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嘘の向こう側  作者: 亀


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第一百四十四章 別管理

「個人識別情報保管区分――X―4関連管理。」


女は画面を見つめた。


「依頼者情報。」


「うん。」


「ここにある。」


「そう。」


「でも。」


「名前は見えない。」


「権限制限。」


「うん。」


女は少し考えた。


「X―4は外部連携履歴を見るための管理だった。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「個人識別情報も置かれている。」


「正確には。」


透が記録を確認する。


「X―4そのものに全部保存されているわけではない。」


「どういうこと?」


「X―4関連管理。」


「関連管理。」


「別の保管区分がある。」


女は画面を見た。


「また分かれている。」


「うん。」


「外部連携履歴。」


「うん。」


「依頼者情報。」


「そう。」


「それぞれ別。」


「そう。」


女はノートを開いた。


「じゃあ。」


「うん。」


「X―4は、一つの箱じゃない。」


「そう。」


「複数の情報をつなぐための管理経路。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「中身は分離されている。」


「うん。」


女は頷いた。


「それなら。」


「うん。」


「さっきのR―3―044とQ―1―117も。」


「そう。」


「X―4を通して関係が確認された。」


「うん。」


「でも。」


「うん。」


「二つの記録を直接つなげたわけではない。」


「そう。」


「関連情報を参照しただけ。」


「うん。」


女は画面をスクロールした。


「参照履歴――一件。」


「兄の日から四時間後。」


「そう。」


「対象――依頼者情報。」


「うん。」


「目的――外部連携履歴の整合性確認。」


「そう。」


「確認結果。」


透が開く。


「依頼者区分――外部。」


「うん。」


「入力経路――業務窓口。」


「うん。」


「本人一致――未実施。」


女は黙った。


「また。」


「そう。」


「ここでも。」


「うん。」


「本人一致はしていない。」


「そう。」


「でも。」


彼女は続けた。


「依頼者区分と入力経路は確認している。」


「そう。」


「だから。」


「うん。」


「この参照で分かったのは。」


女は指を折った。


「誰か。」


「ではない。」


「うん。」


「どこから来たか。」


「そう。」


「どの経路だったか。」


「うん。」


「どの分類だったか。」


「そう。」


「そこまで。」


「そう。」


女は画面を見た。


「依頼者情報なのに。」


「うん。」


「依頼者本人は確認しない。」


「そう。」


「名前があっても。」


「うん。」


「本人だとは確認しない。」


「そう。」


女は小さく息を吐いた。


「この仕組み。」


「うん。」


「人を探すためには。」


「うん。」


「かなり遠回り。」


透は答えた。


「そもそも、人を探すために作られた仕組みではない。」


女はその言葉を聞いて黙った。


「業務処理を続けるための仕組み。」


「うん。」


「個人情報を分離するための仕組み。」


「そう。」


「外部連携を管理するための仕組み。」


「うん。」


「だから。」


透は続けた。


「人を特定することが目的ではない。」


「そう。」


女は頷いた。


「だから兄を探す側から見ると。」


「うん。」


「必要なところだけ見えない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「それは兄を隠すためとは限らない。」


「そう。」


「最初から。」


「うん。」


「人を一つの記録にまとめないようにしている。」


「そう。」


女はノートに書いた。


「人を分けているのではなく。」


少し考えてから、


「情報を分けている。」


と書き直した。


「こっち。」


透は頷いた。


「その方が近い。」


女はX―4関連管理の詳細を開いた。


「保管開始。」


透が読む。


「三年前。」


「三年前。」


「そう。」


「兄の日より前。」


「うん。」


「依頼者情報の保存方式変更。」


「そう。」


「業務記録から分離。」


「うん。」


女は過去の記録を確認した。


「変更前。」


「依頼者情報――一部保存。」


「変更後。」


「別管理。」


「そう。」


「その変更は。」


「三年前。」


「兄の日とは無関係。」


「そう。」


女は頷いた。


「だから。」


「うん。」


「兄の日のために個人情報を隠したわけではない。」


「そう。」


「もともとそういう管理方法だった。」


「うん。」


「それなら。」


彼女はX―4の参照履歴を追った。


「三年前から。」


「うん。」


「依頼者情報の参照がある。」


「そう。」


「四件。」


「うん。」


「五件目。」


透が検索する。


「兄の日。」


「その後。」


「二件。」


女は一覧を見る。


「合計七件。」


「うん。」


「兄の日だけ特別じゃない。」


「そう。」


「でも。」


彼女は一覧の処理目的を見る。


「目的が違う。」


「どう違う?」


一件目。


「依頼者情報確認。」


二件目。


「外部連携経路確認。」


三件目。


「照会先確認。」


四件目。


「入力内容整合性確認。」


五件目。


兄の日。


「外部連携履歴の整合性確認。」


六件目。


「外部連携履歴確認。」


七件目。


「条件変更後の分類確認。」


女は黙った。


「兄の日の参照だけ。」


「うん。」


「Q―1への通知につながっている。」


「そう。」


「他は?」


「ない。」


「つまり。」


女は考えた。


「依頼者情報を見たこと自体は珍しくない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「依頼者情報を見た後にQ―1へ送ったのは。」


透が履歴を確認する。


「兄の日を含めて二件。」


「二件。」


「もう一件は?」


「兄の日から二日後。」


女が顔を上げた。


「条件変更の日。」


「そう。」


「何のため?」


透が開く。


「変更前後の関連性判定比較。」


女は黙った。


「つまり。」


「うん。」


「兄の日の参照結果を。」


「うん。」


「条件変更の日にもう一度使っている。」


「そう。」


「そして。」


「うん。」


「新しい条件に照らしている。」


「そう。」


女は画面を見つめた。


「じゃあ。」


「うん。」


「兄の日の依頼者情報は。」


「うん。」


「二日後の条件変更にも関係している。」


「記録上は、比較対象になっている。」


「でも。」


「うん。」


「変更の原因とは書かれていない。」


「そう。」


女は頷いた。


「やっぱり。」


「うん。」


「時間が近い。」


「そう。」


「処理もつながっている。」


「うん。」


「でも。」


「うん。」


「原因は書かれていない。」


「そう。」


女はしばらく黙っていた。


そして、別の項目を開いた。


「条件変更比較対象――二件。」


「兄の日の記録?」


「一件は兄の日。」


「もう一件は?」


透が見る。


「兄の日の三週間前。」


女は画面を見た。


「同じ条件だった?」


「ほぼ。」


「依頼者情報。」


「あり。」


「外部連携。」


「あり。」


「名称使用区分。」


「業務名称。」


「本人一致。」


「未実施。」


「じゃあ。」


「兄の日だけではない。」


「そう。」


女は少し考えた。


「でも。」


「うん。」


「三週間前の記録には。」


「Q―1通知――なし。」


「兄の日は?」


「あり。」


「違いは?」


透が比較する。


「外部入力の業務区分。」


「三週間前――外部照会対応。」


「兄の日――所在関連情報。」


女は画面を見た。


「業務区分。」


「そう。」


「名前は同じ。」


「うん。」


「外部連携もある。」


「うん。」


「依頼者情報もある。」


「そう。」


「でも。」


「業務区分が違う。」


「そう。」


女は静かに言った。


「それでQ―1に送られた。」


「可能性が高い。」


「つまり。」


彼女は画面を指した。


「兄の日に特徴的だったのは。」


「うん。」


「名前ではない。」


「そう。」


「依頼者でもない。」


「うん。」


「外部連携でもない。」


「そう。」


「業務区分。」


「うん。」


「所在関連情報。」


「そう。」


女はその言葉を見つめた。


「所在。」


「うん。」


「ここ。」


「そう。」


「最初から。」


透は画面を見た。


「所在関連情報。」


「うん。」


「兄の日に。」


「そう。」


「外部から入って。」


「うん。」


「第七管理系統を通って。」


「そう。」


「R―3を参照して。」


「うん。」


「Q―1へ送られた。」


「そう。」


女は息を吐いた。


「じゃあ。」


「うん。」


「兄の日の処理で、本当に重要なのは。」


彼女は言葉を選んだ。


「誰の情報だったかではなく。」


「うん。」


「なぜ『所在関連情報』として処理されたのか。」


透は黙った。


女は画面を閉じた。


「ここを見ないと。」


「うん。」


「兄とつながっているかどうかも。」


「そう。」


「分からない。」


二人は次の記録を開いた。


「所在関連情報――分類定義。」


その下に、


「旧処理区分――N―08。」


「現行処理――S―系統。」


そして最後に、


「分類根拠――入力内容。」


と表示された。


女はその一行を見た。


「入力内容。」


「うん。」


「ここだけ。」


「そう。」


「今まで見えなかった。」


透は画面を見つめた。


「次は。」


女が言った。


「入力内容そのものじゃない。」


「うん。」


「入力内容を、なぜ『所在』と分類したのか。」


画面には、さらに一つの記録があった。


「分類根拠詳細――参照先:旧処理記録。」


二人は顔を見合わせた。


今度の参照先は、


N―08。


だった。

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