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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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そして目を見張る。


「逃げるな」


何故、自分達が奴隷に逃げるなと言われているのか、男達はわけもわからない。

ハリソンが剣を拾っている動作すら今度はゆっくりしていたが、誰も下がることもできなければ前に動くこともできなかった。早く、早く、もうそろそろ良いだろうと、人任せに別の応援が来るのを期待し待てば、やっと祈りが通じた。

誰もかかってこないことに機嫌が傾きながら、フリージアでは珍しい武器であるカラパイアを拾い上げたハリソンへ、パァンッ!と乾いた音が響かされた。


銃声だ。突然の銃声に、ハリソンは反射的に身を引いたが自分の頭があった場所に銃弾が抜けていったのを見た。

方角からして舞台袖かとわかったが、視認するよりも先に動く。パァンッ!パンッ!パァンッッ!と連続して鳴り響く銃声の嵐は銃一本以上の音の連鎖だった。とうとう、舞台で奴隷を押さえつけて回収するというだけの話ではないと判断された証拠だ。

観客に逃げられる前に異分子を排除するべく殺傷能力の高い武器が解かれた。


旧型の銃を手に構えてくる男達の人数をハリソンが数えたのは、舞台の暗幕に手が届いてからだった。

その間にも逃げ遅れた男達の方に風穴が空いて死んでいく。雇っているだけの裏家業達に味方意識など最初からない。

右に四人、左に二人と舞台袖で銃を持つ人数を確かめてから銃弾に追われるまま幕を引っ張る。力強く引っ張られた暗幕が広がり、さらにはハリソンを追う銃撃で金具が壊れ倒れた。

ばさりと暗幕が舞台だけでなく客のいるテーブル席の一部も埋めるが、銃が出た時点で舞台の近くにいる客は全員後方に逃げていた。

ハリソンがいた筈の場所へ姿が見えないこともかまわず銃撃を繰り返す男達は、弾が尽きるまでやめない。姿など見えずとも、落ちた暗幕で身動きが塞がれていれば幸いだと隙間なく撃ち続ける。あまりの銃声の多さに、テーブル席の客は次々と会場から一時的に退散した。スタッフが促すまでもなく、自分の身は自分で守るのが彼らだ。

残ったのは高見の見物ができる上階にいる客だけだった。はやく殺せ、処分しろ、客が帰る前にと、舞台袖の奥深くで部下達を前に出し自分は安全圏にいる者ほど声を荒げる中で、まだ誰も暗幕下にあるのが死体かを確かめる勇気もない。そんな勇気がある者はとっくに彼に殺された。それでも上に命令されるまま、無抵抗な暗幕へと恐る恐る歩み寄る。

「おい!!早く暗幕を片付けろ!!その下に隠」



「違う」



ザシュッ、と。

安全圏にいる男が大声を荒げている途中で血を吹いた。彼の間違いを短く訂正したハリソンは、暗幕が落ちきる〝前〟に拾った剣で上空から飛び降りる。同時に煩い男の首を切り裂いた。最初から暗幕の下になどいなかった。

ジャランッという音が、遅れて足下に着地し響いた。暗幕を落としてから、ハリソンは布のそれが完全に落ちきる前に高速の足で武器を拾い舞台の天井上へと飛び移っていた。

鎖で歩幅を制限されている分、いつもより速度も助走も足りなかったが、それでも会場の天井程度の高さには足りた。銃を一斉発射された以上、ハリソンも特殊能力を使わずには対処できなかったが、しかし〝やっと出したか〟と安堵が胸にあった。自分に殺されたくない男達がその武器を待っていたのと同じように、ハリソンもまたその武器が持ち出されるのを待っていた。

特殊能力を使わざるを得ない対外的な理由付けに、ではない。




一階客が退避することを許されるこの状況に。




─ステイル・ロイヤル・アイビー第一王子殿下の策通りに。

小さく、ハリソンの口元がまた笑んだ。誰もが暗幕の下に注目している中で、天井に潜んでいたハリソンは手筈通り一階席のステイル達がほかの観客に紛れて去るのを確認していた。上階に発見したセドリックも予定通りぽっかり席を空けている。

きちんと自分はステイルから与えられた策も任務も役割も全うできていることに、ハリソンはほんの小さく充足感を得た。だが、またこの程度で満足するほど怠惰でもない。


指示していた男が死に、銃が一斉にハリソンへ四方から向けられる。

すでに銃弾を補充した後の彼らは、相打ち覚悟になればハリソンを蜂の巣にもできる。ただし、彼がその場を動く気がなければの話だ。

まだ、ハリソンの役割は完遂していない。だからこそ今の今までずっと観客には手を出さなかった。


自分を落札する価値もない男も、戦闘中に躍り出たテーブル席の男にも、やろうとすればいつでも剣でも槍でも使って口封じすることはできた。そうでなくとも、高速の特殊能力を使えば舞台からの距離などハリソンには無に等しい。上階の客も皆殺しにできる。

しかし敢えて狙わない。高速の特殊能力も可能な限り使わないで時間を引き延ばし続けた。

客が自分に危険が及ぶと判断すれば、全員一時退避どころか逃げ帰る。それではまだ困る。今はまだ、騒ぎを自分一人に集中させることが最優先だ。それがプライド達を守ることにも繋がるとハリソンも知っている。


あくまで舞台の上で、それ以上の先には及ばない。客に被害がない、主催側が対処している。……その時間を一秒でも長く引き延ばす、できることならば特殊能力を相手に気付かれることなく。

パァンッ!とまた乾いた音が続いて三発分鳴り響いた。しかし、たかが銃で簡単に死ぬハリソンでもない。撃たれる直前に飛び跳ねるだけで避けられた。

今自分がいるのは舞台の真ん中ではない、指示していた男がいた安全圏の舞台袖だ。囲まれるならばまだしも、一方向からならばまとめて避けられる。

その為に、暗幕を落とした一カ所へ男達が集まるまで待っていた。


しかも客に見えない場所であれば、高速の足を少し使ったところで困らない。目撃者全員息の根を止めれば問題ない。

跳ねた先で着地と同時に高速の足を使う。壁際に置かれていた照明を取り、暗幕の上に立っている男達へと投げつけた。

舞台を見ている上階の観客には、袖から火の塊を投げつけたことしかわからない。投げられた物体自体は誰にもぶつからなかったが、彼らの足下はすさまじい勢いで燃え広がった。銃の照準を合わせるどころではない。


早く消せ、水を、と地下で火が広がってしまった大惨事が頭に過る男達へ、ハリソンは高速の足を使うまでもなく自前の足だけで一直線に飛び込んだ。

足下が燃える彼らの元へハリソンは裸足で構わず飛び込み、剣一本で彼らを切り裂いた。銃の照準を合わせられかければ、長いその銃身を直接掴み角度を変えて本人を剣で貫く。

銃を諦め、剣で接近戦を挑めば、今度はその剣を握る腕ごと切り落とす。足場が燃えることの焦燥に集中力もまばらになる男達へ、直接足の裏が焼ける感覚に気付きながらもハリソンは気にしない。

足が焦げるよりも前に、目の前の銃を持つ敵を殺せば良いだけだと判断し、止まらない。


炎に気付いたスタッフが消火用に蓄えていた水桶抱え、暗幕へぶちまけた時にはすでにハリソンもその場から引いた後だった。床に伏す男達の血ですでにいくらか鎮火もできていた分、慌てもしない。

特殊能力無しでの銃への対処とはいえ、火事騒ぎはまずかったかと後から少し反省したが結果としてまだ上階の客全員が逃げるまでの被害にはならなかったから良しと自己完結する。


使い手のいなくなった銃だけは燃えさかっていた幕の上から回収し、消火の間に反対袖へ今は避難する。何本かは舞台から蹴り落とした。

二本は自分の足下に落とし、一本は今構える。客を狙えないのは残念だが、こんな旧型の銃を使うのも久々だとハリソンは呑気に思う。騎士団でも、どんな状況でもその場の武器を扱えるように基本の新型以外の銃や古い武器の使用演習は定期的にするが、ハリソンはあまり必要性を感じていなかった。携帯できない銃などより、直接自分の足で切り込む方が早いのだから。しかし、必要性を感じないのと


演習を真剣にやらないかは別だ。


パァンッと、また銃声が鳴り響く。

客には見えない、舞台袖から放たれた銃撃によりスタッフの臓器が撃ち抜かれた。消火を終えたらもう価値はないと、迷いなくハリソンは反対袖から敵の銃弾で一掃する。

自分のいる側の舞台袖に現れた敵がまた銃を持っていたが、それも高速の足で排除した。銃身で頭蓋を割り、そして距離のある反対袖から現れる敵は銃弾で撃ち抜いていく。可能ならば舞台に出る前に舞台袖で殺せれば一番良い。

片方の舞台袖にいながらも、両側からの強襲をハリソンは平然とこなしていった。

上階にいる客にはただただ銃撃戦の弾道しか眺められなくなった、退屈なショーへと化した。


まさか、彼のお楽しみが自分達であるとはまだ思いもしない。

本日2話更新分、次の更新は来週になります。

よろしくお願いします。

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― 新着の感想 ―
ラスボスはハリソンさんではないのかなと思うくらい、独壇場が、すごいなー 容赦ない!!!! しかもまだお楽しみがあるなんて! クラーク副団長ー!!!! 地獄絵図が始まるよー!!
作戦どおりなんだろうけど、容赦なさがハリソンさんだあ
さすがハリソンさん————!強すぎる!かっこよすぎるwwwww
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