第一百七十四章 変更理由
「照会先区分――変更。」
透は、画面を見た。
「変更前――外部。」
「うん。」
「変更後――業務連携先。」
「そう。」
「変更日時。」
「兄の日から四日後。」
「そう。」
女はその日付を見た。
「四日後。」
「うん。」
「この変更理由。」
「今から見る。」
透が詳細を開いた。
しばらく画面を動かさなかった。
「出た。」
「何?」
「変更理由――連携経路確定。」
女は黙った。
「連携経路確定。」
「そう。」
「つまり。」
「うん。」
「最初は外部として扱っていた。」
「そう。」
「その後。」
「うん。」
「業務連携先として確定した。」
「そう。」
女は画面を見つめた。
「何が変わったの?」
「照会先区分。」
「それだけ?」
「記録上は。」
「そう。」
「照会先そのものが変わったのか。」
「うん。」
「同じ相手を別の区分に変更したのか。」
「そう。」
「そこまでは分からない。」
「そう。」
女はノートを開いた。
「外部。」
「うん。」
「業務連携先。」
「うん。」
「これは人ではない。」
「そう。」
「会社かもしれない。」
「そう。」
「部署かもしれない。」
「そう。」
「システムかもしれない。」
「そう。」
「担当窓口かもしれない。」
「そう。」
「だから。」
「うん。」
「この変更だけで。」
「そう。」
「誰と連絡を取ったかは分からない。」
「そう。」
女は書いた。
「区分変更≠相手変更。」
透は頷いた。
「ただ。」
「うん。」
「四日後に。」
「そう。」
「照会先情報が参照されている。」
「そう。」
「その後。」
「うん。」
「区分が変更された。」
「そう。」
「だから。」
「うん。」
「何らかの確認が行われた可能性はある。」
「可能性はある。」
「でも。」
「そう。」
「誰が何を確認したかは。」
「記録対象外。」
「そう。」
女は画面を見た。
「また。」
「うん。」
「人が消えている。」
「そう。」
「正確には。」
「うん。」
「人がいたかもしれない部分が。」
「そう。」
「記録から分離されている。」
「そう。」
女は少し考えた。
「じゃあ。」
「うん。」
「照会先情報を保存しているのは。」
「X―4。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「X―4の記録からも。」
「そう。」
「個人名は見えない。」
「そう。」
「権限制限。」
「そう。」
「なぜ?」
透が定義を開いた。
「外部連携先の個人情報。」
「うん。」
「原則別管理。」
「そう。」
「業務記録との直接連結。」
「制限。」
「そう。」
「だから。」
「うん。」
「仕事の記録と。」
「そう。」
「その仕事をした人の情報が。」
「別々に保存される。」
「そう。」
女は画面を見た。
「これまで。」
「うん。」
「何度も。」
「そう。」
「人の名前を探してきた。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「記録は。」
「そう。」
「人ではなく。」
「うん。」
「役割。」
「そう。」
「区分。」
「そう。」
「経路。」
「そう。」
「権限。」
「そう。」
「名称。」
「そう。」
「そういうものを残している。」
「そう。」
女は少し黙った。
「だから。」
「うん。」
「名前を見つけても。」
「そう。」
「その名前が誰なのか。」
「そう。」
「確定できない。」
「そう。」
「名前が残っていなくても。」
「うん。」
「業務の経路は残る。」
「そう。」
「だから。」
「うん。」
「人を探すには。」
「そう。」
「人の記録だけを探しても。」
「うん。」
「足りない。」
「そう。」
透は黙って画面を見ていた。
女は続けた。
「でも。」
「うん。」
「業務の経路を追ったからといって。」
「そう。」
「人が分かるとも限らない。」
「そう。」
「だから。」
「うん。」
「結局。」
「そう。」
「両方を。」
「うん。」
「分けたまま追う必要がある。」
「そう。」
女はその言葉を書いた。
「人の線と、仕事の線を分ける。」
その下に、
「必要なところだけ照合する。」
と書いた。
透は画面を切り替えた。
「変更後。」
「うん。」
「業務連携先になった。」
「そう。」
「その翌日。」
「何かある?」
「照会先再利用。」
「早い。」
「そう。」
「変更した翌日。」
「そう。」
「同じ照会先が。」
「うん。」
「別の業務処理で使われている。」
「そう。」
「目的は?」
「外部連携情報確認。」
女は画面を見る。
「外部連携情報。」
「そう。」
「本人情報ではない。」
「そう。」
「照会先そのものを確認している。」
「そう。」
「その後。」
「うん。」
「所在関連情報へ通知。」
「そう。」
「また。」
「うん。」
「所在関連情報。」
「そう。」
女は少し考えた。
「変更後の区分が。」
「業務連携先。」
「そう。」
「それを。」
「うん。」
「所在関連情報に通知した。」
「そう。」
「だから。」
「うん。」
「所在関連情報の照会先として。」
「そう。」
「利用できるようになった。」
「そう。」
女は画面を見た。
「じゃあ。」
「うん。」
「兄の日の時点では。」
「そう。」
「まだ外部。」
「そう。」
「四日後には。」
「そう。」
「業務連携先。」
「そう。」
「その翌日。」
「そう。」
「所在関連情報の照会先として。」
「そう。」
「再利用された。」
「そう。」
女は少し黙った。
「これは。」
「うん。」
「かなり具体的な変化。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「兄の日の処理が原因だったとは。」
「言えない。」
「そう。」
「以前から変更予定だった可能性もある。」
「そう。」
「別の案件がきっかけだった可能性もある。」
「そう。」
「兄の日とは無関係かもしれない。」
「そう。」
女は頷いた。
「それでも。」
「うん。」
「時間の並びは。」
「そう。」
「残しておく。」
「そう。」
「兄の日。」
「うん。」
「四日後。」
「そう。」
「区分変更。」
「うん。」
「翌日。」
「そう。」
「再利用。」
「そう。」
「因果関係は。」
「不明。」
「でも。」
「時系列は。」
「確認できる。」
「そう。」
女はノートに書いた。
「時系列を、因果関係に変えない。」
透は頷いた。
「それが。」
「うん。」
「最近ずっとやっていることだね。」
「そう。」
女は少し笑った。
「前は。」
「うん。」
「近いものを。」
「そう。」
「全部つなげていた。」
「そう。」
「今は。」
「うん。」
「近いものは。」
「そう。」
「近いまま置いておく。」
「そう。」
「必要なら。」
「後で照合する。」
「そう。」
二人はしばらく画面を見ていた。
透が別の項目を開いた。
「変更前の外部区分。」
「うん。」
「利用履歴。」
「何件?」
「十六件。」
「兄の日の前にも?」
「ある。」
「どのくらい?」
「過去二年間で十五件。」
女は画面を見る。
「じゃあ。」
「うん。」
「兄の日が初めてではない。」
「そう。」
「外部として使われていた。」
「そう。」
「変更後。」
「うん。」
「業務連携先。」
「そう。」
「利用件数。」
「四件。」
「少ない。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「まだ四日しか経っていない。」
「そう。」
女は頷いた。
「つまり。」
「うん。」
「兄の日の後。」
「そう。」
「この照会先は。」
「うん。」
「外部から。」
「そう。」
「内部の業務連携先として。」
「そう。」
「扱われるようになった。」
「そう。」
「その最初の利用の一つが。」
「うん。」
「所在関連情報。」
「そう。」
女は画面を見つめた。
「これ。」
「うん。」
「一つ確認したい。」
「何?」
「この照会先。」
「うん。」
「兄の日の外部照会で。」
「そう。」
「実際に使われた照会先と。」
「そう。」
「四日後に業務連携先として登録された照会先。」
「うん。」
「同じものだと。」
「記録上は関連付けられている。」
「でも。」
「うん。」
「完全一致?」
「照会先識別子が同じ。」
女は顔を上げた。
「識別子。」
「そう。」
「名前じゃない。」
「そう。」
「照会先を識別する番号。」
「そう。」
「それが同じ。」
「そう。」
「それなら。」
「うん。」
「少なくとも。」
「そう。」
「同じ管理対象として扱われている。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「その識別子が。」
「そう。」
「実際の相手そのものを意味するとは。」
「限らない。」
「そう。」
「業務連携の単位を示す識別子かもしれない。」
「そう。」
女は頷いた。
「また。」
「うん。」
「識別子。」
「そう。」
「番号。」
「そう。」
「同じだから。」
「うん。」
「同じ人。」
「違う。」
「同じ組織。」
「違う可能性がある。」
「そう。」
「同じ業務連携先として管理されている。」
「そう。」
女はノートを閉じた。
「ここまで来ると。」
「うん。」
「番号そのものより。」
「そう。」
「その番号が何を識別するために作られたか。」
「そう。」
「そっちの方が重要。」
「そう。」
透は識別子の定義を開いた。
「照会先識別子。」
「うん。」
「定義――連携経路を管理するための識別子。」
女は黙った。
「人ではない。」
「そう。」
「組織でもない。」
「そう。」
「連携経路。」
「そう。」
女は画面を見た。
「つまり。」
「うん。」
「同じ照会先識別子でも。」
「そう。」
「実際の相手が変わる可能性がある。」
「可能性はある。」
「担当者が変わっても。」
「そう。」
「同じ経路なら。」
「うん。」
「同じ識別子を使う。」
「そう。」
「部署が変わっても。」
「うん。」
「経路が維持されれば。」
「そう。」
「同じ識別子。」
「そう。」
女は静かに言った。
「だから。」
「うん。」
「兄が会った人を。」
「そう。」
「この識別子から探すのは。」
「難しい。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「兄が関わった可能性のある業務経路を。」
「そう。」
「追うことはできる。」
「そう。」
女は画面を見た。
「人ではなく。」
「うん。」
「経路。」
「そう。」
「人ではなく。」
「うん。」
「処理。」
「そう。」
「人ではなく。」
「うん。」
「記録の連続性。」
「そう。」
透は黙っていた。
女は最後に一つだけ尋ねた。
「その連携経路。」
「うん。」
「今も使われている?」
透が検索を続ける。
しばらくして、画面に一行が出た。
「現在状態――継続。」
女はその文字を見た。
「今も。」
「そう。」
「同じ経路が。」
「そう。」
「使われている。」
「そう。」
「じゃあ。」
女はゆっくり言った。
「兄の日に使われた経路は。」
「うん。」
「消えていない。」
「そう。」
「今も存在している。」
「そう。」
「それなら。」
「うん。」
「次は。」
「そう。」
「その経路が。」
「うん。」
「兄の日の前に。」
「そう。」
「何を通していたのか。」
透は画面を見た。
「過去利用履歴。」
「そう。」
「最初の利用。」
「いつ?」
透が履歴を開いた。
表示された日付は、兄が南区へ入る日より、さらにずっと前だった。
そして、その隣には一つの古い区分が表示されていた。
「連携用途――個人照会関連。」
女は動かなかった。
「個人照会関連。」
「そう。」
「今は。」
「業務連携先。」
「そう。」
「昔は。」
「個人照会関連。」
「そう。」
女はその文字を見つめた。
「また。」
「うん。」
「同じ経路が。」
「そう。」
「昔は個人照会に使われていた。」
「そう。」
「今は業務連携に使われている。」
「そう。」
女は静かにノートを開いた。
「経路は同じでも。」
「うん。」
「用途が変わる。」
「そう。」
「用途が変わっても。」
「うん。」
「識別子は残る。」
「そう。」
彼女はそこでペンを止めた。
「じゃあ。」
「うん。」
「昔の記録を見たとき。」
「そう。」
「同じ識別子だから。」
「うん。」
「昔と今が同じ意味だと思ったら。」
「そう。」
「また間違える。」
「そう。」
画面には、
「照会先識別子――同一。」
「旧用途――個人照会関連。」
「現用途――業務連携先。」
「用途変更――業務再編。」
と並んでいた。
女はしばらくそれを見ていた。
そして小さく言った。
「同じ番号が。」
「うん。」
「違う仕事をしている。」
透は画面を閉じなかった。
その下には、まだ一件。
「用途変更前記録――参照あり。」
が残っていた。




