↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘の向こう側  作者: 亀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

166/590

第一百六十六章 本人所在

「本人所在関連情報確認。」


女は、その文字を見つめていた。


「本人所在。」


「うん。」


「今までの。」


「うん。」


「所在関連情報とは違う。」


「そう。」


「少なくとも。」


「うん。」


「表示上は。」


「そう。」


透は詳細欄を開いた。


「利用日時――兄の日から五日後。」


「五日後。」


「そう。」


「利用元は?」


「Q―1。」


女の表情が変わった。


「Q―1。」


「そう。」


「じゃあ。」


「うん。」


「差異未解消情報が。」


「そう。」


「Q―1から。」


「うん。」


「本人所在関連情報確認に使われた。」


「そう。」


女はしばらく何も言わなかった。


「これは。」


「うん。」


「今までと違う。」


「そう。」


「本人識別――対象外。」


透が項目を確認する。


「……ある。」


女は画面を覗き込んだ。


「また?」


「そう。」


「本人所在を確認するのに。」


「うん。」


「本人識別は対象外。」


「そう。」


女は眉を寄せた。


「どういうこと?」


透はすぐには答えなかった。


「まず。」


「うん。」


「本人所在関連情報の定義を見よう。」


検索を開く。


「本人所在関連情報。」


しばらく画面を送る。


「対象者に関する所在情報、連絡経路、照会先その他の関連情報。」


女は首を傾げた。


「やっぱり。」


「うん。」


「本人の現在地とは限らない。」


「そう。」


「所在情報。」


「うん。」


「連絡経路。」


「うん。」


「照会先。」


「うん。」


「その他関連情報。」


「そう。」


女は画面を見た。


「つまり。」


「うん。」


「本人所在という言葉が入っていても。」


「そう。」


「実際の住所や位置情報とは限らない。」


「そう。」


「確認対象が。」


「人の現在地。」


「とは限らない。」


「そう。」


女は少し黙った。


「じゃあ。」


「うん。」


「この『本人所在』という言葉だけでは。」


「そう。」


「兄がどこにいたかは分からない。」


「分からない。」


女は頷いた。


「でも。」


「うん。」


「この後続利用があること自体は。」


「そう。」


「重要。」


「そう。」


「なぜ?」


透は利用詳細を開いた。


「利用元――Q―1。」


「うん。」


「参照対象――分離後個人識別情報。」


女の目が止まった。


「個人識別情報。」


「そう。」


「今度は。」


「うん。」


「実際に参照対象になっている。」


「そう。」


「本人識別確認は?」


「未実施。」


女は画面を見た。


「また。」


「うん。」


「個人識別情報を参照している。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「本人とは照合しない。」


「そう。」


「じゃあ何を確認した?」


透が次の項目を開く。


「参照目的――所在関連情報の適用範囲確認。」


「適用範囲。」


「そう。」


「本人所在そのものじゃない。」


「そう。」


「どの情報を。」


「うん。」


「本人所在関連情報として扱えるか。」


「そう。」


女は少し黙った。


「つまり。」


「うん。」


「最初に見つけた『本人所在』という文字は。」


「そう。」


「確認対象そのものではなく。」


「うん。」


「利用目的の名称。」


「そう。」


「実際の確認内容は。」


「適用範囲。」


「そう。」


女は息を吐いた。


「また。」


「うん。」


「名前に引っ張られた。」


「そう。」


「本人所在。」


「うん。」


「本人を探しているように見える。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「実際には。」


「適用範囲を確認している。」


「そう。」


女はノートを開いた。


「表示名。」


「うん。」


「利用目的。」


「うん。」


「参照対象。」


「うん。」


「確認対象。」


「うん。」


「全部。」


「違う。」


「そう。」


彼女は一つずつ書き分けた。


「だから。」


「うん。」


「ここも。」


「そう。」


「分けて読む。」


透は次の項目を開いた。


「確認結果――適用可能。」


女は画面を見る。


「また可能。」


「そう。」


「実際の適用は?」


「その下。」


「なし。」


「そう。」


「じゃあ。」


「うん。」


「本人所在関連情報として。」


「適用できるか確認した。」


「そう。」


「できる。」


「そう。」


「でも。」


「実際には使っていない。」


「そう。」


女はしばらく黙っていた。


「じゃあ。」


「うん。」


「『本人所在関連情報確認』という記録がある。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「兄の所在を確認した記録ではない。」


「そう。」


「少なくとも。」


「そう。」


「この記録だけでは。」


「分からない。」


女は頷いた。


「ここまで来ても。」


「うん。」


「言葉が先に走る。」


「そう。」


透は画面を戻した。


「でも。」


「うん。」


「一つ。」


「何?」


「五日後に。」


「うん。」


「Q―1が。」


「そう。」


「個人識別情報を参照している。」


「そう。」


「それは確定。」


「そう。」


「じゃあ。」


「うん。」


「なぜ。」


「そう。」


「本人一致確認をしなかったのか。」


女は画面を見た。


「確認条件。」


「うん。」


「本人一致確認――不要。」


「そう。」


「理由は?」


透が開く。


「適用範囲確認。」


「それだけ?」


「そう。」


「じゃあ。」


「うん。」


「最初から。」


「そう。」


「本人を特定する必要がない処理だった。」


「そう。」


女は考えた。


「それなら。」


「うん。」


「個人識別情報を持っていることと。」


「そう。」


「本人を識別することは。」


「別。」


「そう。」


「個人識別情報は。」


「うん。」


「個人を特定するためだけに使われるわけではない。」


「そう。」


「管理するため。」


「そう。」


「適用範囲を決めるため。」


「そう。」


「関連情報として保持するため。」


「そう。」


女は小さく頷いた。


「だから。」


「うん。」


「個人情報が存在していても。」


「そう。」


「本人確認が行われない処理はある。」


「そう。」


「それ自体は。」


「特別ではない。」


「そう。」


女はノートを閉じた。


「でも。」


「うん。」


「五日後に。」


「うん。」


「この処理が行われた。」


「そう。」


「その前に。」


「うん。」


「何があった?」


透が履歴を開く。


「四日前。」


「うん。」


「三日前。」


「うん。」


「二日前。」


「うん。」


「それぞれ。」


「Q―1参照。」


「何のため?」


透は一つずつ確認した。


「四日前――旧名称関連情報再確認。」


「三日前――差異未解消情報適用範囲確認。」


「二日前――記録間整合性確認。」


「そして。」


「五日後――本人所在関連情報確認。」


女は黙った。


「少しずつ。」


「うん。」


「目的が変わっている。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「参照対象は。」


「分離後個人識別情報。」


「そう。」


「同じ情報を。」


「うん。」


「違う目的で。」


「そう。」


「何度も参照している。」


「そう。」


女は考え込んだ。


「じゃあ。」


「うん。」


「この情報は。」


「そう。」


「一度見て終わる情報じゃない。」


「そう。」


「業務の中で。」


「うん。」


「何度も別の目的に使われる。」


「そう。」


「そのたびに。」


「うん。」


「新しい意味が付く。」


「そう。」


女はノートに書いた。


「同じ情報。」


その下に、


「異なる目的。」


さらに、


「異なる意味。」


と続けた。


「でも。」


「うん。」


「元の情報は。」


「そう。」


「変わらない。」


「そう。」


「だから。」


「うん。」


「後から履歴だけを見ると。」


「そう。」


「一つの情報が。」


「うん。」


「何人もの人間や。」


「そう。」


「何件もの事件に。」


「うん。」


「関係しているように見える。」


「そう。」


女は顔を上げた。


「でも実際には。」


「そう。」


「同じ情報を。」


「うん。」


「別々の仕事が使っているだけかもしれない。」


「そう。」


透は次の履歴を開いた。


「六日後。」


「まだある。」


「そう。」


「何をした?」


「本人所在関連情報――外部照会。」


女は画面を見た。


「外部照会。」


「そう。」


「今度は。」


「うん。」


「外に出ている。」


「そう。」


「参照元。」


「X―4。」


女の表情が変わった。


「X―4。」


「そう。」


「個人関連情報を管理している。」


「うん。」


「そこから。」


「外部照会。」


「そう。」


「でも本人一致確認は?」


「対象外。」


女はしばらく黙っていた。


「つまり。」


「うん。」


「個人関連情報が。」


「そう。」


「外部照会の業務に。」


「そう。」


「使われた可能性がある。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「誰についての情報なのか。」


「その記録では確認していない。」


「そう。」


女は画面を見つめた。


「これは。」


「うん。」


「少し怖い。」


透は黙っていた。


「情報そのものが怖いんじゃない。」


女は続けた。


「使われ方が。」


「うん。」


「人を確認しないまま。」


「そう。」


「人に関する情報だけが。」


「うん。」


「仕事の中を移動していく。」


「そう。」


「そのたびに。」


「うん。」


「名前や分類が付く。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「その名前が。」


「誰を指しているのか。」


「分からない。」


「そう。」


女は画面を見た。


「それでも。」


「うん。」


「業務は止まらない。」


「そう。」


「むしろ。」


「うん。」


「止めないために。」


「そう。」


「人の確認を後回しにして。」


「うん。」


「情報だけを先に流す。」


「そう。」


女はしばらく黙った。


「じゃあ。」


「うん。」


「兄が消えたのか。」


「うん。」


「兄が誰かに隠されたのか。」


「うん。」


「兄の情報が別人に使われたのか。」


「うん。」


「それとも。」


「うん。」


「最初から兄とは関係のない情報なのか。」


「そう。」


「まだ。」


「分からない。」


透は頷いた。


女は画面を閉じなかった。


「でも。」


「うん。」


「一つだけ。」


「何?」


「兄の日の五日後。」


「うん。」


「『本人所在関連情報』という言葉が。」


「そう。」


「初めて出てきたわけではない。」


透が検索する。


「過去にもある。」


「どれくらい?」


「三年間で二十一件。」


女は少し安心したように、しかしすぐに表情を戻した。


「じゃあ。」


「うん。」


「この言葉自体は。」


「特別ではない。」


「そう。」


「兄の日だけに作られたわけでもない。」


「そう。」


「それなら。」


女は画面を見た。


「特別なのは。」


「うん。」


「この言葉ではなく。」


「そう。」


「この言葉が。」


「どの記録から。」


「うん。」


「どの情報を使って。」


「そう。」


「どこへ送られたのか。」


「そう。」


透は検索条件を変えた。


「過去二十一件。」


「うん。」


「Q―1から本人所在関連情報確認に進んだもの。」


「何件?」


「四件。」


「その四件の中で。」


「うん。」


「X―4から外部照会に進んだもの。」


透が止まった。


「一件。」


女が画面を見る。


「それは。」


「兄の日の記録。」


二人とも、すぐには何も言わなかった。


それが何を意味するのか。


まだ分からなかった。


ただ一つ。


同じような処理は複数存在する。


その中で、兄の日の記録には、


「Q―1――本人所在関連情報確認」


の後に、


「X―4――外部照会」


が続いていた。


そして、その次の項目には、


「照会結果――未取得」


と表示されていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。