第一百六十三章 適用範囲
「適用範囲――所在関連情報。」
女は、その文字を読んだ。
「また。」
「うん。」
「所在関連情報。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「今度は。」
「X―4。」
「そう。」
女は画面を見た。
「補完された情報を。」
「うん。」
「どの業務に使えるか。」
「そう。」
「確認している。」
「そう。」
「人ではなく。」
「業務。」
「そう。」
女は少し考えた。
「つまり。」
「うん。」
「この情報は。」
「うん。」
「人を確認するためのものではなく。」
「そう。」
「所在関連情報の処理に使えるかどうかを。」
「そう。」
「確認されている。」
「そう。」
「だから。」
「うん。」
「兄本人との関係は。」
「まだ出てこない。」
「そう。」
女は画面をスクロールした。
「適用条件。」
「旧名称関連情報。」
「うん。」
「業務名称。」
「うん。」
「外部連携。」
「うん。」
「所在関連情報。」
「そう。」
「本人識別――対象外。」
女の指が止まった。
「また。」
「うん。」
「本人識別対象外。」
「そう。」
「じゃあ。」
「うん。」
「補完された本人識別情報なのに。」
「そう。」
「その適用では。」
「本人識別を使わない。」
「そう。」
女は画面を見つめた。
「これは。」
「うん。」
「少し変。」
「どういう意味?」
「本人識別情報として保存されているのに。」
「うん。」
「実際の業務では。」
「そう。」
「本人識別をしない。」
「そう。」
「なら。」
「うん。」
「情報の種類と。」
「そう。」
「情報の使い方が。」
「うん。」
「別になっている。」
「そう。」
女は頷いた。
「情報が何であるかと。」
「うん。」
「何のために使うか。」
「そう。」
「別。」
「そう。」
「ここも。」
「うん。」
「混ぜると分からなくなる。」
透は画面を見た。
「だから管理も分けている。」
「そう。」
「X―4は個人関連情報を持つ。」
「うん。」
「でも。」
「うん。」
「業務記録側では。」
「本人識別対象外。」
「そう。」
女は少し黙った。
「じゃあ。」
「うん。」
「この情報を使って。」
「うん。」
「所在関連情報の処理を続けることはできる。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「その処理を見ただけでは。」
「そう。」
「誰の情報なのか分からない。」
「そう。」
「逆に。」
「うん。」
「X―4を見れば。」
「そう。」
「個人関連情報がある可能性は分かる。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「その情報が。」
「そう。」
「どの業務に使われたかは。」
「直接は分からない。」
「そう。」
女は静かに言った。
「二つの記録を。」
「うん。」
「勝手につなげると。」
「そう。」
「初めて。」
「うん。」
「一人の人間のように見える。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「システムは。」
「そう。」
「最初から。」
「うん。」
「つなげないようにしている。」
「そう。」
女は画面を閉じた。
「だから。」
「うん。」
「私たちが今やっていることも。」
「そう。」
「本来は簡単にできない。」
「そう。」
「複数の管理をまたいで。」
「うん。」
「関連性を見ている。」
「そう。」
「だから。」
「うん。」
「途中で。」
「そう。」
「一致とか差異とか。」
「そう。」
「意味が変わる。」
「そう。」
女はノートを開いた。
「情報。」
「うん。」
「管理区分。」
「うん。」
「適用範囲。」
「うん。」
「本人。」
「うん。」
その四つを少し離して書いた。
「同じものではない。」
と付け加えた。
透は次の項目を開いた。
「適用結果――条件適合。」
「うん。」
「追加処理――なし。」
「そう。」
「じゃあ。」
「うん。」
「今日の確認は。」
「そう。」
「ここで終わった?」
「一応。」
「一応?」
「その下に。」
透がスクロールした。
「適用範囲変更履歴。」
女が画面を見た。
「変更?」
「そう。」
「いつ?」
「今日。」
「変更前は?」
「所在関連情報。」
「変更後。」
「外部照会関連情報。」
女は黙った。
「逆戻り?」
「そう見える。」
「でも。」
「うん。」
「名称は?」
「業務名称。」
「変わらない。」
「そう。」
「入力経路。」
「業務窓口。」
「変わらない。」
「外部連携。」
「あり。」
「変わらない。」
「本人識別。」
「対象外。」
「変わらない。」
女は画面を見た。
「業務区分だけ。」
「変わった。」
「所在関連情報から。」
「外部照会関連情報。」
「そう。」
「なぜ?」
透が詳細を開く。
「変更理由――適用先業務の明確化。」
女は眉を寄せた。
「明確化。」
「そう。」
「つまり。」
「うん。」
「同じ情報を。」
「そう。」
「別の業務にも使えるように。」
「そう。」
「適用範囲を整理した。」
「可能性がある。」
「でも。」
「うん。」
「兄の日の処理では。」
「所在関連情報だった。」
「そう。」
「今日。」
「外部照会関連情報。」
「そう。」
「だから。」
女は考えた。
「同じ補完情報でも。」
「うん。」
「後から見ると。」
「そう。」
「所属する業務が変わって見える。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「情報そのものが変わったとは限らない。」
「そう。」
「分類が変わっただけかもしれない。」
「そう。」
女は頷いた。
「これも。」
「うん。」
「名前と同じ。」
「そう。」
「同じ情報でも。」
「うん。」
「使われる場所が変わると。」
「そう。」
「意味が変わって見える。」
「そう。」
透は画面を見た。
「変更時刻。」
「うん。」
「兄の日から。」
「今日。」
「数日しかない。」
「そう。」
「その間に。」
「うん。」
「適用範囲が変わった。」
「そう。」
女は少し黙った。
「じゃあ。」
「うん。」
「兄の日に。」
「うん。」
「所在関連情報として処理されたのは。」
「そう。」
「当時の業務分類に合わせただけ。」
「可能性がある。」
「そして。」
「うん。」
「今日。」
「そう。」
「外部照会関連情報に変わったのは。」
「そう。」
「現在の業務分類に合わせた。」
「可能性がある。」
「そう。」
女は画面を見た。
「つまり。」
「うん。」
「兄の日の処理が。」
「そう。」
「今とは違って見える理由は。」
「うん。」
「人が変わったからではなく。」
「そう。」
「分類が変わったからかもしれない。」
「そう。」
女は小さく頷いた。
「また。」
「うん。」
「人ではない。」
「そう。」
彼女はノートに書いた。
「分類変更≠人物変更」
その下に、
「適用範囲変更≠情報内容変更」
と続けた。
透はそれを見た。
「でも。」
「うん。」
「まだ一つ。」
「何?」
「今日の変更。」
「うん。」
「なぜ行われたのか。」
「変更理由は。」
「適用先業務の明確化。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「なぜ今日なのか。」
女は画面を見た。
「そこ。」
「うん。」
「まだ分からない。」
透が変更履歴を開く。
「変更申請。」
「ある。」
「申請時刻。」
「今日、午前。」
「申請者。」
「C―12。」
「M―2。」
「また。」
「そう。」
「理由。」
「適用先業務の重複確認。」
女は画面を見た。
「重複。」
「そう。」
「何と何が重複していた?」
「所在関連情報。」
「うん。」
「外部照会関連情報。」
「うん。」
「旧名称関連情報。」
女は少し考えた。
「三つ。」
「そう。」
「これまで。」
「うん。」
「別々に見ていたものが。」
「そう。」
「実は。」
「うん。」
「同じ情報を使っていた。」
「可能性がある。」
「だから。」
「うん。」
「適用先を整理した。」
「そう。」
女は画面を見た。
「じゃあ。」
「うん。」
「兄の日の処理を調べていたら。」
「そう。」
「現在の業務分類まで変わってしまった。」
「そう。」
「兄の日が原因とは。」
「言えない。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「兄の日の処理が。」
「そう。」
「分類の重複を発見する一つのきっかけになった可能性は。」
「ある。」
女は頷いた。
「そこも。」
「うん。」
「まだ決めない。」
「そう。」
二人は画面を見ていた。
しばらくして、透が別の履歴を開いた。
「適用範囲変更前。」
「うん。」
「過去三年間。」
「そう。」
「同じ変更。」
「ある?」
「一件。」
「いつ?」
「一年半前。」
「理由。」
「業務再編。」
「そのときも。」
「そう。」
「所在関連情報から。」
「外部照会関連情報へ。」
「そう。」
女は眉を寄せた。
「じゃあ。」
「うん。」
「今日だけの変更じゃない。」
「そう。」
「過去にも。」
「うん。」
「同じ分類変更があった。」
「そう。」
「それなら。」
「うん。」
「今日の変更も。」
「業務上の定型処理かもしれない。」
「そう。」
「兄の日に特別な意味があるとは。」
「言えない。」
女は頷いた。
「でも。」
「うん。」
「過去の変更では。」
「そう。」
「本人識別情報の補完は。」
「どう?」
透が調べる。
「なし。」
「今日だけ?」
「そう。」
「兄の日だけ?」
「兄の日を含めて三件。」
女は画面を見た。
「また三件。」
「そう。」
「同じ分類変更がある。」
「うん。」
「そのうち。」
「そう。」
「本人識別情報補完まで行ったものが。」
「三件。」
「つまり。」
「うん。」
「補完されるケースには。」
「そう。」
「共通した処理構造がある。」
「そう。」
女は少し考えた。
「じゃあ。」
「うん。」
「兄の日を特別にするのは。」
「補完そのものではない。」
「そう。」
「その後の差異。」
「そう。」
「旧名称関連情報再確認。」
「そう。」
「そして。」
「うん。」
「第三の記録が。」
「そう。」
「何度も参照されていること。」
「そう。」
女はノートを開いた。
「補完――一般的。」
「分類変更――過去にもある。」
「旧名称再確認――兄の日で確認。」
「第三の記録――複数回参照。」
最後に、
「差異――継続。」
と書いた。
「今のところ。」
「うん。」
「一番残っているのは。」
「そう。」
「差異。」
「そう。」
女は画面を見た。
「でも。」
「うん。」
「その差異も。」
「人の差ではない。」
「そう。」
「情報状態の差。」
「そう。」
「なら。」
彼女は少し考えた。
「本当に見るべきなのは。」
「うん。」
「差異があることではなく。」
「うん。」
「なぜ。」
「そう。」
「差異を解消せず。」
「うん。」
「保留したまま。」
「そう。」
「処理を続けたのか。」
透は画面を見た。
「そこ。」
「うん。」
「まだ記録がある。」
「どこ?」
「差異保留理由。」
女が身を乗り出した。
透が開く。
「保留理由――業務継続を優先。」
女は黙った。
「また。」
「うん。」
「業務継続。」
「そう。」
「本人情報の差異より。」
「そう。」
「業務を止めないことを優先した。」
「そう。」
「でも。」
「うん。」
「それは。」
「そう。」
「兄の日だけの判断ではない。」
「そう。」
「過去にも。」
「ある。」
「同じ保留理由?」
透が検索する。
「十二件。」
「そのうち。」
「本人識別情報状態の差異――五件。」
「その五件。」
「すべて業務継続優先。」
女は頷いた。
「つまり。」
「うん。」
「これも。」
「そう。」
「制度として存在する。」
「そう。」
「誰か一人の判断ではない。」
「そう。」
女は椅子にもたれた。
「だから。」
「うん。」
「この記録を見て。」
「うん。」
「誰かが兄を隠した。」
「そう。」
「とは言えない。」
「そう。」
「誰かが兄を見つけた。」
「そう。」
「とも言えない。」
「そう。」
「ただ。」
女は画面を見た。
「兄の日の処理では。」
「うん。」
「本人識別情報に差異があり。」
「そう。」
「それでも。」
「うん。」
「業務は継続された。」
「そう。」
「そして。」
「うん。」
「その後も。」
「そう。」
「情報は別管理され。」
「そう。」
「分類も変わった。」
「そう。」
「差異は。」
「うん。」
「まだ残っている。」
「そう。」
女は静かに言った。
「それだけ。」
透は頷いた。
画面の下に、さらに一行が表示された。
「現在状態――差異未解消。」
その横に、
「業務処理――継続。」
とあった。
女はその二つを見比べた。
「差異は残っている。」
「うん。」
「でも。」
「うん。」
「仕事は進んでいる。」
「そう。」
彼女はノートを閉じた。
「それなら。」
「うん。」
「次に調べるべきなのは。」
「何?」
「差異を解消しなかった後。」
「うん。」
「その情報が。」
「そう。」
「どんな処理に使われたか。」
透が検索を始めた。
画面に一件の記録が出た。
「差異未解消情報――適用履歴。」
女はその文字を見た。
「今度は。」
「うん。」
「差異そのものじゃない。」
「そう。」
「差異を抱えたまま。」
「うん。」
「何に使われたのか。」
「そう。」
透が詳細を開く。
その最初の項目には、
「適用先――所在関連情報。」
と表示されていた。
女は静かに画面を見つめた。




