耳元に囁かれる。アーサーもカラム隊長も同意見のようで、レオナルドを睨みながらステイルの言葉に頷いた。

状況が状況じゃなかったら手足をバタバタさせたいくらいのレオナルドの矛盾行動に、奥歯を食いしばる。

私から返事がないからか、数秒ほど黙ってアラン隊長達を見返していたレオナルドが「ちゃんと見ろよ」と再び口を開く。


「他の連中は誰一人巻き込んでいねぇ。もともと奴隷共を回収する為だけの援護要因だったからな。お前らに奴隷は任せるって決めたから結局こうして俺一人で来た」


……嫌な予感がする。


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