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嘘の向こう側  作者: 亀


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第一百五十五章 変更の可能性

「変更の可能性。」


女は、その言葉を画面に残したまま動かなかった。


「でも。」


「うん。」


「実際には変更されていない。」


「そう。」


「十時五十九分。」


「うん。」


「最終確認では。」


「変更なし。」


「そう。」


「それなのに。」


「うん。」


「その前に。」


「手動確認資料が作られている。」


「そう。」


女は時刻を確認した。


「資料作成は?」


透が履歴を見る。


「十四時四十三分。」


「午後。」


「そう。」


「外部入力から。」


「三時間半くらい後。」


「そう。」


女は少し考えた。


「十時五十九分に経路を確認した。」


「うん。」


「変更なし。」


「そう。」


「十一時十四分に外部入力。」


「うん。」


「十四時四十三分に。」


「手動確認資料。」


「そう。」


「十五時十二分に。」


「本人識別情報補完。」


「そう。」


「この順番。」


「うん。」


「つまり。」


女は画面を見た。


「最初から経路が変わっていたわけではない。」


「そう。」


「途中で。」


「うん。」


「何かが変わる可能性を。」


「うん。」


「システムが検出した。」


「そう。」


「その後。」


「うん。」


「資料が作られた。」


「そう。」


女は記録を読み直した。


「緊急性判定――自動。」


「うん。」


「判定条件――照会先経路変更の可能性。」


「そう。」


「自動判定。」


「うん。」


「じゃあ。」


「うん。」


「誰かが『緊急だ』と判断したわけではない。」


「そう。」


「設定された条件に。」


「該当した。」


「そう。」


女は頷いた。


「でも。」


「うん。」


「その条件が。」


「うん。」


「何だったのか。」


透は詳細欄を開いた。


「判定条件詳細――照会先区分と旧名称関連情報の対応差異。」


女は顔を上げた。


「対応差異。」


「そう。」


「何が違った?」


透が読む。


「旧記録では。」


「うん。」


「旧名称関連情報の照会先が。」


「うん。」


「旧照会連絡系統。」


「そう。」


「兄の日の入力では。」


「うん。」


「第七管理系統。」


「そう。」


「つまり。」


女は言った。


「名前は同じ。」


「うん。」


「情報の意味も似ている。」


「うん。」


「でも。」


「そう。」


「照会先が違う。」


「そう。」


「旧記録と現行処理の間で。」


「うん。」


「経路が変わっている。」


「そう。」


女は画面を見つめた。


「だから。」


「うん。」


「変更の可能性。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「これは。」


「うん。」


「業務再編の結果でもある。」


「そう。」


「旧照会連絡系統が。」


「うん。」


「第七管理系統へ統合された。」


「そう。」


「だから。」


「うん。」


「経路が違って見えるのは。」


「正常な場合もある。」


「そう。」


「異常とは限らない。」


「そう。」


女は頷いた。


「じゃあ。」


「うん。」


「システムは。」


「うん。」


「旧記録と現行記録を比較して。」


「そう。」


「違いを見つけた。」


「うん。」


「でも。」


「うん。」


「その違いが。」


「そう。」


「正しい変更なのか。」


「そう。」


「誤った変更なのか。」


「うん。」


「自動では判断できない。」


「そう。」


女は静かに言った。


「だから。」


「うん。」


「手動確認資料。」


「そう。」


「人が確認する。」


「そう。」


「そこで。」


「うん。」


「本人識別情報が。」


「補完された。」


「そう。」


女は少し黙った。


「でも。」


「うん。」


「本人識別情報の補完が。」


「うん。」


「経路変更を確認するために必要だったのか。」


「まだ分からない。」


「そう。」


「補完理由は。」


「記録整合性維持。」


「そう。」


「経路確認資料と。」


「うん。」


「個人識別情報の状態を。」


「うん。」


「一緒に整える必要があった可能性がある。」


「可能性。」


「そう。」


女は画面を見た。


「資料本体。」


「うん。」


「見られない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「作成履歴には。」


「そう。」


「資料の対象が残っている。」


透は履歴を開いた。


「確認対象――旧名称関連情報。」


「うん。」


「照会先経路。」


「そう。」


「個人識別情報。」


「うん。」


「三つ。」


女は指で一つずつ追った。


「旧名称。」


「うん。」


「経路。」


「うん。」


「個人情報。」


「そう。」


「これまで別々に見ていたものが。」


「うん。」


「一つの資料の中に入った。」


「そう。」


女は少し考えた。


「だから。」


「うん。」


「この資料だけは。」


「うん。」


「人と業務の境界が。」


「うん。」


「一時的に近づいている。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「直接照合は。」


「されていない。」


「そう。」


「つまり。」


女は言った。


「境界を近づけただけで。」


「うん。」


「結びつけてはいない。」


「そう。」


「これは。」


「うん。」


「今までより。」


「そう。」


「少し違う。」


透は頷いた。


「ただ。」


「うん。」


「この資料が誰のために作られたのかは。」


「分からない。」


「そう。」


女はスマートフォンを置いた。


「じゃあ。」


「うん。」


「次。」


「何を見る?」


「判定条件が。」


「うん。」


「いつ作られたのか。」


透は記録を検索した。


「条件設定――一年半前。」


「前に見た。」


「D―41―09。」


「そう。」


「外部連携受付+旧名称関連情報。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「今回の条件。」


「別。」


「何?」


透が読む。


「旧照会先と現行照会先の差異検出。」


女は止まった。


「いつ追加された?」


「八か月前。」


「兄の日より。」


「八か月前。」


「理由は?」


「旧記録参照時の経路不一致確認。」


女は画面を見た。


「つまり。」


「うん。」


「兄の日に初めて作られた条件じゃない。」


「そう。」


「以前から。」


「そう。」


「旧記録と現行経路が違う場合を。」


「そう。」


「検出する仕組みがあった。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「兄の日に。」


「その条件に該当した。」


「そう。」


女は頷いた。


「だから。」


「うん。」


「特別なのは。」


「うん。」


「兄自身ではなく。」


「そう。」


「旧経路と現行経路の差。」


「そう。」


「その差が。」


「うん。」


「兄の日の入力と一緒に現れた。」


「そう。」


女は少し黙った。


「でも。」


「うん。」


「それなら。」


「うん。」


「なぜ。」


「何が?」


「八か月前からある条件なのに。」


「うん。」


「兄の日の記録だけ。」


「そう。」


「本人識別情報の補完まで進んだ?」


透は検索した。


「同じ条件。」


「うん。」


「該当例。」


「何件?」


「十八件。」


「多い。」


「そう。」


「そのうち。」


「手動確認資料が作られたもの。」


「四件。」


「本人識別情報が補完されたもの。」


「二件。」


女は身を乗り出した。


「兄の日は?」


「その二件の一つ。」


「もう一件は?」


「二か月前。」


「同じ経路差異?」


「そう。」


「同じ業務区分?」


「違う。」


「何?」


「外部照会対応。」


「所在関連情報ではない。」


「そう。」


「Q―1は?」


「参照あり。」


「目的は?」


「記録整合性確認。」


「同じ。」


「そう。」


女は考えた。


「じゃあ。」


「うん。」


「兄の日だけ特別ではない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「所在関連情報として。」


「うん。」


「この条件に該当して。」


「そう。」


「本人識別情報まで補完された例は。」


透が検索する。


「初めて。」


女は黙った。


「それは。」


「うん。」


「少し違う。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「初めてだから兄だ。」


「そうは言えない。」


「分かってる。」


女は頷いた。


「制度が変わった後の。」


「うん。」


「最初の組み合わせかもしれない。」


「そう。」


「たまたま。」


「可能性はある。」


「あるいは。」


「うん。」


「この業務区分でだけ。」


「うん。」


「別の確認条件が発動した。」


「可能性はある。」


女は画面を見た。


「じゃあ。」


「うん。」


「まだ。」


「うん。」


「一つ足りない。」


「何が?」


「補完された本人識別情報が。」


「うん。」


「何と整合しているのか。」


透は記録を開いた。


「整合性確認対象。」


「うん。」


「入力記録。」


「うん。」


「依頼者情報。」


「うん。」


「旧記録。」


「うん。」


「照会先経路。」


「そう。」


「それから。」


透が止まった。


「個人識別情報。」


女は顔を上げた。


「個人識別情報同士?」


「そう。」


「どことどこ?」


透が詳細を開く。


「補完情報。」


「うん。」


「分離後個人識別情報。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「別管理資料。」


女は眉を寄せた。


「別管理資料?」


「記録外情報から補完された情報と。」


「うん。」


「既存の分離後個人識別情報を。」


「そう。」


「状態比較した。」


「結果は?」


透が読む。


「一致。」


女の手が止まった。


「一致。」


「そう。」


「今度は。」


「うん。」


「本人一致?」


「違う。」


「じゃあ何?」


透が一行を読み上げた。


「情報状態一致。」


女は画面を見た。


「情報状態。」


「そう。」


「値そのものじゃない。」


「そう。」


「存在状態。」


「そう。」


「管理区分。」


「そう。」


「受領状態。」


「そう。」


女は息を吐いた。


「また。」


「うん。」


「一致。」


「そう。」


「人じゃない。」


「そう。」


「情報の状態。」


「そう。」


女はしばらく黙っていた。


「でも。」


「うん。」


「補完情報と。」


「うん。」


「既存の個人識別情報の状態が一致した。」


「そう。」


「それなら。」


「うん。」


「少なくとも。」


「そう。」


「どこかに。」


「うん。」


「対応する個人識別情報が存在していた。」


透は答えなかった。


女は自分で訂正した。


「いや。」


「うん。」


「存在していることしか。」


「そう。」


「分からない。」


「そう。」


「その情報が。」


「うん。」


「兄のものかは。」


「分からない。」


「そう。」


「でも。」


女は画面を見た。


「ここまで来ると。」


「うん。」


「『記録外情報』という言葉が。」


「そう。」


「少し気になる。」


「うん。」


「記録外なのに。」


「そう。」


「既存の個人識別情報と。」


「うん。」


「状態が一致した。」


「そう。」


女は考え込んだ。


「記録外情報。」


「うん。」


「でも。」


「うん。」


「完全に未知の情報ではない。」


「そう。」


「何らかの管理ルールに従って。」


「そう。」


「補完された。」


「そう。」


「だったら。」


女は画面を指した。


「記録外情報が。」


「うん。」


「どこから来たのかではなく。」


「うん。」


「なぜ記録外と分類されたのか。」


透は画面を見た。


その下には、まだ開かれていない項目があった。


「記録外区分定義。」


女はそれを見た。


「そこ。」


「うん。」


「これを開こう。」


透が操作した。


画面に最初の定義が表示された。


「記録外情報――既存業務記録の入力項目として保存されていないが、処理上参照された情報。」


女は静かに読んだ。


「保存されていない。」


「うん。」


「でも。」


「うん。」


「参照された。」


「そう。」


女は画面を見た。


「じゃあ。」


「うん。」


「記録外って。」


「うん。」


「存在しないという意味じゃない。」


「そう。」


「ただ。」


「うん。」


「その業務記録には。」


「うん。」


「保存されていない。」


「そう。」


女は頷いた。


「なら。」


「うん。」


「兄の日に補完された情報も。」


「そう。」


「別の場所には。」


「存在していた可能性がある。」


「そう。」


「次に見るのは。」


透が聞いた。


女は答えた。


「記録外情報の参照元。」


「でも。」


「うん。」


「それは本体が見えない。」


「そう。」


「なら。」


「うん。」


「参照履歴を見る。」


透が画面を切り替えた。


一件だけ表示された。


「参照日時――兄の日、十四時三十八分。」


女が目を細めた。


「補完資料が作られる五分前。」


「そう。」


「参照元区分。」


透が読んだ。


「旧管理系統。」


女は黙った。


「旧管理系統?」


「そう。」


「どの記録?」


透が続きを開く。


「照会連絡記録。」


女は画面から目を離さなかった。


「第三の記録。」


「そう。」


「そこから。」


「うん。」


「記録外情報が参照された。」


「そう。」


女は小さく息を吐いた。


「やっと。」


「うん。」


「第三の記録が。」


「うん。」


「人ではなく。」


「うん。」


「経路でもなく。」


「うん。」


「補完情報の参照元として出てきた。」


透は頷いた。


女は画面を見つめた。


「でも。」


「うん。」


「ここでも。」


「そう。」


「第三の記録に何が書いてあったのかは。」


「分からない。」


「そう。」


「だから。」


「うん。」


「次は。」


彼女は画面の一番下を指した。


「第三の記録の。」


「うん。」


「十四時三十八分の参照履歴。」


「そう。」


「そこに。」


女は言った。


「何を見たのかを確認する。」


画面には、


「参照項目――連絡内容」


と表示されていた。


そして、その右側には、


「内容――権限制限」


とだけ記されていた。

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