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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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Ⅲ284.騎士達は顔合わせ、


「ジルベールも、今夜は一度宿に返した」


ハァ、とため息交じりに足を組むステイルは、うしろに手を付き天井を軽く仰いだ。

プライドを一足先に部屋へと帰したステイルだが、母親や騎士団との打ち合わせで全て終えたわけではない。表向きは身支度に自室へ戻っていても、自分だけでやるべきことは残った。ジルベールとの打ち合わせと、そしてヴァルの条件も守らなければならない。

ヴァルが自室に戻った頃合いを見計らい、彼をケメトの元へと瞬間移動させるのも自分の仕事である。

セフェクもケメトの部屋へ連れたのは配慮だが、ヴァルを会わせたこと自体は単純な条件というだけではなく、そうしなければヴァルの戦闘力事体が半減どころではなくなることもステイルはよく知っている。

暫くはヴァルをセフェクとケメトの部屋に置き、その間にジルベールと最後の大詰めの打ち合わせを行う。そして最後にヴァルを宿に、セフェクを女子寮に、そしてジルベールを彼の屋敷へと送り届けてやっとこの時間だ。

身支度は自分で済ませ、今は身軽な格好にもなったステイルはベッドで腰を下ろしたせいで無意識に眼鏡を外しかけ、止まる。自分でも結構疲れているなとそこで気づく。

一拍置いてから改めて指で摘み眼鏡を外すが、自然な動作で眼鏡を置くのではなく汚れを拭く作業へと切り替えた。


「明日には朝一番に父上から直接勅命を受けるだろう。作戦の触り程度ならばと、ご許可をくださった父上には感謝しかない」

「ちゃんと忘れずジルベール宰相返せよ……。城にいるの王配殿下だけになんだろ」

ベシンと軽い動作でステイルの肩を叩きながらのアーサーも相棒の隣に腰を下ろしつつ息を吐く。

ジルベールが協力してくれることは心強いと思うが、ステイルなら本当にそのまま役目を終えた後も作戦全完遂まで放っておくこともしそうだとアーサーは思う。それだけジルベールは戦力になることは、自分よりもステイルが嫌でもわかっていることだ。


アーサーからの釘差しに、ステイルも「わかってる」と今回は素直に言葉を返した。

いつもならば少しくらい焦らしてやっても良いと思うが、今回はアーサーの言う通りだと思う。父親からも短時間だからこそ得た許可だ。ジルベールが自分にとって戦力であると同時に、フリージア王国の宰相であることは不動の事実だ。時間外にならば遠慮なく呼びつけてやるが、公務中はなるべくジルベールの時間は奪わないようにしなければならない。特に今は女王と摂政も城を留守にしている状況だ。父親の為にもジルベールを長くは借りれない。

そこまで考えてから、ステイルは隣に座るアーサーから視線を前方へと軽く放り向けた。


「……近衛騎士の皆さんも、騎士団で正式に情報共有はできましたか」

勿論です、と。その言葉を返したのはアーサーではない。

落ち着いたステイルの声に応じるように潜めた声で返す近衛騎士は三人は、それぞれが第一王子の促しで今は椅子に腰を落ち着けている。

ステイルが全ての作業を終えてから、瞬間移動でアーサーの元へ訪れた時には既に彼ら全員が騎士団長により休息を命じられた後だった。プライド達を誰よりも近くで護衛していた立場として、騎士団そしてロデリックへ報告することも多かった彼らだが、情報共有さえ互いに終えればどの騎士よりも早々に休息を命じられた。

明日には早朝からミスミ王国へと向かい宿を発つだけではない、プライドの護衛として全員が重大な任務がある以上少しでも体力を温存させることを優先された。


しかし、ロデリックから許可を得た後もおとなしく寝室へ戻ったのはハリソンだけだった。

アラン、エリック、カラムそしてアーサーは落ち着くことなく身支度だけを簡単に済ませた後は部屋に集まっていた。ちょっと話そうぜと酒一本片手に提案するアランが、同室のエリックとともに誘いにくればカラムとアーサーも断らなかった。


同室のハリソンが眠るまで物音を立てずにいるのも落ち着かないアーサーと、またアランがうっかり飲みで飽き足らず手合わせまで後輩達を巻き込まないようにの監視も込みでカラムも誘いに応じた。四名の近衛騎士に、隊の配属関係で個室を与えられたカラムの部屋で酒盛りが決まった。

四人も集まると、当然手狭ではあるがそれでも座って話すだけではそこまで苦もない。が、……そこで追って訪れたのが第一王子だった。


野営も慣れた騎士同士であれば手狭な部屋でも床で問題ないが、ステイルを相手に窮屈さは申し訳ない。

いっそ酒場にも出るかと提案したアランに、カラムが王子殿下を外に出せるかと叱責し、アーサーがステイルに今夜は帰るように説得すべきか考え、他に広い部屋はとエリックが思考を巡らせたところで、最終的にステイルの提案が通された。


『では僕の部屋で』

まさかの王子の部屋へのご招待に、アランもテーブルに置いた酒瓶の存在を忘れた。

近衛騎士一名分の個室よりも、当然はるかに広くそして部屋の外には護衛の騎士が張っている王子の宿部屋へと会場が移動となった。

王子の部屋に、護衛目的でもなく自分達が入るのはと躊躇した近衛騎士達だが、自分達のいる粗末な部屋にいさせるわけにもいかない。温度感知の騎士も、ステイルの強い希望で自分の部屋前に見張りに置く分を宿全体の見回りに回されている。


お陰で今はステイルの他に騎士四名が部屋にいても広々と肩が触れない余裕のある距離で腰を下ろしていた。

騎士が遠慮するであろう自分のベッドを椅子替わりにするステイルに、アーサーも今はあくまで宿部屋である分気安く寛げた。ステイルに遠慮がない自分が進んでステイルと同じベッドに腰を下ろしたところで、文句を言う者はどこにもいない。

もともと自室にステイル用の椅子が常備されているアーサーにとって、高級品と重要機密ひしめく城の部屋ならばどもかく、宿の部屋ぐらいで遠慮はしない。

そしてステイルとアーサーが椅子を空けてくれたことによって、アランは机用の椅子に、エリックとカラムもそれぞれテーブル前の椅子に腰かけ、無事落ち着けられた。

いっそこれだけ広い部屋で話せるならば、女王付き近衛騎士であるケネス達も誘えばよかったかと思うアランだが、自分達と違い彼らはハリソンと同じく素直に就寝に入っている。そして、よく考えれば彼らはそもそも第一王子と語らう時間事体に遠慮する人間ばかりだろうと思いなおした。……実際は、本来エリックもカラムも同じ遠慮する種の人間であることは気にしない。

アーサーも、ステイル以外の王族には今もそうである。


「ライアーのことも、騎士団長に自分達の方からもご報告しました。配達人と協力して潜入だと説明すれば、騎士団長も納得しておられましたよ」

「明日任務に加わる騎士全員に当日の情報共有も終えた頃かと思います」

「ヴァルの存在と仮の特徴、ライアーのことも把握しております」

わかりやすい特徴で助かりました、と。アラン、カラムに続きエリックが苦笑しながら頬を指で掻く。

ライアーはともかくヴァルは本当に通じるのかと最初に聞いた時は疑ったが、ジルベールとステイルの考えならばうまくいくだろうと思う。


昨日の件で配達人として宿に泊まることになり周知されたヴァルすら、明日はまた特徴が一部変わる。いつものヴァルならば見逃すことはないが、乱戦の中では細かいところまで共有しないと間違って攻撃をしかねない。その上でもう一人明らかに裏稼業らしい風貌の男が並んでいれば、結果として味方同士の無駄な争いになる。


プラデストで関わった元奴隷被害者の男を協力者にと報告した時、騎士団長のロデリックが眉間に皺を寄せたことを近衛騎士達は全員が目の当たりにした。

これで元裏稼業とまで告げたらどういう表情になるのだろうと考えたのも一人や二人ではない。ロデリックから「信頼できる者なのか」と尋ねられれば、全員が肯定を返せたのが幸いだった。元罪人のヴァルと組む相手が相性は良くても組み合わせとしては最悪すぎる。しかし、ライアーという男の人間性はまだ把握できていない近衛騎士達にも彼が〝ジャンヌ〟を裏切るようには見えなかった。むしろ騎士相手よりも怯える始末である。


「いや~、けどまさかアイツと仕事することになるなんてなぁ。ヴァルの方はもう慣れたけど、まだちょっと俺は面白い」

「面白いという域ではないだろう……」

「やっぱ強いンすよね、あの人。俺とかステイルも、レイから話聞くだけで実際戦ってるの見たことないんでまだ半信半疑なんすけど……」

「自分もです。確か、当時彼を捕らえたのがアラン隊長達だったとお聞きしましたけれど……。アラン隊長の印象に残っているということは相当な能力者だったのではとお見受けします」

あはは……と、アランにしては若干枯れた笑いが直後には零れる。カラムもこれには額を手で押さえてしまったままだ。余計なことを自分から蒸し返したアランに頭が痛くなる。


興味深く視線を向けるアーサーに、エリックも続けばステイルも意見を聞きたいと気わんばかりに漆黒の眼差しをアランに集中させた。

ライアーの実力不安をプライドが口にした時、最初にそれを否定し保障したのがアランだ。

当時の詳しい事情を知らないアーサーやエリックも、アランがあそこまで断言するのは気になっていた。今まで数えきれない数の裏稼業を殲滅しているアランは、相手に特殊能力者がいたことも珍しくない。

しかし、そのアランが味方以外で倒した相手を覚えているのはそれだけ手強かったか印象に残ったということになる。


まさか殺されかけたとも言いにくいアランも、苦く笑いながらそ~っと全員からの視線に目を逸らす。

今の自分にとっては死にかけたな~くらいの記憶だが、カラムを思うと冗談でも笑い話にはしたくない。自分のことは笑えるが、自分よりも間違いなくきつい想いをさせたカラムを置いて当時のことを粗末に扱いたくなかった。

自分だってカラムやジェイルに辛い思いをさせかけたこと自体はまだ記憶としてもかなりきつく、少なからず胸も痛くなる。ライアーのことは当時の彼が操られていたことも理解している分恨んでもいないが、カラムに辛い想いをさせたことについては今でも申し訳ないと思っている。


今も、ただただ純粋に、当時騎士が手こずった相手であるライアーと協力するという現状が面白いというだけの感想だ。


ラス為アニメSeason2・第7話が<<本日>>放送です!

https://lastame.com/

TOKYO MXで毎週火曜22:00~

無料のABEMAで毎週火曜22:30~

放送です。

皆様に心からの感謝を。


昨日2話更新分、次の更新は28日です。よろしくお願い致します。

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