↓ ↑ページトップへ
表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
嘘の向こう側  作者: 亀


この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

148/590

第一百四十八章 前日

「前日。」


女は、その言葉を繰り返した。


透は画面を見ていた。


「確認理由――旧識別子対応関係の再確認。」


「うん。」


「所属――C―12。」


「そう。」


「権限――M―2。」


「うん。」


「氏名――権限制限。」


「そう。」


女はしばらく何も言わなかった。


「三年前の対応表。」


「うん。」


「そのときの確認では。」


「うん。」


「外部連携方式は決まっていた。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「兄の日の前日に。」


「そう。」


「もう一度確認されている。」


「うん。」


女は画面を拡大した。


「変更?」


「まだ分からない。」


「確認だけ?」


「記録上は。」


透は該当項目を読む。


「変更前――旧連携方式。」


「変更後――現行連携方式。」


女が顔を上げた。


「変わっている。」


「うん。」


「じゃあ。」


「うん。」


「前日の確認は、単なる確認じゃない。」


「そう。」


「変更があった。」


「うん。」


女は続きを見た。


「変更理由――外部入力方式との整合性確保。」


「外部入力方式。」


「うん。」


「兄の日に使われた入力経路?」


「記録上は。」


透は別の欄を開いた。


「業務窓口。」


女は黙った。


「前日。」


「うん。」


「外部連携方式を変更。」


「そう。」


「翌日。」


「うん。」


「外部入力。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「その入力は業務窓口。」


女は画面を見つめた。


「ここだけ見ると。」


「うん。」


「つながっているように見える。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「まだ。」


「確定できない。」


「そう。」


女はノートに書いた。


「前日変更。」


「当日入力。」


「同じ経路。」


そして、その横に、


「因果関係――未確認。」


と書いた。


「これが必要。」


透は頷いた。


女は変更記録の詳細を開いた。


「変更前。」


「旧外部連携方式。」


「変更後。」


「現行外部連携方式。」


「違いは?」


透が読む。


「旧方式――連携情報の一部を業務名称として受信。」


「うん。」


「現行方式――連携情報を業務名称と業務区分に分離して受信。」


女は止まった。


「分離。」


「そう。」


「また。」


「うん。」


「ここでも分離。」


「そう。」


女は画面を見た。


「つまり。」


「うん。」


「前日までは。」


「うん。」


「名前と業務区分が。」


「そう。」


「一つの情報として入っていた。」


「うん。」


「翌日から。」


「うん。」


「別々に入る。」


「そう。」


女は考えた。


「兄の日。」


「うん。」


「業務区分――所在関連情報。」


「そう。」


「名称使用区分――業務名称。」


「うん。」


「入力経路――業務窓口。」


「そう。」


「この三つが。」


「うん。」


「別々に記録されている。」


「そう。」


女は画面を見つめた。


「だから。」


「うん。」


「兄の日の記録は。」


「そう。」


「前日までとは違う形式だった。」


「うん。」


「その初日だった可能性がある。」


透は確認した。


「現行方式の初回使用。」


女が顔を上げた。


「兄の日?」


「そう。」


「初回?」


「記録上は。」


女はしばらく黙った。


「じゃあ。」


「うん。」


「兄の日は。」


「そう。」


「外部連携方式が変わった翌日の。」


「うん。」


「現行方式の初回使用日。」


「そう。」


女は椅子に深く座った。


「これは。」


「うん。」


「さっきまでとは違う。」


透は彼女を見る。


「どう違う?」


「今までは。」


彼女はゆっくり言った。


「兄の日に、いろいろな記録が偶然重なった可能性を見ていた。」


「うん。」


「でも。」


「うん。」


「前日に方式変更があって。」


「そう。」


「翌日に初回使用がある。」


「うん。」


「しかも。」


「うん。」


「その初回使用が。」


「所在関連情報。」


「そう。」


女は画面を見た。


「だから。」


「うん。」


「少なくとも。」


彼女は言葉を選んだ。


「兄の日の処理は、システム上の切り替え日と重なっている。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「それだけ。」


「そう。」


「兄がその切り替えの対象だったとは。」


「分からない。」


女は頷いた。


「そう。」


彼女はさらに変更履歴を見た。


「変更対象。」


透が読む。


「外部連携情報。」


「うん。」


「業務名称。」


「うん。」


「業務区分。」


「そう。」


「個人識別情報――対象外。」


女は画面を見た。


「また。」


「うん。」


「個人情報は対象外。」


「そう。」


「つまり。」


「うん。」


「この変更自体も。」


「そう。」


「人を特定するための変更じゃない。」


「そう。」


女は黙った。


「じゃあ。」


「うん。」


「兄の日に起きたことを。」


「うん。」


「兄のための仕組みだと考える理由は。」


「まだない。」


「そう。」


「ただ。」


「うん。」


「兄の日に。」


「うん。」


「新しい仕組みが初めて使われた。」


「そう。」


女はノートに書いた。


「新方式初回使用。」


「兄の日。」


そして、その下に、


「本人との関係――不明。」


と書いた。


「この三つ。」


「うん。」


「絶対に分ける。」


透は頷いた。


女は次の項目を開いた。


「現行方式初回使用記録。」


そこには、兄の日の外部入力が表示されていた。


「入力区分――外部照会。」


「入力経路――業務窓口。」


「名称使用区分――業務名称。」


「業務区分――所在関連情報。」


「本人一致確認――未実施。」


女は静かに読んだ。


「前日まで。」


「うん。」


「名前と業務区分が一つだった。」


「そう。」


「当日から。」


「うん。」


「分離された。」


「そう。」


「だから。」


彼女は言った。


「兄の日の記録が複雑なのは。」


「うん。」


「何かを隠しているからとは限らない。」


「そう。」


「記録方式が変わった最初の日だから。」


「そう。」


女は画面を見た。


「じゃあ。」


「うん。」


「兄の日に残っている『本人に関する情報』も。」


「そう。」


「新しい方式で分類された結果。」


「そう。」


「本人から直接受け取ったとは限らない。」


「うん。」


「ここも。」


「そう。」


女は小さく頷いた。


「全部。」


「うん。」


「記録方式の変化で説明できる。」


「可能性はある。」


「でも。」


「うん。」


「それでも一つ。」


「何?」


「前日。」


彼女は画面を指した。


「なぜ前日に変更したのか。」


透は変更理由をもう一度確認した。


「外部入力方式との整合性確保。」


「抽象的。」


「うん。」


「誰かが決めた。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「設定者は?」


「M―2管理権限。」


「氏名?」


「権限制限。」


「一人?」


「二人。」


「また二人。」


「そう。」


「継続者と。」


「うん。」


「新規付与者。」


「そう。」


女は二人の履歴を確認した。


「共同設定?」


「記録上は。」


透が読む。


「設定確認――共同。」


女は止まった。


「共同。」


「うん。」


「三年前と同じ。」


「そう。」


「一人が決めたわけじゃない。」


「そう。」


「二人で。」


「設定内容を確認した。」


「うん。」


女は続けた。


「設定内容。」


「旧方式――終了。」


「うん。」


「現行方式――開始。」


「そう。」


「名称と業務区分を分離。」


「うん。」


「個人識別情報――変換対象外。」


「そう。」


女は画面を見た。


「つまり。」


「うん。」


「前日の変更は。」


「うん。」


「三年前から続いていた分離方針の延長。」


「そう。」


「突然のものではない。」


「そう。」


女は頷いた。


「だから。」


「うん。」


「兄の日を中心に見すぎると。」


「うん。」


「前後の大きな流れを見落とす。」


「そう。」


「システムは。」


「うん。」


「兄の日だけ動いたわけではない。」


「そう。」


女はノートのページをめくった。


「三年前。」


「うん。」


「外部連携障害。」


「そう。」


「その後。」


「うん。」


「個人情報と業務情報を分離。」


「そう。」


「旧識別子と現行識別子を別管理。」


「うん。」


「そして。」


「うん。」


「兄の日の前日。」


「外部連携方式を変更。」


「そう。」


「兄の日。」


「新方式初回使用。」


「そう。」


女はその流れを見つめた。


「これなら。」


「うん。」


「兄の日の記録が。」


「うん。」


「たくさんの古い記録を参照していた理由も分かる。」


「どうして?」


「新しい方式で。」


「うん。」


「古い情報を使わなければならなかったから。」


透は頷いた。


「その可能性がある。」


「だから。」


「うん。」


「R―3。」


「うん。」


「P―4。」


「そう。」


「Q―1。」


「うん。」


「N―08。」


「そう。」


「全部。」


「旧方式との互換性を維持するためにつながっている。」


「そう。」


女は静かに言った。


「つまり。」


「うん。」


「兄の日に見えていた複雑な線は。」


「うん。」


「兄を追う線ではなく。」


「そう。」


「古いシステムと新しいシステムをつなぐ線だった可能性がある。」


透は答えた。


「そうかもしれない。」


女は頷いた。


「でも。」


「うん。」


「だからといって。」


「うん。」


「兄と無関係とは言えない。」


「そう。」


「兄がその業務に関係していた可能性も。」


「うん。」


「まだ消えていない。」


「そう。」


女は画面を見た。


「だから。」


「うん。」


「ここから先は。」


「うん。」


「システムの歴史だけでは足りない。」


透は彼女を見る。


「何が必要?」


「兄の日に。」


「うん。」


「この新方式を。」


「うん。」


「実際に誰が使ったのか。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「その入力が。」


「うん。」


「どこから来たのか。」


「そう。」


女は最後の項目を開いた。


そこには、


「新方式初回使用――入力元詳細」


と表示されていた。


その下には、


「入力元区分――外部」


「入力担当――記録対象外」


「依頼者情報――別管理」


と続いていた。


そして最後に、


「初回使用確認者――登録あり」


とあった。


女はそこで止まった。


「確認者。」


「うん。」


「これは。」


透が詳細を開いた。


「所属――C―12。」


「権限――M―2。」


「氏名――権限制限。」


女は画面を見た。


「前日の方式変更を確認した人と。」


「うん。」


「同じ権限区分。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「同じ人とは限らない。」


「そう。」


女は頷いた。


「ここまで来ても。」


「うん。」


「名前は出てこない。」


「そう。」


「でも。」


彼女は画面の時刻を見た。


「確認時刻は。」


透が読む。


「兄の日、午前九時十二分。」


女は時計を見るように画面を見つめた。


「兄が南区に入る。」


「うん。」


「その前。」


「そう。」


「新方式の初回使用を。」


「うん。」


「誰かが確認している。」


「そう。」


女は静かに言った。


「じゃあ。」


「うん。」


「次は。」


画面の下に、まだ開かれていない項目があった。


「初回使用確認――詳細。」


その横には、


「確認対象――入力元条件」


と表示されていた。


女はその項目を指した。


「ここを見る。」


透はクリックした。


画面が切り替わった。


そこに表示された最初の一行は、


「入力元条件――前日設定との一致」


だった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。