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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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そして潜む。


「俺様これでも超絶紳士なもんで。鎖に繋がれた可哀そうな女なんざ見たら胸が張り裂けちまう」


しかし、元裏稼業というヴァルに明かす気もない。

馬鹿にされるくらいならば良いが、変に同情の目や弱味を握られたくもない。ただでさえ目の前の男は普通の元同業ではない、〝あのジャンヌと繋がっている〟元裏稼業だ。

今でも自分を雇ったのがジャンヌという悪夢は思い出せば、ライアーは頭を抱えたくなる。昨晩もベッドの上で転がりすぎて床に落ちた数もわからない。


ライアーの言葉に、ヴァルはついさっき自分の顔に女を希望した変態にしては薄っぺらい嘘だなと思いつつ、言葉には出さない。

そんなことよりも、さっさとこいつを黙らせられないかと考える。もし今自分が裏稼業だったら、脂の乗った舌を引っこ抜いていると思う程度にはライアーがやかましかった。

気を晴らすように自分の方が再び檻の外に目を向ける。横は区切られているが、正面は鉄格子である分見通しは良い。

大檻の中にいる奴隷は全員自分達と同じ、手枷と足枷の鎖で繋がれている。手はひとまとめな分自由も効き難いが、足の方は鎖で歩幅以上の余裕はもって右足と左足が繋がれている為、歩くにはたいして苦労しない。男女や体格で鎖の長さを分けるようなことはなく、どれも歩いている間も引きずるほどの長さの鎖で全員が繋がれていた。

走って逃げることも長さ的には可能だが、長さがある分鎖の重量がある。足元にまとわりつく無駄に長い鎖は普通に走れば間違いなく足に絡まり勝手に転ぶ。

どこも奴隷に関しては国境も違いもないようだと、ヴァルはどうでもいいことに小さく関心した。


配達人中も裏稼業や奴隷狩りに襲われることもあれば、プライドに与えられている命令のせいで人身売買組織をわざわざ潰して捕まっていた奴隷を仕方なく逃がすはめになったこともある。自分が組織で奴隷を売っていた時も、そして国外の奴隷狩りも、そしてこうして異国の人身売買も奴隷に関しては自分の知識がそのまま通用する。

大檻の中で、容姿が良い若い女性が七割を占めているというのも、やはり相場は変わらない証拠だ。


ならばと、ヴァルは視線を別方向の鉄格子へと向ける。

ライアーに「こっち見んな」と顔を背けられたが無視し、別の檻に注目すれば自分達と同じ規模の檻に奴隷はたった一人だ。檻に入る前に確認した時も、奥の檻は全て一区切りが小さく個室の規模のようだった。つまりはこのあたりからが目玉商品の檻だろうと、特別扱いの檻に思う。

自分達のような別大陸のような人間もいるだろうが、他で奴隷として高額に売れるのは教養のある貴族や王族、もしくは


「いたか?フリージア」


潜めた声で、鉄格子に背中を向けたままのライアーは今までと変わらない表情で真正面のヴァルを片目で捉える。

「あー」と一音で返すヴァルに、それが肯定であることは付き合いが短くても裏稼業特有の感覚で理解した。

檻の構造や奴隷仕分けの理屈など知らないライアーだが、自分達が目玉商品とされた以上同じような人間がいることは想像できる。今回の依頼は奴隷全員の救出だが、同時にフリージア王国の騎士が関わっている以上想定している救出像はわかる。

フリージア王国騎士団はあくまで〝フリージア王国の為の〟組織だ。異国の会場で異国の犯罪組織、そこに異国の奴隷しかいないのであれば干渉するわけもないことはわかっている。少なからずフリージアの匂いがするから干渉した。

特殊能力者であるライアー自身、奴隷として自分達がどういう価値かは昔から知っている。


そして実際、ヴァルの目には確かに一人いた。

距離はあるが、顔立ちからして恐らくフリージア。そして拘束の仕方が自分達と異なるところから考えても特殊能力者の可能性も高い。

さっそく一人見つけたことにうんざりと息を吐くヴァルは、さらに奥の檻も気になった。入る前にちらりとしか見えなかったが、人の気配があったことは間違いない。

そこまで考えたところで、そういえば自分達二人も建前としては、搬入予定の「フリージア王国の人間」もしくは「特殊能力者」の代わりだったと思い出す。つまり今いる檻も、彼ら用に開けられていたものだ。


「特殊能力者か?何人?」

「少なくとも今見えんのは一人だが」

うわー。と、予想はしていても確定されたライアーは後頭部を軽く鉄格子に打ち付けた。

特殊能力者でもなんでも救出することは変わらないが、できればいないで欲しかった。なにせ、運ぶのも連行するのも面倒だと自分がよく知っている。

高額奴隷オークションならば手足欠損などの不良品はいないだろうと考えるが、特殊能力者は特別な拘束をされている可能性も高い。そして、もし助けたとしても全員が前習えで自分達の誘導通りに逃げてくれるかもわからない。

檻が奥にいくつあるかは見てないが、目を閉じ研ぎ澄ませばライアーには少なくともあと三人かそれ以上の気配が奥に感じられた。合計四人全員がめんどうな特殊能力者の場合、脅して動かすのと気絶させて運ぶのどちらが楽かも真面目に考える。

依頼内容が単純だった分、ジャンヌ達から具体案を貰えていない。まさか具体案が〝必要ない〟とは思いもしない。


「もっとこぉ~、平和に。王族とか、そういう可能性はねぇか?あと凄まじく色気ムンムンな美女とかよ」

「ねぇことはねぇだろうが。特殊能力じゃねぇただの血の場合もあんだろ。偽物掴まされるなんざよくある」

「あ~それ最高。ほんっと厄介な特殊能力者ほど殺すも逃げるも関わるも面倒なもんはねぇわ」

できることなら全員ただの人間であってくれと、ライアーは本気で願う。

逃がすのも逃げるのも十人以上の奴隷と一緒、しかも腕利きの奴隷狩りが警備やスタッフとして襲ってくる上に面倒な特殊能力者の奴隷も強制的に助けないといけない。しかも窓一つない地下だ。

こんな状況であるにも関わらず、あまりにも始終冷静なヴァルにライアーは「慣れてんな」と一言言いたくなった。

しかし、余計なことはいくらでも言っても、うっかりでも探ることは言いたくない。ジャンヌに関わるもの、そのできる限り全てに自分はこれ以上深く知り合いたくはない。既にうっかり足首一つ分くらいは突っ込んでいる危機感がある。

人身売買よりヤバイものなんざないと思っていたライアーの、今最上位にいるのがジャンヌである。自分はなるべく何も知らずわからず金だけもらってとんずらしたい。


「頼むぜ兄弟??あの子から超絶大信用貰ってるアンタなら手筈ももう頭にあんだろ?俺様にもその落ち着き要因ちょこ~っとだけでも分けてくれよ」

「アァ?テメェも勝手に働きやがれ。こっちはたとえ死のうが心底どうでも良いテメェと組んでる分、気楽なだけだ」

「…………あー、ちょっとわかるわソレ」

きょとんと、直後にわずかにヴァルの目が丸くなる。

予想をしなかったライアーの反応に、「兄弟じゃねぇ」の言い返しを繋げるのも忘れた。ライアーが遠回しに「自分にも逃走するための計画あるなら教えろ」と求めてきたのを敢えて蹴ったのだから。

実際はプライドにライアーの身の安全も命じられているからこそ、敢えて口先だけでも突き放したのに何故か逆に共感された。


ただでさえ掴めない相手に余計ヴァルの疑問が浮かぶ中、ライアー本人は大きく息を吐きだしながらさっきよりも気楽に鉄格子に体重を預けた。

もともとヴァルと仲良しこよしに協力なんて期待もしていない。ジャンヌ関係なら切られはしないだろうと思えた分、作戦がわからなくても共有されない分一人で勝手にやって楽をさせてくれるなら文句もない。相手から為になる情報や言葉など最初から求めていない。自分だって本当のことなどほとんど口にしないのだから。

無駄な会話で吐き気を紛れさせれればそれで良い。しかしヴァルからの「気楽」の理由を聞けば、すとんと自分の中にも偶発的に腑に落ちた。


これからどうなるかは全く想像できない。策と段取りについてはジャンヌ達から聞かされているが、この檻と奴隷狩り、そして協力的かも運びやすいかもわからない特殊能力者を相手に、たった二人の戦力でどこまでうまくいけるのかは未知数だ。過去にも裏稼業でそういった目的が作戦そのもののような仕事はいくつもやってきた分、慣れているが今回は戦う相手が段違い。


しかし今自分と道連れなのは、厄介な特殊能力者でガキの、絶対自分が死なせたくない相手ではない。死んでもどうとも思わないのはお互い様だ。

ジャンヌに怒られたくない程度で、ヴァルがどんな死に方をしようと自分は気にしない。「俺を置いて先に行け」と格好付けられたら迷わず見捨てる自信が自分にある。

そして肝心なレイは、安全なフリージア王国のボロ家にいることも今の自分は知っている。そう思えば今の状況は自分が思っていたより大分気楽だと深く息を吐けた。最悪自分が死んでも、レイがぎゃん泣きして能力暴走させること以外は困ることもない。

……そしてそれが、今も自分が生きて帰らなければならない原因だとも、再認識する。


「あーーーーガキってめんどくせぇ……」

「同感だ」

「なに子持ち??」


今までの張りつめ切った緊張感が緩んだ分独り言で零れたライアーの愚痴に、ヴァルもつい口についた。

予想外の返事に今度はライアーの方が鉄格子から上体を起こして再び前のめる。深みに入らないように互いのことも知り合いたくないライアーだが、今の愚痴に肯定が返されたのは興味が勝った。ヴァルが裏稼業から足を洗ったのも妻子ができたからかと想像すればどうやってうまく生き延びたのかも聞きたくなる。嫁との馴れ初めも聞けるのならば良い暇つぶしだ。ついでにヴァルの弱味も知れる。


鼬色の目を小さく輝かせるライアーに鼻先まで近づかれ、ヴァルは顔を不快に歪めながら檻の奥へとずりずりと無言で後ずさり距離を取る。

「照れんな?なっ?」と追われたが、頑固として無視をした。

自分はプライドからの依頼でライアーとレイの事情もある程度知ってるが、こんな腹の底も知れない口だけ男に自分の事情など話したくはない。ただでさえ自分と同じ元裏稼業、そして



自分と同じガキに引っ張り込まれた男になど、絶対に。



それから約三十分後、新たな商品の追加に二人は揃い、顔を背けた。

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― 新着の感想 ―
結構いいコンビかも⁇
この2人、本当に似た者同士。
我が子に完全に手玉に取られている元裏稼業2人…本当に可愛すぎます
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