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嘘の向こう側  作者: 亀


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第一百六十一章 連絡内容

「原情報――参照不可。」


女は、その一行を見つめていた。


「連絡内容。」


透が言った。


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「参照結果は残っている。」


「そう。」


「記録外情報あり。」


「そう。」


女は画面を指した。


「じゃあ。」


「うん。」


「何かを見た。」


「可能性はある。」


「そして。」


「うん。」


「それを記録には残さなかった。」


「正確には。」


透が画面を確認した。


「現在の業務記録には、内容そのものを保存していない。」


女は頷いた。


「それなら。」


「うん。」


「『なかった』とは言えない。」


「そう。」


「『見た』とも。」


「そう。」


「記録に。」


「うん。」


「内容が残っていない。」


「そう。」


女はしばらく黙っていた。


「記録外情報。」


「うん。」


「この言葉。」


「そう。」


「何度も出てくる。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「最初から。」


「そう。」


「この言葉自体が何を指すのか。」


「曖昧。」


「そう。」


女は定義を開いた。


「記録外情報――現行業務記録の入力項目として保存されていない情報。」


「うん。」


「取得経路――複数。」


「そう。」


「保存義務――なし。」


「うん。」


「参照条件――業務上必要な場合。」


「そう。」


女は画面を見た。


「取得経路が。」


「複数。」


「例えば?」


「口頭。」


「うん。」


「紙面。」


「うん。」


「別システム。」


「うん。」


「一時資料。」


「そう。」


「その他。」


「そう。」


「つまり。」


「うん。」


「記録外情報だけでは。」


「うん。」


「何から来たか分からない。」


「そう。」


女は小さく頷いた。


「だから。」


「うん。」


「10時24分に。」


「そう。」


「第三の記録から。」


「そう。」


「連絡内容を見た。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「記録外情報があった。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「それが何だったかは。」


「分からない。」


「そう。」


女は画面を閉じた。


「ここで。」


「うん。」


「一つ気になる。」


「何?」


「第三の記録。」


「うん。」


「その記録自体は。」


「そう。」


「照会連絡受付。」


「そう。」


「照会先案内。」


「そう。」


「業務名称。」


「そう。」


「つまり。」


「うん。」


「『連絡内容』という項目が。」


「うん。」


「そもそも存在している。」


「そう。」


「なら。」


「うん。」


「なぜ。」


「うん。」


「その内容を。」


「そう。」


「別管理にする必要がある?」


透は少し考えた。


「記録の種類が違うから。」


「どういうこと?」


「第三の記録には、照会を受けたことと、処理したことは残る。」


「うん。」


「でも。」


「うん。」


「相手が伝えた具体的な内容まで保存するとは限らない。」


「そう。」


「だから。」


「うん。」


「受付記録と。」


「そう。」


「実際の連絡内容が。」


「別になる。」


女は頷いた。


「つまり。」


「うん。」


「記録が分かれている。」


「そう。」


「最初から。」


「そう。」


「じゃあ。」


「うん。」


「兄の日に限ったことではない。」


「そう。」


女は検索を開いた。


「第三の記録。」


「うん。」


「過去一年。」


「そう。」


「連絡内容の参照。」


透が検索した。


「二十七件。」


「そのうち。」


「記録外情報あり――十一件。」


「本人識別情報補完。」


「三件。」


「兄の日は?」


「一件。」


「補完まで進んだ。」


「そう。」


女は画面を見た。


「でも。」


「うん。」


「三件しかない。」


「そう。」


「その三件の共通点。」


「調べる。」


透が条件を追加する。


「旧名称関連情報。」


「うん。」


「業務名称。」


「うん。」


「外部入力。」


「うん。」


「記録外情報。」


「うん。」


「本人識別情報補完。」


しばらくして結果が表示された。


「三件。」


女が画面を見る。


「全部?」


「三件とも。」


「そう。」


「じゃあ。」


「うん。」


「補完自体は。」


「そう。」


「兄の日だけではない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「この三件。」


「そう。」


「全部、第三の記録を参照している。」


透が確認する。


「そう。」


女は黙った。


「それなら。」


「うん。」


「第三の記録が。」


「そう。」


「本人識別情報補完につながることは。」


「そう。」


「過去にもあった。」


「そう。」


「これは重要。」


「うん。」


「でも。」


「うん。」


「兄の日だけが特別だったわけではない。」


「そう。」


女は頷いた。


「また。」


「うん。」


「特別なものが消えた。」


透は苦笑した。


「調べるたびに。」


「うん。」


「兄の日だけのものじゃなくなる。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「最後まで消えないものもある。」


「何?」


女は画面を指した。


「第三の記録。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「補完。」


「そう。」


「この二つは。」


「うん。」


「繰り返し一緒に出ている。」


「そう。」


透が三件の詳細を開いた。


一件目。


「旧名称関連情報――あり。」


「うん。」


「記録外情報――あり。」


「うん。」


「本人識別情報補完――実施。」


「そう。」


「補完理由――照会先確認。」


二件目。


「旧名称関連情報――あり。」


「うん。」


「記録外情報――あり。」


「うん。」


「本人識別情報補完――実施。」


「補完理由――連絡内容確認。」


三件目。


透が開く。


「旧名称関連情報――あり。」


「うん。」


「記録外情報――あり。」


「うん。」


「本人識別情報補完――実施。」


「補完理由――旧記録との整合性確認。」


女は画面を見た。


「兄の日は?」


透が読む。


「補完理由――旧名称関連情報の対応確認。」


「少し違う。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「全部。」


「うん。」


「古い情報と。」


「そう。」


「現在の情報を。」


「うん。」


「つなげるための確認。」


「そう。」


女は頷いた。


「それなら。」


「うん。」


「補完された本人識別情報が。」


「そう。」


「必ずしも。」


「うん。」


「本人を特定するために使われたわけじゃない。」


「そう。」


「古い情報と。」


「うん。」


「現在の処理を。」


「そう。」


「つなぐために必要だった。」


「可能性がある。」


女はノートを開いた。


「本人情報。」


「うん。」


「人を探すため。」


その下に、


「とは限らない。」


と書いた。


「情報をつなぐため。」


と続けた。


透はそれを見た。


「でも。」


「うん。」


「兄の日の補完情報が。」


「そう。」


「誰のものなのか。」


「分からない。」


「そう。」


「その情報が。」


「うん。」


「兄の情報だったのか。」


「そう。」


「別の人の情報だったのか。」


「そう。」


「以前の担当者の情報だったのか。」


「そう。」


「外部の依頼者だったのか。」


「そう。」


「何も。」


「分からない。」


女は頷いた。


「だから。」


「うん。」


「今の時点で。」


「うん。」


「兄の日の本人識別情報補完を。」


「そう。」


「兄の確認だと考えるのは。」


「早い。」


「そう。」


女は画面を閉じた。


「ただ。」


「うん。」


「三件の補完記録。」


「そう。」


「その後。」


「うん。」


「どうなった?」


透が検索する。


「二件。」


「うん。」


「補完後に。」


「そう。」


「個人識別情報は。」


「うん。」


「分離管理へ移行。」


「兄の日は?」


「同じ。」


女は少し考えた。


「なら。」


「うん。」


「補完された情報が。」


「うん。」


「業務記録に直接入ったわけではない。」


「そう。」


「別管理に入った。」


「そう。」


「だから。」


「うん。」


「後から見ると。」


「うん。」


「業務記録には。」


「そう。」


「本人情報がない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「別管理には。」


「存在する可能性がある。」


「そう。」


女は静かに言った。


「ここも。」


「うん。」


「人が消えたように見える。」


「そう。」


「実際には。」


「うん。」


「記録の場所が変わっただけかもしれない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「場所が変われば。」


「そう。」


「追えなくなる。」


「そう。」


女は画面を見た。


「だから。」


「うん。」


「記録を追う人間は。」


「うん。」


「同じ場所だけ見ていたら。」


「そう。」


「途中で人が消えたと思う。」


「そう。」


「実際には。」


「うん。」


「情報が別の管理に移った。」


「そう。」


女はノートを閉じた。


「じゃあ。」


「うん。」


「次は。」


「そう。」


「補完された情報が。」


「うん。」


「どこへ移ったのか。」


「そう。」


透が検索を始めた。


しばらくして、結果が出た。


「移行先――X―4関連管理。」


女は画面を見た。


「また。」


「うん。」


「X―4。」


「そう。」


「外部連携履歴と。」


「うん。」


「依頼者情報を管理しているところ。」


「そう。」


「そこに。」


「うん。」


「本人識別情報の補完結果も。」


「そう。」


「移っている。」


「そう。」


女は黙った。


「でも。」


「うん。」


「X―4は。」


「そう。」


「依頼者情報の管理だった。」


「そう。」


「なぜ。」


「うん。」


「本人識別情報がそこに入る?」


透が定義を開く。


「外部連携に伴って取得された個人関連情報。」


「うん。」


「業務記録から分離して管理。」


「そう。」


「だから。」


「うん。」


「外部連携の過程で取得された個人情報なら。」


「そう。」


「X―4に入る。」


女は頷いた。


「つまり。」


「うん。」


「本人情報がX―4にあるから。」


「そう。」


「兄だとは言えない。」


「そう。」


「外部から受け取った情報だから。」


「そう。」


「X―4に入っただけ。」


「そう。」


女はしばらく画面を見ていた。


「じゃあ。」


「うん。」


「兄の日の補完情報。」


「うん。」


「どこから来たかは。」


「まだ分からない。」


「そう。」


「どこへ行ったかは。」


「X―4。」


「そう。」


「何のために使われたか。」


「旧名称関連情報の対応確認。」


「そう。」


「誰の情報だったか。」


「分からない。」


女は頷いた。


「また。」


「うん。」


「一つだけ。」


「何?」


「兄の日に。」


「うん。」


「補完された情報が。」


「そう。」


「その後。」


「うん。」


「一度だけ。」


「そう。」


「別の記録と比較されている。」


透が画面を開く。


「比較対象――旧担当者情報。」


女の手が止まった。


「旧担当者情報。」


「そう。」


「補完された本人識別情報と。」


「うん。」


「旧担当者情報を。」


「そう。」


「比較した。」


「そう。」


「結果は?」


透が読む。


「本人一致――未実施。」


女はゆっくり息を吐いた。


「じゃあ。」


「うん。」


「比較したけれど。」


「そう。」


「本人確認はしていない。」


「そう。」


「何を比較した?」


「権限制限。」


「また。」


「そう。」


女は画面を見つめた。


「でも。」


「うん。」


「これで一つ。」


「何?」


「補完された情報が。」


「うん。」


「旧担当者情報と。」


「そう。」


「同じ管理範囲で。」


「うん。」


「比較対象になった。」


「そう。」


「つまり。」


「うん。」


「その情報が。」


「そう。」


「旧担当者に関係している可能性は。」


「ある。」


「でも。」


「うん。」


「兄本人だとは。」


「言えない。」


「そう。」


女はノートを開いた。


そして、今度は一行だけを書いた。


「補完情報――旧担当者情報と比較された。」


その下には、


「本人一致――未実施。」


と書いた。


しばらくして、女はペンを置いた。


「ここまで来ても。」


「うん。」


「まだ。」


「そう。」


「誰の情報か分からない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「誰の情報かを決めなくても。」


「そう。」


「処理の流れは少し見える。」


透が頷いた。


女は画面を見た。


「第三の記録。」


「うん。」


「記録外情報。」


「うん。」


「条件追加。」


「うん。」


「本人識別情報補完。」


「うん。」


「X―4。」


「そう。」


「旧担当者情報との比較。」


「そう。」


女は静かに言った。


「人を追うと。」


「うん。」


「途中で消える。」


「そう。」


「情報を追うと。」


「うん。」


「別の管理に移る。」


「そう。」


「そして。」


彼女は画面の最後の一行を見た。


「別の管理に移った情報が。」


「うん。」


「また別の記録と比較される。」


「そう。」


女は画面を閉じた。


「じゃあ。」


「うん。」


「次に見るべきなのは。」


「旧担当者情報との比較結果。」


「そう。」


「何が一致したのか。」


「うん。」


「何が違ったのか。」


「うん。」


「そして。」


女は少し間を置いた。


「なぜ。」


「うん。」


「本人一致をしなかったのか。」


透は静かに次の記録を開いた。


そこには、まだ詳細の表示されていない一行があった。


「比較目的――業務継続性確認。」


二人は、その言葉を見た。


そして今度は、すぐには意味を決めなかった。

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