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嘘の向こう側  作者: 亀


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第一百四十三章 比較結果

「比較結果――詳細。」


透は、その項目を開いた。


画面に二つの記録が並んだ。


左側。


「Q―1―117」


右側。


「R―3―044」


女は黙って見ていた。


「比較項目。」


透が読む。


「名称使用区分。」


「左――業務名称。」


「右――業務名称。」


女が頷いた。


「一致。」


「うん。」


「業務区分。」


「左――所在関連情報。」


「右――旧照会関連業務。」


女が止まった。


「違う。」


「そう。」


「ここ。」


「うん。」


「今まで見ていたのは、同じ名前と同じ経路。」


「そう。」


「でも、業務区分は違う。」


「うん。」


「だから。」


女は画面を指した。


「同じ情報を扱っているとは限らない。」


「そう。」


透は次の項目を開いた。


「入力経路。」


「左――外部連携。」


「右――業務窓口。」


女はまた止まった。


「これも違う。」


「うん。」


「つまり。」


「そう。」


「名称だけが一致している。」


「そう。」


女はしばらく画面を見た。


「それなのに、四日後に比較した。」


「うん。」


「なぜ?」


透は比較理由を開いた。


「確認目的――名称関連情報の継続性確認。」


女は眉を寄せた。


「継続性。」


「うん。」


「同じ案件かどうかではない。」


「そう。」


「名前の使われ方が続いているか。」


「そう。」


女はノートに書いた。


「名称の継続性。」


その下に、


「案件の同一性。」


さらに、


「本人の同一性。」


と書いた。


「三つ。」


透は頷いた。


「別。」


「そう。」


女は画面を見た。


「ここでも。」


「うん。」


「同じ名前だから、同じ人とはしていない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「同じ名前が別の業務で使われ続けているかは確認している。」


「そう。」


女は次の項目を開いた。


「旧名称使用履歴。」


「左――あり。」


「右――あり。」


「一致。」


「そう。」


「旧記録参照。」


「左――あり。」


「右――あり。」


「一致。」


女は少し驚いた。


「かなり一致している。」


「うん。」


「でも、業務区分と入力経路は違う。」


「そう。」


「だから。」


彼女は考えた。


「同じ名前が、別の処理経路で使われている。」


「その可能性が高い。」


「そして。」


「うん。」


「そのために四日後に比較した。」


「そう。」


女は画面を見つめた。


「じゃあ、比較結果は?」


透は下へスクロールした。


「名称関連――継続。」


「業務関連――別区分。」


「入力経路――別。」


「本人識別――対象外。」


女は息を吐いた。


「また。」


「うん。」


「本人識別対象外。」


「そう。」


「結局。」


「うん。」


「二つの記録は、同じ人としては扱われていない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「同じ名称の使用履歴としては、つながっている。」


「そう。」


女はしばらく黙っていた。


「これ。」


「うん。」


「かなり重要かもしれない。」


透は彼女を見る。


「どうして?」


「兄の日に出てきた名前が。」


「うん。」


「四日後にも確認されている。」


「そう。」


「でも。」


彼女は画面を指した。


「兄本人についてではない。」


「そう。」


「業務名称として。」


「うん。」


「継続して使われている。」


「そう。」


女は考え込んだ。


「つまり。」


「うん。」


「兄の日の処理が終わった後も。」


「うん。」


「その名前は残った。」


「そう。」


「人ではなく。」


「業務名称として。」


「そう。」


女は画面を見た。


「それなら。」


「うん。」


「兄の日に、その名前を使ったこと自体が。」


「うん。」


「兄と関係していたとは限らない。」


「そう。」


「むしろ。」


「うん。」


「兄とは無関係でも。」


「うん。」


「同じ名前を業務名称として使う処理は続く。」


「そう。」


女は少し黙った。


「だから。」


「うん。」


「名前を追うだけでは。」


「分からない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「兄が残した言葉。」


女は思い出すように言った。


「名前が同じなら、人も同じだと思うな。」


透は黙って聞いていた。


「名前が違っても、人が違うとは限らない。」


「うん。」


女は画面を見た。


「ここまで来て。」


「うん。」


「その言葉の意味が、少し変わった。」


透は彼女を見た。


「どう?」


「人の名前だけじゃない。」


「うん。」


「業務名称にも同じことが起きる。」


「そう。」


「名前が同じでも。」


「うん。」


「業務が同じとは限らない。」


「そう。」


「業務が同じでも。」


「うん。」


「担当者が同じとは限らない。」


「そう。」


「担当者が同じでも。」


「うん。」


「本人確認をしたとは限らない。」


透は頷いた。


「全部、別。」


女は画面を閉じた。


「だから。」


「うん。」


「兄の日の記録を探すなら。」


「名前では足りない。」


「そう。」


「業務も。」


「うん。」


「経路も。」


「そう。」


「時間も。」


「うん。」


「権限も。」


「そう。」


「全部一緒に見ないと。」


「うん。」


「同じかどうか判断できない。」


透は黙っていた。


女はもう一度、比較結果を開いた。


「でも。」


「うん。」


「この比較結果には、一つ変なところがある。」


「何?」


「参照目的。」


透が見る。


「名称関連情報の継続性確認。」


「うん。」


「なのに。」


女は指を止めた。


「比較対象に、個人識別情報が入っている。」


透が詳細を開いた。


「Q―1―117――個人識別情報あり。」


「R―3―044――個人識別情報なし。」


女が顔を上げた。


「片方だけ。」


「そう。」


「それなのに比較した。」


「うん。」


「本人一致はしない。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「存在状態は比較している。」


透は確認した。


「個人識別情報――存在状態比較。」


「結果?」


「差異あり。」


女は黙った。


「差異あり。」


「うん。」


「つまり。」


「うん。」


「片方には個人識別情報がある。」


「そう。」


「もう片方にはない。」


「そう。」


女は考えた。


「それで。」


「うん。」


「関連性が疑われた?」


「可能性はある。」


「でも。」


「うん。」


「それは本人が同じだからではなく。」


「そう。」


「記録の構造が違うから。」


「うん。」


女は画面を見つめた。


「そして。」


「うん。」


「その差異があるのに。」


「うん。」


「名称関連情報は継続している。」


「そう。」


「だから。」


彼女はゆっくり言った。


「同じ名前が。」


「うん。」


「個人情報を伴う記録と。」


「うん。」


「個人情報を伴わない記録の両方で使われている。」


透は頷いた。


「そう。」


女はしばらく黙っていた。


「これなら。」


「うん。」


「なぜ本人確認を避けていたのかも。」


「うん。」


「少し分かる。」


透は彼女を見る。


「どういう意味?」


「名前の使用履歴だけでは。」


「うん。」


「個人と業務を分けられない。」


「そう。」


「だから、個人情報がある記録とない記録を。」


「うん。」


「直接つなげない。」


「そう。」


「つなげてしまえば。」


「うん。」


「業務名称が、人の名前として扱われる可能性がある。」


「そう。」


女はノートに書いた。


「業務名称を個人に戻さない。」


「うん。」


「個人情報を業務記録に戻さない。」


「そう。」


「そのための分離。」


「うん。」


女はペンを置いた。


「でも。」


「うん。」


「兄は。」


彼女は少し黙った。


「兄自身は。」


「うん。」


「どこにいる?」


透は答えなかった。


女は画面を見た。


「記録の中には。」


「うん。」


「まだ。」


「そう。」


「兄だと確定できるものがない。」


「そう。」


女は静かに頷いた。


「なら。」


「うん。」


「次に探すのは。」


「何?」


彼女は比較結果の最後の項目を指した。


そこには、


「差異発生理由――別管理」


と表示されていた。


「これ。」


「うん。」


「個人識別情報の有無が違う理由。」


「そう。」


「別管理。」


「うん。」


女は画面を見つめた。


「この『別管理』が。」


「うん。」


「今までずっと出てきた。」


「そう。」


「なら。」


彼女は言った。


「次は、その別管理がどこなのかを見る。」


透は頷いた。


画面には、参照先を示す番号が表示されていた。


「別管理参照先――X―4。」


女はその番号を見た。


「また。」


「うん。」


「X―4。」


透は検索欄を開いた。


「外部連携履歴参照管理。」


「そう。」


「でも。」


女は画面を指した。


「今度は外部連携履歴じゃない。」


「うん。」


「個人識別情報の別管理先として。」


「X―4が使われている。」


透はその記録を開いた。


表示されたのは、


「個人識別情報保管区分――X―4関連管理。」


その下に、


「参照履歴――一件。」


そして、


「参照対象――依頼者情報。」


女は画面を見たまま、しばらく動かなかった。


「ここに。」


「うん。」


「依頼者がいる。」


透は頷いた。


「ただし。」


「うん。」


「まだ名前は見えない。」


「そう。」


画面には、


「氏名――権限制限」


と表示されていた。

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