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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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2322/2325

Ⅲ273.騎士隊長達は踏み出し、


「警告しておく。恥を掻きたくなければただち人払いをしろ」


宣戦布告にも聞こえるその宣言は、カラムから放たれた。

今までの奴隷被害者としてではない、対する敵として言葉を決める。しかし前髪を指先で払いながら告げたそれは挑発ではない。ただただ、貧困街首領への最低限の配慮だ。

しかしそれを素直に受け取るレオナルドではない。自分が敗北することを前提とした警告を受けるわけがない。「へぇ?」と軽く笑みに変えるだけだ。貧困街の彼らにも被害と脅されるならば別だが、そうでないならばわざわざ人払いしてやる必要もないと考える。首領が特殊能力を使った時点で住人達も逃げるまではいかずともそれぞれが安全を確保できる分の距離を空けている。

そして騎士達は、住民にまで被害を広げるつもりはない。レオナルドも同様である。


住民達へ人払いの号令はレオナルドからも、そして幹部達からもかけられることない。

むしろ騒ぎを聞きつけ、空中に舞うレオナルドを遠目から見つけた者達まで集まり出す。無数の注目の中で、レオナルドの羽ばたく音がゆっくりと繰り返される。人間一人を余裕で空中に維持するほどの翼の風圧が真正面に立つ騎士達を扇いだ。


「ンなことより作戦会議は終わったか。三人で良いのか?」

「君が希望するのならば一名でも構わない。その場合はもっと開けた、被害の少ない場所に移動して貰おう」

「カラム・ボルドー、その場合は私にやらせろ」

「いや三人でやるから。ハリソン、もう一度言うけど殺すなよ??」

まだ聞くこともあるんだから。と、アランの忠告にハリソンは今度は無言で返した。

暗に騎士全員でかかってこいと余裕を見せるレオナルドに、騎士達三人も気付かなかったかのように受け流す。あくまで三人同時に出たのは、決闘ではなく確実かつ迅速に確保する為だ。一名でも勝てるという確信は全員が変わらない。


余裕に余裕で返されたレオナルドは、薄く目を細めた。

フリージア王国騎士団というその噂は自分も聞いた。バケモン集団だと、そして特殊能力者のいる国である彼らは自分のこの翼を見ても全く動じない。今までの奴隷狩り達であれば、人外そのものの翼を見せるだけでも少なからず怖じけるか虚勢を張ってくるというのに、ここまで平然とされたのは始めてですらある。フリージア、という国を頭で反芻しつつ、しかしもう彼らの馬車に乗る気はない。


「翼の特殊能力か〜!白は初めて見るな。ブルーノとシャーロック副隊長も茶色だし」

「一般的は茶色らしいが、ハリソンは見たことはあるか」

「覚えてない」

少しずつ上空へと位置を上げながら、騎士達三人の頭の旋毛が見える位置で停止する。

貧困街はもともと建物自体テントや掘っ立て小屋で屋根も低い。背後に聳え立つ廃墟にまで上がればそれなりに高さは稼げるが、レオナルドのいる位置までは幅も離れている。

余裕を見せている騎士達だが、第一に彼らが自分に攻撃を届けるのも容易ではないとレオナルドは結論づける。しかし、騎士達の持つ武器は剣だけではない。


「銃はやめておこう、音が響………ハァ」

全員が銃を所持している中、当てる自信はあるが銃声で貧困街の外にまで騒ぎが広がることを懸念したカラムだが、途中で止まり息を吐く。

悠長にいつまでも掛かってこない彼らに様子を窺っていたレオナルドも、そこできょとんと瞬きをした。突然赤毛混じりの騎士が遠目でも見えて肩を落としたことまではわかったが、潜めた会話が拾えないほどの高さにまでもう来ていた。何か仲間同士で齟齬でも合ったのかと考え



─られたのはそこまでだった。



「ッ?!」

視界の端に、ほんの一瞬長い髪が流れた。自分と違う色と、同時にぞわりと背中を這い上がるような寒気に身体が先に動いた。

ここは空中で、届くわけもない。そう信じていた大前提が覆されるのを目で確認する余裕もない。さっきまでただ単純に羽ばたいていた翼ごと身体を捻り、半回転するようにして避ける。空中で仰向けになり、背後から感じた嫌な気配を確かめればいるわけのない存在がそこにいた。自分の後頭部があった場所に、黒髪の騎士が蹴りを飛ばそうとしていた瞬間だった。ついさっきまで目下三名揃っていた筈の騎士が、ほんの一瞬で二名になっていた。気付かなかったのではない、ただただ単純に一瞬で背後に回られていた。

遮蔽物もない、背後に自分より背の高い建物もない貧困街で、上空にいた自分の背後を取っていた騎士にレオナルドも目を疑う。彼も特殊能力者かと、思考が回るのもそこだけだった。


「ほぉ」

高速の足で背後を取った上での一撃を、空中とはいえ避けたレオナルドにハリソンは小さく感嘆の声が漏れる。プライドが言う通りそれなりに実力はあるらしいと評価を改めた。

騎士団でも今の一撃を空中で避けられる者は少ない。下らない大口を叩くだけはあったかと思いつつ、自由落下に身を任せる。

レオナルドが「打ち合わせは終わったか」と尋ねてきた時点で、さっさと行動に移りたかったハリソンはもうカラムからの指示をこれ以上聞く気も失せていた。もともと自分に連携は向いていない。アランからしつこく殺すなと言われている以上、さっさと脳天を打ち付けて意識を奪えば良いだけの話だと判断した。

高速の足で廃墟からその屋根まで移動し、特殊能力による速度と助走でレオナルドの背後まで飛び移った。自分の飛び移れる可能距離を鑑みても、高度を上げていくレオナルドをこれ以上待ち続けたくもなかった。

空中にまで移動することはできても、そこから高度を維持できるわけではない。後頭部を外し、飛び移る助走の勢いも薙いだハリソンを今度はレオナルドが狙う。空中で体勢を維持したまま今度は自分が鼻っ面を蹴り飛ばしてやろうと狙いを定め再び全身で横回転する。体勢を戻す為ではない、空中で動きを取れない相手を地面に叩きつける為の一撃にハリソンも応じて剣を抜き、……止まる。


「ハリソン!そこは羽根狙えって!!」

空中であるにも関わらず、またもや耳のすぐ傍で声が放たれたことにレオナルドも思わず蹴ろうと構えていた動きが止まる。それほどにまた恐ろしく近い、背後からの声だった。

しかも今度は自分自身まで空中での動きが取りにくくなると同時だった。ハリソンからの攻撃を避け、蹴飛ばす為にいくらか高度は落ちたとはいえ、空中にも変わらずまた背後を取ってきた騎士が今度は自分の左翼にしがみついていた。人間一人程度抱えて飛ぶことは容易だが、動力である羽根の動きを奪われては当然飛行どころか浮遊も難しい。


「切り落としては駄目なのだろう」

自分まで落下してたまるかと右翼の動きでなんとか空中に留まろうとする間に、淡々と言葉を返すハリソンは無事落下しきる。ストンと両足で地面に着地したところで、アランではなく今度は地上にいたカラムから「切り落とさずとも動きを奪える」と指摘される。

プライドから命じられた以上翼を切り落とすことは諦めたハリソンは、翼の動きを奪うという選択肢も捨てていた。しかし、見上げた先でレオナルドの左翼を掴み動きを押さえるアランを見れば確かに切らなくても良かったのだと今思う。

しかし、どちらにせよ最初の一撃さえ当たっていればそこで墜落させることができていたと考え、そこで反省は終わった。


本日2話更新です。

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