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嘘の向こう側  作者: 亀


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第一百五十二章 照会先経路

「確認対象――照会先経路。」


女は、その文字を見た。


透は画面を拡大した。


「照会先経路。」


「うん。」


「場所じゃない。」


「そう。」


「誰かでもない。」


「そう。」


「どこから、どこへ情報を通すか。」


「その経路。」


女は頷いた。


「兄の日の午前十時三十六分。」


「うん。」


「第三の記録を参照した。」


「そう。」


「目的は旧名称関連情報の対応確認。」


「うん。」


「確認対象は照会先経路。」


「そう。」


女は記録の続きを開いた。


「旧経路――照会連絡。」


「うん。」


「現行経路――第七管理系統。」


「そう。」


「対応関係――登録あり。」


女は画面を見た。


「第三の記録は。」


「うん。」


「第七管理系統につながっている。」


「そう。」


「それはもう分かっていた。」


「うん。」


「でも。」


「そう。」


「この日の確認は。」


「うん。」


「単なる存在確認ではない。」


「そう。」


女は次の項目を読んだ。


「確認内容――現行経路使用可否。」


「使用可。」


「そう。」


「だから。」


「うん。」


「その後。」


「外部入力。」


「そう。」


女は時刻を見た。


「三十八分後。」


「うん。」


「現行経路が使用可能だと確認された後。」


「そう。」


「外部入力が始まった。」


「うん。」


女は黙った。


「これなら。」


「うん。」


「つながっているように見える。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「この確認が。」


「兄の入力のためだったとは書いてない。」


「そう。」


女はノートを開いた。


「確認されたのは。」


「経路。」


「うん。」


「入力されたのは。」


「所在関連情報。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「名前は。」


「業務名称。」


「そう。」


女は書いた。


「経路確認。」


「入力。」


「名称。」


「業務区分。」


「全部、別。」


透は頷いた。


「一つの案件として結びつける記録はない。」


「そう。」


女は少し考えた。


「じゃあ。」


「うん。」


「第三の記録が兄の日に参照されたこと自体は。」


「事実。」


「でも。」


「うん。」


「それが兄のためだったかは。」


「分からない。」


「そう。」


女は画面を見た。


「この『照会先経路』。」


「うん。」


「他の日にも使われている?」


透は検索した。


「かなり多い。」


「どのくらい?」


「三年間で四十件以上。」


女は眉を上げた。


「じゃあ。」


「うん。」


「兄の日だけ特別な処理ではない。」


「そう。」


「ただ。」


「うん。」


「旧名称関連情報と一緒に使われた例は?」


透が検索条件を追加した。


「九件。」


「そのうち。」


「うん。」


「業務名称。」


「七件。」


「所在関連情報。」


「二件。」


女は画面を見る。


「兄の日は?」


「その二件のうち一件。」


「もう一件は?」


「兄の日の三か月前。」


女はその記録を開いた。


「入力経路――連携システム。」


「うん。」


「外部連携――あり。」


「そう。」


「旧名称関連情報。」


「そう。」


「業務区分――所在関連情報。」


女が止まった。


「条件が似ている。」


「そう。」


「本人一致確認は?」


「未実施。」


「Q―1は?」


「参照なし。」


女は画面を見た。


「同じような入力なのに。」


「うん。」


「三か月前はQ―1に行かない。」


「そう。」


「兄の日だけ。」


「Q―1に行った。」


「そう。」


女は考えた。


「違いは?」


透が比較する。


「入力経路。」


「連携システムと。」


「業務窓口。」


「うん。」


「名称使用区分。」


「三か月前――旧業務名称。」


「兄の日――業務名称。」


「うん。」


「外部依頼者情報。」


「三か月前――記録なし。」


「兄の日――あり。」


「そう。」


女は頷いた。


「だから。」


「うん。」


「兄の日は。」


「うん。」


「名前が業務名称として扱われ。」


「そう。」


「所在関連情報として受け取られ。」


「うん。」


「業務窓口から入り。」


「そう。」


「外部依頼者情報も存在した。」


「そう。」


「その組み合わせが。」


「Q―1再参照条件を満たした。」


「そう。」


女は静かに言った。


「兄の日だけに起きた何か。」


「うん。」


「というより。」


「そう。」


「条件が全部揃った。」


「そう。」


「だから発動した。」


「その可能性が高い。」


女は頷いた。


「じゃあ。」


「うん。」


「ここまで来ても。」


「うん。」


「兄の日が特別だった理由は。」


「条件の組み合わせ。」


「そう。」


「兄自身ではない。」


「そう。」


女はしばらく画面を見ていた。


「でも。」


「うん。」


「それでも。」


「うん。」


「第三の記録を午前十時三十六分に参照したことは残る。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「三十八分後。」


「外部入力。」


「そう。」


女は時刻を並べた。


「十時三十六分。」


「うん。」


「十一時十四分。」


「そう。」


「この二つ。」


「うん。」


「何をつないでいる?」


透は記録を追った。


「参照結果。」


「何だった?」


「現行経路使用可。」


「それだけ?」


「その後に通知がある。」


「どこへ?」


「C―12。」


女が画面を見る。


「通知内容。」


透が読む。


「旧名称関連情報――現行経路使用可。」


「通知理由。」


「照会先経路確認完了。」


女は黙った。


「つまり。」


「うん。」


「第三の記録を参照した結果。」


「そう。」


「C―12に。」


「うん。」


「現行経路が使えると通知された。」


「そう。」


「その後。」


「外部入力。」


「そう。」


女は少し考えた。


「それなら。」


「うん。」


「少なくとも業務の順序としては。」


「そう。」


「経路確認。」


「うん。」


「通知。」


「うん。」


「外部入力。」


「そう。」


「この順番。」


「そう。」


女はノートに書いた。


「順序は確認できる。」


「うん。」


「因果は未確認。」


「そう。」


「誰のためかも。」


「分からない。」


「そう。」


女は頷いた。


「ここも。」


「うん。」


「混ぜない。」


透は画面を見た。


その下に、通知後の処理があった。


「通知受信――C―12。」


「受信時刻――十時四十三分。」


「外部入力開始――十一時十四分。」


女は止まった。


「通知から。」


「三十一分。」


「うん。」


「何をしていた?」


透が詳細を開いた。


「受付条件確認。」


「その後。」


「旧名称検索。」


「うん。」


「業務区分確認。」


「そう。」


「所在関連情報――受付可能。」


女は画面を見た。


「外部入力の準備。」


「そう。」


「じゃあ。」


「うん。」


「第三の記録を参照したことは。」


「うん。」


「外部入力の準備に使われた。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「誰を照会するための準備だったかは。」


「分からない。」


女は頷いた。


「また。」


「うん。」


「業務は見える。」


「そう。」


「人は見えない。」


「そう。」


女は少し笑った。


「これだけ繰り返しても。」


「うん。」


「人を探そうとすると。」


「そう。」


「また名前を見たくなる。」


透は黙っていた。


「でも。」


女は画面を指した。


「名前は。」


「うん。」


「この中で。」


「業務名称。」


「そう。」


「人の名前ではない。」


「そう。」


女はノートを閉じた。


「じゃあ。」


「うん。」


「第三の記録から。」


「そう。」


「人に戻る道はない。」


「少なくとも、この記録だけでは。」


「そう。」


女は立ち上がらなかった。


「それなら。」


「うん。」


「兄の行動を探すには。」


「そう。」


「別の線が必要。」


「うん。」


「記録の線ではなく。」


「そう。」


「本人が残した線。」


透は少し考えた。


「メッセージ?」


「うん。」


「写真?」


「そう。」


「時間。」


「うん。」


「場所。」


「そう。」


女は自分のスマートフォンを取り出した。


「兄が送ったメッセージ。」


「うん。」


「もう一度見る。」


彼女は画面を開いた。


そこには、以前から残していた短い文が並んでいた。


『北側には行くな』


『まだ戻れない』


『まだ帰らない』


『あの場所だけは信じるな』


女は最後の文を見た。


「この『場所』。」


「うん。」


「兄は。」


「そう。」


「業務経路の意味で使っていたのか。」


透は答えなかった。


女もすぐに続けた。


「分からない。」


「うん。」


「でも。」


彼女は画面を見た。


「今なら。」


「うん。」


「この言葉を。」


「うん。」


「物理的な場所だけだと思わなくなった。」


透は頷いた。


「ただ。」


女は続けた。


「それも。」


「うん。」


「私たちの解釈。」


「そう。」


「兄が何を意味していたかは。」


「まだ分からない。」


「そう。」


二人はしばらく黙っていた。


女はメッセージを閉じた。


「だから。」


「うん。」


「記録と。」


「うん。」


「兄の言葉。」


「そう。」


「両方を見る。」


「うん。」


「でも。」


「そう。」


「片方で片方を決めない。」


透は頷いた。


女は再び画面に戻った。


第三の記録。


照会先経路。


通知。


外部入力。


その順番をもう一度確認する。


すると、最後に一つだけ未確認の項目が残っていた。


「外部入力開始前――照会先経路最終確認。」


女はその文字を見た。


「最終確認。」


「うん。」


「十時五十九分。」


「そう。」


「外部入力の十五分前。」


「そう。」


「誰が?」


透が開いた。


「確認者区分――登録あり。」


「所属――C―12。」


「権限――M―2。」


女は息を止めた。


「また。」


「うん。」


「C―12。」


「そう。」


「M―2。」


「うん。」


「でも。」


「そう。」


「氏名は。」


「権限制限。」


女は画面を見た。


そして、その下に表示された確認内容を読んだ。


「確認対象――照会先経路。」


「確認結果――変更なし。」


「旧名称関連情報――使用可能。」


「業務区分――所在関連情報。」


「入力経路――業務窓口。」


女はそこで止まった。


「変更なし。」


「うん。」


「つまり。」


「そう。」


「三十八分前に確認した経路と。」


「うん。」


「外部入力直前の経路が。」


「そう。」


「同じだった。」


「うん。」


女は時刻を並べた。


「十時三十六分。」


「第三の記録参照。」


「十時四十三分。」


「C―12へ通知。」


「十時五十九分。」


「最終確認。」


「十一時十四分。」


「外部入力。」


女は四つの時刻を見た。


「ここまでなら。」


「うん。」


「一本の業務手順としてつながっている。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「それでも。」


彼女は画面の最後の一行を見た。


「依頼者情報との関連――確認対象外。」


透は黙った。


女は小さく息を吐いた。


「結局。」


「うん。」


「ここまで順番がつながっても。」


「そう。」


「誰が依頼したのかは。」


「分からない。」


「そう。」


女は画面を閉じた。


「でも。」


「うん。」


「一つだけ。」


透を見る。


「兄の日の午前中。」


「うん。」


「旧名称に関する業務経路が。」


「そう。」


「三度確認されている。」


「うん。」


「その後。」


「外部入力。」


「そう。」


女は静かに言った。


「次は。」


「うん。」


「その外部入力の中身を見る。」


透は首を振った。


「詳細は制限されている。」


女は少し考えた。


「なら。」


「うん。」


「中身そのものじゃなくていい。」


「何を見る?」


「外部入力が。」


彼女は画面を指した。


「どの項目を受け取って。」


「うん。」


「どの項目を捨てて。」


「うん。」


「どの項目を。」


「うん。」


「後の処理に渡したのか。」


透は画面を見た。


その下には、


「外部入力項目別受信履歴」


という記録が残っていた。


女は言った。


「人の名前を見るんじゃない。」


「うん。」


「何が入ってきたのかを見る。」


画面には、まだ開かれていない項目が一つだけ表示されていた。

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