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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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そして成立する。


「いや~まぁ俺様昔っからそういう悪いこと見てられないんで??奴隷被害的なのも許せませんし俺様がご協力することで奴隷被害者の方々の力になれるのであれば幸いですマジで。そりゃもう騎士様大好き超尊敬してて騎士志した時期もあったようななかったような感じなのでご一緒にお仕事できて光栄です国のお力になれるのなら私の力くらいいくらでもお使いくださいあとその代金大嘘じゃねぇですよねとりあえずレイちゃんには内緒で」


さっきまでの口の重さが嘘のように軽々しく舌を回すライアーに、レイは仮面ごと額を抱えて俯いた。今でさえ自分の金を喰って生活している分際でまだ金が欲しいかこの男と拳を震わせる。こそこそ声で聞き取れなかったが、どうせと想像もついている。大金が手に入ったライアーがどういう使い方が好きかは子どもの頃学んだ。

興奮のあまりうっかりトーマスの口調が混ざってしまいながらすらすらと嘘を吐くライアーの早口を、レイは聞く耳も持たず椅子から立ち上がる。「ライアー!!」家中に響き渡す声でまた怒鳴った。


「なに勝手に進めてやがる?!どうせお前じゃ一晩で大金も使い切る分際で!!また裏稼業なんざに首突っ込む気か?!」

「はいはいレイちゃん!ばっかだなぁ~図体と一緒にそういうトコまでませちゃって恥ずかしいぜ?どんな想像したかは全然知らねぇけどそういうんじゃねぇよ。こんなイイ男捕まえて俺様を何だと思ってやがる?」

「幼女趣味のド変態野郎」

「ちっげぇよマジで!!!!グレシルちゃんいる前でやめろっつってんだろお前は!!」

レイへと駆け寄ったスキップまじりの足も束の間に、今度はトストストストスッとレイの仮面を連続で突く。

続けて肩に反対の腕を回し引き寄せ、よしよしと叩いた。もう自分は任務を請け負うと決めた以上、ライアーも一番の難関がレイであることはわかっている。ここは自分が責任もってレイのご機嫌をとりつつ許可を得るしかないと頭が百八十度切り替わる。自分が少し留守にするだけで小うるさくなる雛鳥だ。


唾を飛ばし怒鳴っても、直後にはまたレイを宥めることに集中する。たとえ自分が行く気になっても、レイが納得しなければ帰った時にあるのは焦げた家と再裁判である。

大丈夫、騎士団が負けるわけねぇだろ、ちょっと協力するだけでがっぽり、ちょろっと行って明日帰してくれる、俺様が負けると思うか??とレイが安心できる言葉をその場しのぎでも考えながら、目の輝きは隠せない。


「大体よ~俺様も私利私欲に目が眩んだわけじゃねぇっつの。ほら、俺様も心入れ替えて??ちょっと良いことの一つや二つ」

「テメェが入れ替えるのは記憶の一度で充分だ」

「ッ黙って聞けっつの!!良いか~レイちゃん前言ってたろ??ほら、アレ。買えりゃあとかなんとか?これは超いい機会だと思うんだけどなぁ俺様。ここだけの話なんとアレ買えちゃう金額だったんだわ。ど??」

「アレ……」

途中から耳へ催眠術のように直接囁きかけるライアーに、レイがとうとう口を結び否定を一度閉じた。

ライアーの言うことがどうせほとんど嘘だと理解した上で、〝アレ〟が何かかも、そしてアレを買える金額の報酬であることは本当なのだろうことはわかった。確かに手に入れる機会もこれを逃せば数年ないと思えば悩む。しかし、ライアーの身の危険を引き換えにしてまで欲しいものではない。


ライアーに保護観察が解かれることも、そして自分の後見人になることも悪くないと思ったレイだが、やはりライアーがまた危険な場に身を投じ、裏稼業に恨みを買う不安の方が大きい。

騎士団との任務となれば優勢ではあるが、ライアーにまた何かあって記憶を飛ばされたら元も子もない。ライアーの実力は知っているが、そのライアーが裏稼業達に捕まり奴隷にされたのも事実だ。騎士が関わるような大事に関わって欲しくもない。

レイ自身は金に困ってもいなければ、不満もなく大金を使うような趣味も娯楽も貴族時代から持っていない。ライアーがどれだけ大金に眩んでも関係ない。自分は上級貴族の金を使い潰すぐらいのつもりでライアーを探し回っていたのだから。

そのライアーがいなくなることを考えれば、たとえ騎士が相手でも行かせるわけにはいかなかった。

「…………知るか。もう良い年した分際で揉め事に首突っ込もうとしてんじゃねぇ。罠だったらどうする」

「ッだ!か!ら!俺様そんな年じゃねぇっつの!!!それによ~く考えろ?罠なわけねぇだろ?あのジャンヌちゃんの紹介した騎士サマだぞ??そんな俺様達を嵌めるなんて今さら」




「あ、そのジャンヌからも手紙預かってきました。レイに」




ハァッ?!と、綺麗に二人の声が重なった。

揉め合う二人を前に、ちょうど良いと判断したアランは懐から手紙を取り出した。ジャンヌ、もといプライドから預かった正真正銘本人直筆の手紙だ。

さっきまで顔を見合わせて怒鳴り合っていた二人も、揃ってアランへ振り向き目を丸くする。「紹介状というか、まぁ信用してもらう為に自分から頼んで」と、笑いながらアランが手紙を差し出せば無言のままレイが奪うように掴み取った。

騎士からかすめ取るような受け取り方をするレイに注意しようと思ったライアーだが、今はそれよりも何故手紙が自分宛ではなくレイ宛なのかが恐ろしい。正直いまのライアーにとっては国からの依頼よりもジャンヌから「やれ」と言われれば、たとえ無償であろうと拒否できない。

レイが雑に手紙の入った封筒を開ける中、もうジャンヌという名前を聞いた時点でライアーは喉がごくりと鳴った。あの謎に包まれたジャンヌが、レイに手紙を送った理由。それが今この状況も想定しての宛名だと思えて仕方がない。

親戚のアランの為に、もしくは奴隷被害者か騎士団の為にライアーを動かそうとするジャンヌの意思の塊を前にライアーはじわじわと額が湿り出した。もう、ジャンヌが関わっている時点で絶対この任務は断らないと改めて決意する。騎士よりも国よりもレイよりも、ジャンヌだけは敵に回したくない。


封筒を指の間に挟み、手紙を読みやすいように両手で開くレイは目を凝らし、…………そういえばジャンヌの字を見るのも自分は初めてかもしれないと気付く。

勉強を教わっていたというファーナム兄弟に聞けばわかると思うが、内容関係なく彼らには見せてやりたくもない。自分が想像したよりも遥かに綺麗な字は、教養すらも垣間見えるようだった。たかが山生まれの田舎女には勿体ないほどだと思う。

手紙の内容は、最初は丁寧な挨拶から始まった。典型文に近いその内容もレイは最初から飛ばさず速読に近い速さで読み進め、自分達は元気であると一文の現状報告の後に今回アランに相談されて自分もお願いしたいと思った経緯がジャンヌとして丁寧に語られる。


『実は以前お会いした時に話した、奴隷被害者も関わっています』


「「………………」」

以前、グレシルを紹介された最後に判明した奴隷逃亡者と、その関係者。そう言われれば急に自分達に身近な話題に思えてくる。しかも、レイはその時ジャンヌにどんな大見得切った命令を告げたかもよく覚えている。

手紙には自分には何もできないが、奴隷被害にあっている人の為になにかしたいと思った。今までもそういった被害の人間には会ったことがあって、他人事と思えない。せっかく平和に生活しているライアーを巻き込もうとして申し訳ないと、ジャンヌの言葉で綴られていた。

しかし協力して欲しい、アランもエリックも信頼できる騎士だと、絶対にライアーを無事に帰してくれると保障すると。そう目の前にいる騎士二人を褒めちぎる文には多少苛ついたが




『貴方方の生活がより良いものとなって欲しいと心から願う、友人として保障します。どうか─』

『─そして友人としてのお願いです。どうか一日だけ信じてもらえませんか?』





「………………………………」

ジャンヌ・バーナーズより友愛を込めて。と、最後のサインまで読みきったレイの顔を、ライアーは仮面に隠されてない半分すらすぐに覗くのは躊躇われた。額の汗がいつの間にか顎から垂れ、口の端が片方だけ変に引きあがったまま戻ってこないまま手紙を見る。次第にレイの指によりくしゃりと皺がうまれたところで、このままじゃ意図せず破いてしまうとライアーは彼へ両手をそれぞれ重ねた。こらこら待て待てと声に出して冗談めいてなだめながら、これ以上指に力が入る前に手紙を没収する。

自分から手紙を奪われても無言のレイに、両手を身構えたがいつまで経っても火は出てこなかった。代わりに俯いたままいつまでも無言を貫くレイの肩が微弱に震えだす。ライアーも「ジャンヌちゃんからの手紙に舞い上がっちまったか?」と冗談まじりにレイの肩へと腕を回した。しかしレイは答えない。下ろした手に拳まで作るレイに、エリックから断っても問題はないことを最初と同じ説明で重ねようとした時だった。


「……傷無し。記憶付き、返却時刻を提示し、時間厳守でお願いします」


ぐぐぐぐぐっ、と。ライアーの背中が両手で押し出される。自分の肩に腕を回すのも構わずアラン達の前へと突き出したレイは、瑠璃色の目が鋭く光っていた。

突然自分の背を押されたライアーも一度は目を丸くしたが、すぐにそういうことかと理解し呆れ笑う。ハァァアアァァと、脱力するようにレイの両手に体重をわざとかけながら「いや俺様どういう扱い?」と投げかけるが無視される。


自分の意思でライアーが立った後も、変わらずその背中に手を当て続けるレイは、誰の目から見ても快諾の顔ではなかった。

「約束する」「約束します」と言葉を返したアランとエリックだが、それでも笑顔が今はこわばった。ライアーの背後で自分達に押し出しながら、顔に力を込め眉を狭め明らかに奥歯を噛んでいるように顎が震えているレイに、初めて良心が刺される。まるで拾ってきた子犬を幼子から奪うかのような罪悪感にチクチクと胸が痛んだ。

レイとライアーの関係と事情はある程度関わり知っていたつもりの二人だったが、何故プライドがあそこまで躊躇しライアーではなくレイに対して申し訳なさそうな顔をしていたのかが今わかった気がした。髪を耳に掛け息を吐き、それでもまだぷるぷる震えている。


「良い子で待ってろよ~レイちゃん。俺様いねぇからって泣くなよ?あっグレシルちゃんに手も出すなよ絶対。一つ屋根の下でどぎまぎした時はまず」

「うるせぇさっさと行って終わらせて来い変態野郎」


レイの翡翠と黒の髪二色をまぜるように頭を撫でながら気づいていないふりで笑いかけるライアーは最後、蹴りだされる形で家を後にした。


本日二話更新分、次の更新は火曜日になります。よろしくお願い致します。

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― 新着の感想 ―
ジャンヌちゃんからの手紙を読んだレイ君のおかげでライアーも任務を頑張れるだろうね!
レイちゃんよく頑張ったね——!!
ライアー、国からの依頼とジャンヌからの依頼は、ほぼ同義だよ。 事情を知らずとも真の権力者を見極める能力はあっぱれ!
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