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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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そして動く。


「さっ、さっき……ひっ独り言で……れ、れいちゃんとおっしゃってたので……恋人、かなぁ~妹……?なんて」

「いや絶対それだけは口滑らさねぇわ」


途端にヒッと喉を釣らせる女性は、動けない分恐怖が増し一時敵に本気で声が出なくなった。自分を優しく抱えてくれていた男が、今は鼬色の垂れ目を鋭くさせていた。

口数も無駄口も比例して多いライアーだが、それでも話す相手と零す内容は時と場合を選ぶ。それはもう子どもの頃からの生存方法として根付いている。それをこんな場で、いくら女性を前にしてもレイの名前をうっかり口にするなどあり得ない。

今のところ怪しい相手はいなくとも、奴隷の誰かが裏家業の一味で紛れ込んでいる可能性もゼロではない。信用できない相手に自分の個人情報など死んでも与えない。

檻の中でも相手がヴァルだから名前を呼んだが、これがジャンヌやレイであれば絶対に名前も呼ばなかった。それを、いくら考えていようともよりにもよってレイの名前を自分がうっかり口に出すなどあり得ない。


当然、美人な女性を前に自分が恋人がいるなどとも冗談でも言わない。

最初は何か誤解されてるか何故決めつけたのかの疑問程度にしか思わなかったが、「レイ」というその名前が出た途端に本気で女性をここで息の根を止めておくか考える。顔を忘れているだけで自分の過去の関係者や被害者か、裏家業の知り合いにも女性はいる。レイという名前は知っているのに女だと勘違いしているところを考えても、その可能性は大いにある。

ここで殺したらそれこそジャンヌ達に怒られるか、しかしこのまま生かして連れて行くのもそれはそれで危険だと、ほんの数秒の間に思考を回す。

人殺しの目になるライアーに凝視され、女性はとうとう涙目になりながら正直に声を上げた。


「ごごごごめんなさい!わざとじゃないんです!でも心読める特殊能力で!!触られるとつい!つい!聞こえて!」

「………………」

「はい聞こえてます!ッ違うんですわかるんじゃなくて泣かせなくて済みそうとか私抱えてくれたのバレたら文句言われるとか言っ……てないけど聞こえたので!だからレイちゃんさんという恋人がいるのかとごめんなさい殺さないでくださいごめんなさい!!」

恐怖のあまり泣きじゃくりだす女性を腕に、ライアーは一気に脱力した。

今も、声には出さず自分が頭の中で尋ねた疑問に綺麗に答えた女性が嘘を言っているとは思えない。過去の関係者ではないことには安堵したが、綺麗に自分の殺意までバレていることに、おかしくもないのに口端が変に引き上がった。せっかくの良い出会いが一瞬で砕かれた。


レイという名前と、自分の思考がややこしかったのだとは理解したが、それにしてもあまりに誤解だった。

心を読めても事実がすべてわかるわけじゃないんだなと、そう思ったところでまた「はいわかりません!」と返事が来たから本気で嫌になる。嘘で成り立ってきた自分がある意味一番運びたくない相手である。

そういえば、この女性はそもそも自分達やあの子どもと同じ目玉商品として檻にいた奴隷だと今更気付いた。女性を抱えて役得したかったライアーだが、次の瞬間には大きく胸が膨らむほど息を吸い上げた。


「おいヴァル!!俺様この子やっぱ無理!!」

ライアーの叫びに、いやああああああっ!!と女性が叫ぶ。自分もまた子どもと同じような運ばれ方をされるのが嫌で泣き叫ぶ。

しかし、ライアーの方は仕方なく女性を抱きかかえたまま足を動かしながらも、女性の悲鳴よりもこれ以上自分の頭の中を覗かれないようにすることで必死になる。流石にまだまずい情報を握ったわけでもない女性を殺す気は失せたが、それでも本当は今も触れたくない。ハリネズミを抱きしめている方がマシだった。


早足で廊下に合流するライアーに、事情を知らないヴァルは「テメェが運ぶっつったんだろうが」ともう荷物に取り込んでやるのも面倒だった。

しかし自分の眼前に女性を突き出してくるライアーに、特殊能力を知らずとも自分も抱えたくないヴァルは仕方なく特殊能力で箱に取り込むようにしてくっつける。

女性は泣き叫んだが、そもそも奴隷を生かして助けるしかヴァルの中での配慮はない。ライアーも美女相手に悪いとは思ったが、このまま自分に触れていたら、自分は最終的に女性を今度こそ殺さないといけなくなる為仕方なかった。思考を長時間制御するのは難しい。

そして、彼女が目玉商品の一人になる理由は嫌でもわかった。金持ちでも人身売買でも、裏家業の人間にとってこの上なく都合が良いと自分でもわかる。


「手が空いたんなら後はテメェでやれ。階段からだ」

「はいはいもうやる、やっちゃうわ、やりゃあ良いんだろ……あ゛~~クッソ」

女性とのせっかくの機会と好感度を失ったことよりも、ほんの数分であろうとも思考を丸裸になれたことの羞恥でライアーは顔を覆った両手でそのまま短い髪をかき上げる。むしろもう暴れないとやってられなくなってきた。

奴隷の女性は他にもいるが、もう手を出す気がぽっきり折れた。


ライアーもやっと〝仕事〟らしい目になったところで、ヴァルは息を吐き出口に向けて歩き出す。

前後を土壁に挟まれた状態で、ヴァルが一歩進み出すだけで出口側の土壁も同じ速度で奥へと平行して移動する。壁の向こうから「うお?!」「なんだ動いたぞ!?」と野太い声の悲鳴が聞こえるが無視をする。通路を覆う壁が、ヴァル達の盾としてそのまま男達を奥へ左右へと強制的に押しやっていく。

ヴァルの後をついてくる箱も、そして奴隷達も歩く中でライアーは置いてかれている奴隷がいないか二度振り返ってから前方にまで進み出た。


とうとう階段の前にまでたどり着き、そこでヴァルの土壁も詰まる。

段差を一つ一つ登り滑らせることは可能だが、その度に壁の大きさも向きも変えないといけない分、調整も難しい。後方に敵はいない一方通行である以上、向かってくる敵を片っ端から倒す方が壁で押しやるよりも楽になる。

ヴァルが奴隷達に箱の影に隠れるように命令し、そこで土壁を一度解いた。階段を塞いでいた壁がバラバラと砂になって落ちだしたところで、気付いた敵よりも先にヴァルの合図を受けたライアーが砂をかぶりながら突き破るようにして飛び出した。


てっきり、押しやられ騒ぎになった分詰まっていると思ったライアーだが、たった五人しかいない敵に早速拍子抜けした。その全員が、武器を構え臨戦態勢で自分を睨んでいたが気にしない。


「ぃよっしゃ死んどけ」

殺しても良い相手を前に、ライアーは両手に炎を宿す。

その光景に男達がぎょっと顔を歪め「特殊能力者だ」と言いかけたが、もう余裕はなかった。狭い階段で、ライアーが最初に右手を翳しただけで人間の胴体以上の幅の火柱が自分達に放たれた。壁を壊そうと階段の横いっぱいに詰まっていた男の内、運悪く真ん中に立っていた男は体格の大きさが災いして直撃した。火に巻かれるだけで済まず、あまりの熱量にそのまま腹に穴が焼き身体の横半分が焼き切れた。脇から左腕までも真っ黒に焦げ落ち、自分の姿を確認するまでもなく絶命した。

左隣にいた男は鎧を着ていたが、肩の鎧が炎の熱量で溶け出し絶叫しながら熱の固まりをはずそうと慌て出す。

他の三人はなんとか当たらずに済んだが、それでも眼球が乾くほど大きく目を剥いたまま状況を理解に時間が必要になった。そしてその隙を待つライアーでもない。

開いていた左手の上に浮いていた炎を今度は振りかぶり大きく投げ放てば、炎の固まりがそのまま一人の顔面に直撃した。


ぎゃあああああああ!と断末魔が上がれば、残った無傷の二人が左右から斧と大振りナイフをライアーへと息も合わす間もなくそれぞれ振り下ろす。

左右からほぼ同時の攻撃に、ライアーは両手をそれぞれに向けて開くと、再び炎を放った。ボワァッ!!と火柱があっという間に放たれ、金属の武器ごと男達を飲み込んだ。

最後に、肩の鎧をやっと外したものの階段に転がったまま固まる男へと前のめる。男が落としたナイフを拾うと、表情も変えずにその喉を掻き切った。

全員が死体になったことを一目で確認してから、ナイフを投げ捨ててまた炎を放つ。


「はい次いくぞー。逃げ遅れると息できなくなるから早くあがれよ兄弟」

なんでもないことのように軽い口調でヴァルに投げかけたライアーは、階段を早足で登り出した。

火力は加減しているライアーだが、密閉された場所で火を使い過ぎると呼吸ができなくなることもよく知っていた。だから男達にも無駄に炎を燃やし続けるまでもないように、高灼熱の代わりに焼き切り焼き落とした。


慎重を選んでうっかり逃げ遅れて死なれないようにと注意を投げるライアーに、ヴァルも今度は返事はせずにその後に続いた。

ライアーのすぐ背後に進みたかったが、最後方を確認する人間が自分しかいない今、特殊能力で拡張した階段通路に箱を先行させ、さらに奴隷達全員を行かせてから最後に続く。特殊能力で固めた土の箱は、それだけでもある程度の壁になる。

直接箱に練り込んだ女性と子どもの位置も後方にすれば、ひとまず死人は出ない。奴隷達も盾代わりの箱が進んでいく度に、すり寄るようにその後へと続き階段を上っていった。背後にヴァルがいれば、余計に怖じけたくても退がれない。


階段の段差を滑るように上っていく箱の後に続き、奴隷達も避けきれず踏みながら進んでいった裏家業達の死体に、ヴァルも片眉を上げて少し見やった。枷を溶かす時点でかなりの火力とは思ったが、焼けるどころか完全に燃え尽き、炭になるか溶けている。裸足の自分達には死体の熱がそのまま移った足下がじんわりまだ熱を灯らせているのもわかった。皮膚の薄い子どもや老人は、焼けた床よりも死体の方を踏みつけて階段を進んだ。死体を相手に罪悪感や怯えるような感情を欠落させたのも、死体本人達である。

一人一人見ても、全員ほぼ一撃で仕留めているらしいと目で確認したヴァルは、ライアーに対しやっと仕事がしやすそうだと思えてきた。


「はいはいらっしゃい!恨むなよ?!」

前方から再び気楽な声と、直後に自分のところまで熱風が吹き届いた。

地上であればもっと容赦なく火炎放射できたライアーだが、今は酸素の量も気にして自分達が死なない程度に燃やし続ける。

ボワァッ!と通路全体が赤く光ったようにも見えれば、階段が竈門のように熱気がこもる。その様子にヴァルはいっそ自分も戦闘でライアーの殺しっぷりを眺めたくなってくる。順調に一人、一人、一寸の躊躇もなく死体にしていく流れの後を続きながら、段差に足をかけていった。

いつのまにか振動も衝撃音も収まった。……しかし


上階が階段以上の地獄になっていることは、彼らも想像できていた。


本日2話更新分、次の更新は火曜日です。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
心読める特殊能力で是非ともプライドや婚約者候補3人の恋愛関連の進展希望したいが…やっぱり難しいですよねぇ…。 今回の話と関係無いけども絶賛闇オークション編で恋愛関連話ができない状態ですが、プライドや婚…
出た心読める特殊能力!!!この能力が現れるのをずっとずっと楽しみにしていましたよ~!!
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