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【アニメ2期決定!】悲劇の元凶となる最強外道ラスボス女王は民の為に尽くします。〜ラスボスチートと王女の権威で救える人は救いたい〜  作者: 天壱
来襲侍女と襲来

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2304/2311

Ⅲ263.来襲侍女は保護し、


レオナルドは、薄く狭い視界の中で呆然と周囲を観察し続ける。


「……では、脱出はそのように致します」

「息がある奴全員拘束終わったぞ」

ステイルと打合せをするカラム、そして気を失った奴隷狩りを拘束したアランの声が続く。

薬を打たれてからも意識はあり、抵抗しようとした時もあった。しかし一先ず危機を免れた今は自身の意思でも脱力する。どうせ身体は動かないと理解している中で、状況にじっくりと耳を澄ませ目を開き熟考する。動かない方が回復が早いことも知っている。

騎士、という存在もフリージア王国の騎士の話も知っている。彼らが自分を保護対象者と呼ぶということは、捕まえにではなく助けにきたらしいと把握した。しかし、名前まで呼ばれたことを思えば偶然で自分が居合わせたわけではないとも理解する。

何故、どうして彼らが自分を知っているのか。そこまではまだわからない。


保護対象者という呼び方と、奴隷狩り達を一掃したことからも本物の騎士だろうと見当付けた。自分をこの後どうするつもりなのか、保護とはどこまでを強制されるのか。視界に入る、明らかに騎士ではない声の女は何者なのか。聞き耳を立てるだけでは飲み込めない情報も多い。

少なくとも自分がここに繋がれてからの新入り二人の奴隷は同じように連れて行かれるらしいことは、彼らの会話の文脈で理解した。


「いくらか予想はしていましたが、……まさか一人ならず三人も我が国の民を隠し捕らえていたとは」

「だ、大丈夫よアーサー。このままで。ここを出るまでは一緒にいるわ……」

ハァ、と苛立ち混じりの溜息を吐くステイルはそこでプライドの声に目を向ける。あはは……と枯れた笑いを零すプライドは、今も引き剥がそうとするアーサーとそして温度感知の特殊能力者のロドニーに手を振り断っていた。自分の腕にひしとしがみ付いている初対面の女性の背をそっと撫でる。


奴隷被害者がレオナルドも含めて三人ともフリージア王国の民だとわかった以上、レオナルド一人を連れ出すわけにはいかない。

相談の結果、三人を連れ出すことを決めたプライド達は捕らわれていた男性の奴隷、そしてもう一人女性の奴隷の枷も全て外していた。カラムに鍵の場所を教えた男性は対話も可能な状態だったが、もう一人捕らわれていた女性は口も今はまともに利けない状態だった。騎士相手にも警戒し、心配して呼びかけてきた同性であるプライドにしがみついて震え泣きじゃくる。プライドも既にオリウィエルの件で初めてではなかった分、彼女への対応も落ち着いていた。寸前に引き剥がそうとしたアーサーとロドニーを前に怯え泣き喚く彼女が遭った酷い目を思えば、ここで唯一女性である自分が引き剥がしたくはなかった。

殆ど口を利けない状態の女性からは聞けずとも、会話が可能な状態の男性からはある程度カラムが檻の中での事情を聞き終えた後だ。


「なぁカラム。あの人本当に剥がさなくて大丈夫か?もしもの場合もあるだろ」

「一応私も付こう。しかし少なくとも第三者による証言は得ている」

前髪を指先で直しながら、アランに言葉を返すカラムは僅かに眉を顰めた。

第三者である奴隷被害の男性によればつい一週間前に檻に連れてこられたのが女性。そして自分は二十日前。レオナルドは既にいて一番この檻では古い存在だったと、貧困街からの情報提供からも間違っていない。

特殊能力を持っていないといくら言っても信用されず無いものを絞り出そうと痛めつけられた男性だったが、他の二人と比べれば自分はマシな方だった。レオナルドが最も酷い目に遭い、そして女性は不憫の一言では片付けられない。恋人に結婚しようと騙され特殊能力者だから売られたと最初の三日泣き喚いていた女性が、たった数日でどれだけ悍ましい目に遭ったかを知れば、騎士達にすら怯え牙を剥くのも無理のない話だった。


しかし万が一にもラジヤの間者である可能性も、気が動転してプライドに危害を加える場合も含め、アーサーとロドニーだけでなくカラムもまた傍に付くことにする。

男性が増えるほど怯える女性だが、それでもプライドにもしものことがあってはならない。プライド本人が良しとしていなければ、とっくに強制的に引き剥がしていた。


「特殊能力もそこの人は特上らしくて、卸先もとっくに決まっているような口ぶりでした……。能力がどんなのかは知らないですそれで、それであいつら何度フリージアの奴隷はもう禁止と言っても鼻で笑って私を……」

「お話しありがとうございます。ですが、もう無理はなさらないでください。地上に戻ったら水分補給をしましょう」

喉がもう枯れてますと、自分でも気付いていない様子で口を動かす男性にエリックはカラムの上着越しにその背中を擦る。

カラムが尋ねた後も、その後に枷を解かれた後も相手がいれば何度も同じ話を繰り返す男性に、今はエリックが傍に付いた。

レオナルドを動かせるようになるまで話している方が本人も落ち着くのならばと暫く聞いたカラム、そして今はエリックだがもう男性も喉が限界に近く掠れ声だ。最初は比較ちゃんとした発語だったが、今は耳を近付けないと聞こえないくらいのカサついた声に変貌していた。


その様子を見ながら、アランは絶対安静中のレオナルドへと歩み寄る。打たれた薬の量にもよるが、意識を失わない程度の微量ならばそろそろかなと思う。

変わらず開いていた薄目で天井を見つめる男は、パッと見ると死んだんじゃ無いかと思うほど大人しい。外傷は殆ど無いことは既に確認したが、やはり他の二人と同様にまともな目に遭ってないのだろうとアランは察した。

軽い動作でしゃがみ、まじまじとレオナルドの顔を覗き込めば彼の目の動きもまた自分に向いたのを確かめる。生きてる生きてると思いながら、軽く手を振って呼びかけた。


「体調はどうですか。そろそろ少しは身体が動くと思います。口が利ける程度まで回復したのなら地上までお連れします」

「……ぁーーーー………………」

ん??と、アランは少し首を傾げる。

意思を持って開かれた口から音は聞こえたが、喋っているようには思えない。レオナルドの正体は知っているとはいえ、今は奴隷被害者として接するアランは音を拾おうと更に自分の耳をレオナルドの口に近付けた。まだ喋れないのか、それとも見かけ以上に意識が混濁しているのかと考えるアランだが、すぐに違うとわかった。

「あ」の一音が少しずつ大きく、等間隔に切れてはまた発せられている。話せないのではなく、自分から発声の調子を確かめている。こんな状態にも関わらず冷静な奴だなとアランは少し関心した。騎士や兵士ですら、最初から何か話そうと無理に口を動かす者は多い。そんな中で、冷静に自分がどこまで話せるかの調子から確かめている。少なくとも意識どころか頭も大分平常に回っている男に、これなら抱えて運ぶぐらいはしても大丈夫そうだと考える。

耳を離し、しゃがんだままレオナルドの様子を注視する。「あー」「あ゛ー」と発声を聞く度にはっきりと、そして本来のものであろう低い声が安定してきた。


「あー、あーあー、……あーーー喋ぇ、喋れ、る。喋れる、喋れる。ッ痛……」

「舌怪我してますからね。無理に喋らなくて大丈夫ですよ」

保護対象者動かせそうです!と、直後にはアランが全員へと向けて声を張り報告する。

舌の痛みで顔を一度顰めたレオナルドもやっと自分から手足に力を入れ始めた。両手でそれぞれグーパーと拳を作っては開き、足の指にまで力を込め丸めてはまた伸ばす。少しずつ無理のない範囲から身体の調子を確かめ、そして稼働させていく。想像よりもずっと身体がすぐに言う通りになったことに、今度は身体を起こそうとしたがそこまでは叶わない。顔を少し起こすのが精一杯だった。

レオナルドの状態が安定したらしいアランの報告に、プライド達もほっと胸をなで下ろす。


後は地上に上がり、堂々と成果を突きつけるだけだ。

レオナルドの経過を待っている間に決めた通り、エリックは奴隷被害の男性に肩を貸す。カラムもアーサーと共に、女性被害の女性をプライドごとゆっくりと立たせた。一歩一歩、杖を使う老人よりもゆっくりとした足取りで檻の外へ繋がる方向へ誘導する。エリックと男性の真後ろに、プライド達も女性を連れて並んだ。全員が脱出に向けて動き出したことを確かめ、アランもレオナルドを慎重に抱え上




「ブッ……ハハハハハハハッ!!なんだツイてんなァおいっ!!すげぇなバケモン騎士団!!」




ハハハッ!!と、突如として雄々しい笑い声が地下に木霊した。

さっきまで聞かなかった種の男の声に、全員がアランの方へ振り返った。全員が目を丸くする中で、プライド一人の顔が引き攣った。うわぁっ……と、心の声があと少しで出かかった。

レオナルドだと、すぐにわかった。


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さては、第四作目の俺様キャラはキミだね、レオナルド!
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