↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘の向こう側  作者: 亀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

164/590

第一百六十四章 適用履歴

「適用先――所在関連情報。」


女は、その一行をもう一度読んだ。


「さっきと同じ。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「今度は、差異が残ったまま。」


「そう。」


「適用されている。」


「そう。」


女は画面を指でなぞった。


「適用日時。」


「兄の日の翌日。」


「翌日。」


「そう。」


「対象。」


「所在関連情報。」


「適用内容は?」


透が開いた。


「旧名称関連情報。」


女は少し黙った。


「本人識別情報じゃない。」


「そう。」


「差異のある本人識別情報を、そのまま使ったわけではない。」


「そう。」


「旧名称関連情報の処理に。」


「うん。」


「その記録が関連付けられている。」


「そう。」


女は画面を見た。


「つまり。」


「うん。」


「人に関する情報の差異が残ったまま。」


「そう。」


「その記録全体は。」


「うん。」


「業務情報として使われている。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「本人確認はしていない。」


「していない。」


「それなのに。」


「うん。」


「旧名称関連情報との関連は。」


「維持されている。」


「そう。」


女は眉を寄せた。


「これは。」


「うん。」


「人を特定していないのに。」


「そう。」


「記録同士の関係だけは。」


「そう。」


「残っている。」


「そう。」


「だから。」


「うん。」


「後から見る人は。」


「そう。」


「関係があることだけを見て。」


「うん。」


「本人にも関係があると思うかもしれない。」


透はすぐには答えなかった。


「記録上は。」


「うん。」


「そこまでは書かれていない。」


「そう。」


「だから。」


「うん。」


「読む側が補う可能性がある。」


女は頷いた。


「記録は嘘を書いていない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「読む人間が。」


「そう。」


「つなげてしまう。」


「そう。」


女はノートを開いた。


「旧名称。」


「うん。」


「所在関連情報。」


「うん。」


「本人識別情報。」


「うん。」


「補完情報。」


「うん。」


「全部、同じ画面の中にある。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「それぞれ。」


「別の意味。」


「そう。」


彼女は一つずつ線で囲んだ。


「ここを間違える。」


「うん。」


「同じ人の情報に見える。」


「そう。」


「でも。」


「実際には。」


「そう。」


「同じ人だと確認されていない。」


「そう。」


透が次の項目を開いた。


「適用根拠。」


女が顔を上げる。


「何?」


「入力時分類結果。」


「また分類。」


「そう。」


「本人確認ではない。」


「そう。」


「元の分類を。」


「そのまま使っている。」


「そう。」


女は少し考えた。


「ということは。」


「うん。」


「一度。」


「うん。」


「所在関連情報として分類されたものは。」


「そう。」


「その後の処理でも。」


「うん。」


「所在関連情報として扱われやすい。」


「そう。」


「最初の分類が。」


「後の分類の根拠になる。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「最初の分類自体が。」


「本人確認によるものではない。」


「そう。」


女は画面から目を離した。


「これ。」


「うん。」


「循環してない?」


「どういう意味?」


「最初に。」


「うん。」


「名前と業務区分と入力経路から。」


「うん。」


「所在関連情報に分類する。」


「そう。」


「その後。」


「うん。」


「その分類結果を根拠に。」


「そう。」


「また所在関連情報として適用する。」


「そう。」


「さらに。」


「うん。」


「その適用結果を見て。」


「そう。」


「過去記録との関連性を確認する。」


「そう。」


「すると。」


「うん。」


「最初の分類が。」


「そう。」


「後の処理で補強されていく。」


透は画面を見た。


「そういう構造には見える。」


「でも。」


「うん。」


「それは。」


「本人確認とは違う。」


「そう。」


「記録上の一貫性を維持しているだけ。」


「そう。」


女は頷いた。


「一貫している。」


「うん。」


「だから正しいとは限らない。」


「そう。」


「逆に。」


「うん。」


「途中で差異があっても。」


「そう。」


「一貫した分類は続けられる。」


「そう。」


彼女はその言葉を書き留めた。


「一貫性≠正確性。」


透は何も言わなかった。


女は次の履歴を開いた。


「適用後確認。」


「ある。」


「確認内容。」


「旧名称関連情報との継続性。」


「結果。」


「継続。」


「本人一致。」


「対象外。」


「また。」


「そう。」


女は小さく息を吐いた。


「人は見ていない。」


「うん。」


「名前の使われ方は見ている。」


「そう。」


「業務区分も見ている。」


「そう。」


「経路も見ている。」


「そう。」


「記録同士の関係も見ている。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「人そのものは。」


「確認していない。」


「そう。」


女はしばらく画面を見ていた。


「それでも。」


「うん。」


「この処理を何度も繰り返せば。」


「そう。」


「人の情報と業務情報が。」


「うん。」


「近づいて見える。」


「そう。」


「実際には。」


「そう。」


「直接つながっていない。」


「そう。」


「ただ。」


「うん。」


「参照関係が積み重なっている。」


「そう。」


女は画面を閉じかけた。


そのとき、下に別の項目が見えた。


「適用履歴――次回参照。」


「まだある。」


透が開いた。


「三日後。」


「何が?」


「同じ差異未解消情報。」


「どこに?」


「外部照会関連情報。」


女は止まった。


「所在関連情報から。」


「うん。」


「外部照会関連情報へ。」


「そう。」


「前に見た変更と同じ?」


「少し違う。」


「何が?」


「今回は適用範囲変更ではない。」


「じゃあ。」


「参照先変更。」


女は画面を見る。


「旧名称関連情報。」


「うん。」


「参照先――R―3。」


「またR―3。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「R―3は。」


「旧照会関連業務。」


「そう。」


「所在関連情報ではない。」


「そう。」


女は考えた。


「つまり。」


「うん。」


「差異が残った記録が。」


「そう。」


「所在関連情報で使われたあと。」


「うん。」


「外部照会関連情報として。」


「そう。」


「R―3に参照されている。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「本人識別は。」


「対象外。」


「そう。」


女はノートをめくった。


「R―3。」


「うん。」


「P―4。」


「うん。」


「第三の記録。」


「うん。」


「この三つ。」


「そう。」


「全部。」


「うん。」


「同じ名前を扱っている。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「用途が違う。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「兄の日の記録は。」


「そう。」


「その三つを順番に。」


「参照している。」


「そう。」


女は顔を上げた。


「ここ。」


「うん。」


「初めて。」


「そう。」


「人ではなく。」


「うん。」


「記録の経路が見えてきた。」


透は画面を見た。


「記録の経路。」


「そう。」


「どこから。」


「うん。」


「どこへ。」


「そう。」


「何の目的で。」


「そう。」


「参照されたか。」


「そう。」


女はノートに書いた。


「人の移動ではなく。」


少し間を置いて、


「記録の移動。」


と続けた。


透は頷いた。


「でも。」


「うん。」


「それでも。」


「うん。」


「兄がその記録に含まれているとは。」


「言えない。」


「そう。」


「兄の日と。」


「うん。」


「記録の参照時刻が近いだけ。」


「そう。」


「同じ名前があるだけ。」


「そう。」


「同じ業務区分があるだけ。」


「そう。」


「同じ経路を通っただけ。」


「そう。」


女は静かに言った。


「全部、本当。」


「うん。」


「でも。」


「うん。」


「全部合わせても。」


「本人だとは言えない。」


「そう。」


そのとき、透が一つの履歴を見つけた。


「これ。」


「何?」


「三日後の参照。」


「うん。」


「参照理由。」


女が画面を見る。


「差異未解消情報の適用範囲確認。」


「そう。」


「参照先。」


「R―3。」


「うん。」


「結果。」


透が開く。


「適用可能。」


女は眉を寄せた。


「また。」


「うん。」


「可能。」


「そう。」


「実際に使った?」


「その下。」


透がスクロールする。


「実適用――なし。」


女は黙った。


「使える。」


「うん。」


「でも。」


「うん。」


「使わなかった。」


「そう。」


「じゃあ。」


「うん。」


「ここでも。」


「そう。」


「参照可能と。」


「うん。」


「実際に参照したことが。」


「別。」


「そう。」


「適用可能と。」


「うん。」


「実際に適用したことも。」


「別。」


「そう。」


女は深く息を吐いた。


「この記録。」


「うん。」


「一つ一つの言葉を分けて読まないと。」


「そう。」


「全部同じ意味に見える。」


「そう。」


「参照可能。」


「うん。」


「参照済み。」


「うん。」


「適用可能。」


「うん。」


「適用済み。」


「うん。」


「全部違う。」


「そう。」


女はノートの最後に書いた。


「可能≠実施。」


透はその文字を見た。


「今まで。」


「うん。」


「何度も出てきた。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「毎回。」


「少しずつ意味が違う。」


「そう。」


女は画面を見た。


「じゃあ。」


「うん。」


「兄の日の記録で。」


「うん。」


「本当に確定しているのは。」


透は画面を見ながら答えた。


「名前が使われた。」


「うん。」


「業務分類が設定された。」


「うん。」


「外部入力があった。」


「うん。」


「記録が参照された。」


「うん。」


「補完情報が作られた。」


「うん。」


「差異が残った。」


「うん。」


「それでも処理は続いた。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「その後の分類と参照が続いた。」


「そう。」


女は静かに頷いた。


「そこまでは。」


「うん。」


「記録にある。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「その全部を。」


「兄という一人の人間につなげる線は。」


透は少し間を置いた。


「まだない。」


女はその答えを否定しなかった。


「じゃあ。」


「うん。」


「次は。」


「何を見る?」


彼女は画面の一番下を指した。


そこには新しい項目があった。


「差異未解消情報――適用終了後処理。」


透が開こうとすると、女が止めた。


「待って。」


「何?」


「これ。」


「うん。」


「適用終了。」


「そう。」


「終わった後。」


「うん。」


「情報がどこへ行くのか。」


「そう。」


「そこを見る。」


「うん。」


「もしかしたら。」


女は画面を見つめた。


「今まで見てきたものが。」


少し間を置いて、


「最後に、どこへ集まるのか分かるかもしれない。」


透は静かに次の記録を開いた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。