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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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そして促す。


「ならば、ひとまずその地下に戻されていない奴隷だけでも取りに行きましょう。危険地帯だと言うのならば僕の護衛もお貸ししますよ」


そう言ってステイルは、控えるアランとエリックを手で示す。

腕は保証します、どうぞ、と。柔らかい口調と確かな圧で進めるステイルに、男は笑顔を作ろうとして引き攣った。部外者をいれるわけにはいかない、まだ競売に出す前の奴隷もいる、盗まれる恐れもあるのでと、もっともらしい理由を繰り返す。

言い訳ばかりの男に、ステイルは笑みのまま仮面下の目が細くなった。その言い分は確かだと思うが、ここまで渋っていると何か別の理由もあるのではないかと穿って見る。口上は腰が低い分際で、ここまで言っても流されないのは相応の理由か、よほど場数を踏んでいる度胸の持ち主かどちらかだ。

一瞬振り返りかけ、やめた。荒事に慣れている一番隊だからという理由でアランとエリックを表に立たせたが、今だけはアーサーの顔色を確認できないことが不便に思う。

向こうも予期せぬ事態とセドリックからの退場に焦っている。それならばと、今度は別方向で突いてみることにする。今の自分の立場も利用して効果的な方法を選別する。


「……。こんな警備状況では不安ですし、僕も帰らせていただきます。こうなったのはそちらの不備ですし、今まで競り落とした商品は全て白紙で良いですよね?」

ぎょっと、途端にスタッフの表情筋が大きく捻れた。

上客のセドリックとは違い、ここまでも酷くオークションをかき乱していた張本人だ。商品を大量に競り落としてくれはしても、それを何の賠償もなくキャンセルで逃げるなどふざけている。そもそも今暴れている奴隷を持ち込んだのもこの男だと思い出せば、頭に血が上り出した。

出口はあっちですよね?と、自分達が入ってきた扉を手で指すステイルは笑顔を崩さない。スタッフには違う色に映る漆黒の眼差しでその顔色を伺う。わかりやすくセドリックに対してとも態度が違うことを確認すれば、足を動かすよりも前に「もしくは」と思いついたように声を浮かせた。

「今すぐ商品を持ってきてくれるのならばもちろん支払いますよ?落札した数もささやかですし取ってこれますよね?」


直後に、引き金の音が返事より先に鳴らされた。


「大人しくお待ちくださいお客様。……騒ぎが収まるまでお帰り頂くことはできません」

懐から出した銃を構える男は、さっきまでと異なる低めた声だった。その銃口は躊躇いなくステイルに向ける。

大口の上客と異なり、ただ比較安値だけを馬鹿買いしただけの客にまで必死に機嫌を取る必要などない。むしろ今回の奴隷が暴れたことについて主催者が賠償金を請求するだろうとすら考えれば、逃がすわけにいかない。持ち込んだ有り金全てを奪った上で、競り落とされた商品全てを競売にかけ直し、本人は殺すか売るかにすると今自分が決める。こちらの威厳を見せれば、上客への牽制にもなる。


今も奴隷を始末すべく動いている部下達の使う安物ではない、高額武器である礼服の中にも装備できる大きさの銃を持つのは主催側でも上の人間の特権だ。

逃げるならば殺す、言うことを聞かなくても殺すとステイルにだけでなくセドリックにも目で示すのに良い機会だった。銃を突きつけられれば、どれほどの金持ちであろうと手練れであろうとも適う筈がな


パシンッ!と、直後に男の手から銃が浮く。正確には弾かれた。


引き金を引くか脅すか悩む合間を与えずに、アランが靴先で蹴り上げる方が早かった。

構えていた手ごと蹴り上げられ、照準がずれるどころかあっけなく手からも零れ飛んだ。突然のことに男は銃を見上げたが、自分が視線で追うしかできない間に、宙を舞った銃がくるくると回転しながら別方向へと飛んでいく。そしてアランと距離を開けていたエリックが、飛んできた銃を片手で掴み取る。

ほんの数秒で、あっという間に形勢が再び元に戻された。


あまりのことにぽっかり口を開けてしまう男は、蹴られた手を押さえる余裕もない。

さっきまで自分の手にあった銃が、何故今相手の護衛の手にあるのかと遅れて考える。さらには、笑顔でもない引き締まった表情でその銃が自分へとまっすぐ標準を合わせられた。安全装置を確認しいつでも撃てると表情一つ変えないエリックに、男は肩から大きく震え出した。両手を挙げ、降伏を示すがまだ言い訳までは頭に浮かばない。

その間、わかっていた展開かのように笑顔を崩さない商人もまた恐ろしかった。


「僕が渡した宝石。あれを差し上げます。ですから、競り落とした商品全て、持ってきてくれますね?……五分以内に」

現実を逃避する呆けた頭にも伝わるように区切りながら告げるステイルに、男も今度は舐めた口など効けなかった。

こくこくと小刻みに頷いてから「承知致しました」とひとまず命欲しさに肯定する。

今は手荒な専門業者が殆ど会場に収集されているが、ちょっと離れればすぐ呼べる。……そう思って目で探した時に、気付く。いつの間にかもう、荒事専門のスタッフは一人もいなくなっていた。全員が、分厚い扉へと収集されてしまった後だ。

そこまでわかってから、まだ銃撃戦は終わってないと耳で知る。体感では既に五分以上経過している。


ステイルの合図で、一度銃を下げたエリックだがそこまでだった。

「こちらはお預かりしておきます」とステイルが告げれば、もう男は取ってくるしかなくなる。ひとまずは味方を呼ぶ為でも、厄介払いの為に落札品を持ってくるでもそこへいかなければならない。自分よりさらに上へ判断を仰がなければならない事態も視野に入れる。

ただちに、と。細い声で腰を折り曲げた男は一方向へと向けて小走りに足を動かした。とにかく逃げれば勝ちだ。


「護衛はいりませんか?」

「結構です!!」

うるせぇ、とあと少しで喉まででかかった。他の客も思わず振り返るほどの怒声は、先ほどまでの銃の往来よりも遥かに人目を集めた。

来賓の目から逃げるように走りながらも、ちらちらと付いてきていないことを確認するように後方を何度も何度も盗み見る。商人二人が仲良く肩を並べてこちらを見てきた姿に、グルじゃないかと考える。

スタッフ用の通用口も、扉も全て関係者以外に知られるわけにはいかない。スタッフ用の扉から横道に逸れ、早速無駄話をしている部下に歯を剥き唾を吐く。


「ッおい!!七十七番の客!!銃を取られた!!奴隷の始末終わったら連中も締め上げろ!!十九番も帰るって言ってやがるぞ!!早く再開させろ!!!」

不満と憤怒をぶつけるように、報告事項という名の怒声を浴びせかける。

はい!と、スタッフも姿勢は正す。奴隷の暴走は自分達の領分で片付けられる事態ではない為、非戦闘員は奥にぞろりと揃っていた。受付でステイルやセドリックの対応に男が追われている間に、他スタッフは全員奥に引っ込むように指令が広がっていた。逃げるだけの客なら良いが、競売用に提供した商品を返せと言われないように、苦情窓口であるスタッフごと消える方が早くなっていた。言う相手がいなければ、奴隷や商品を預けている側も何も言えない。銃撃戦が繰り返されている中で、スタッフ総出の言い訳などいくらでもできる。

クソッ!!と吐き捨てながらも男は近くの部下にまた怒鳴り散らす。早く状況を確認してこい!お前は七十七番の競り落とした商品を持ってこい!!と命じてから、今度は思い出したようにまた喉だけで指示を飛ばす。


「あと十九番の落札商品も!!裏にあるやつだけ持って来い!!二つで良い!!」

時間を稼げ!!と、ガラついた声で命令すれば部下もバタバタと走り出した。

商品リスト持ってるか、戦闘できねぇ奴は手伝え、なるべく運びやすいのにしろ、宝石あっただろ、銃持ってる奴集めろ!と、舞台での戦闘と情報と指令も錯綜しだす。歯軋りをしながらやっと走る足を緩め歩く男は、自分は向かわずに通路の端にどっかり座った。


上の命令に従い、通路にたまっていた下っ端達が慌ただしく急ぎ、舞台裏の銃撃に首をすぼめながらもそそくさと別の脇にある部屋へと向かう。

弾はこっちまで届いていないなと、周囲の壁を確認しながらほっと息を吐いた。部屋の前まで来れば、取りに来た男達以外にも〝見張り〟という名の安全圏を先取りした男達は無駄に大勢立っていた。上からの命令だ、開けろ、運び出すと、短く言える分だけの説明を怒鳴り扉を開けさせる。本来の用途は掃除用具の物置部屋であるそこに、今は競売品を抱え守るスタッフと腕利きの見張り、そして鎖に繋がれた奴隷達が立たされ







「ミシェルは……?」






バタン!!と、扉が勝手に閉じ、施錠された直後だった。

部屋にいた男達も、てっきり外から閉じられたと思ったところで内側の鍵まで勝手にかかったことに目を疑う。聞こえた女の声が何か考える余裕もない。おい!と、声を荒げることができたのも一人だけだった。

囚われていた奴隷には、勝手に男達が崩れていったようにしか見えなかった。バタリバタリと足の踏み場も少ないとこに倒れ、扉の向こうからドンドンと叩き呼びかけられる中、「さっさと開けろ!!」という野太い怒鳴り声にびくりと肩を上下させる。奴隷がこわごわと鍵を開けようと一人動いたが、途中で阻まれる。



「駄目です」と奴隷に対してとも思えない尖のない声が、透明の姿のまま掛けられた。



透明の特殊能力を解かれ姿を現すのは、それからすぐのことだった。


「バッドエンドから一年後~誰にも期待されない魔法使いの私が、伝説の精霊魔法使いに実力を認められ王子を救う~」 略して「バドいち」連載中です。


本日更新致しました!!!


第二章まで完結しました。

ncode.syosetu.com/n9682ly/

こちらも是非よろしくお願いします。

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