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嘘の向こう側  作者: 亀


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第一百三十七章 D―41―09

検索結果は、すぐには表示されなかった。


画面の中央で、読み込みを示す表示だけがしばらく回っていた。


女は何も言わずに待った。


やがて、一件だけ結果が表示された。


「D―41―09。」


透が読んだ。


「登録区分――内部連携識別子。」


「内部連携。」


女が繰り返した。


「第七管理系統の内部で使われる番号?」


「そうみたい。」


「登録日は?」


「三年前。」


女が顔を上げた。


「三年前。」


「うん。」


「外部連携方式が変更された時期と近い。」


透は履歴を確認した。


「同じ月。」


「じゃあ、そのときに作られた番号。」


「可能性が高い。」


女は画面を見た。


「用途は?」


透が開く。


「外部から受け取った情報を、内部連携へ切り替える際の識別。」


「つまり。」


「外部入力そのものの番号ではない。」


「うん。」


「内部に取り込んだ後の連携を追うための番号。」


「そう。」


女は少し考えた。


「なら。」


「うん。」


「兄の日に外部から入ってきた情報が、第七管理系統を経由して別の処理へ移った。」


「そういう記録。」


「そして、その経路を識別する番号がD―41―09。」


「うん。」


女は画面をスクロールした。


「使用履歴。」


一件目。


三年前。


二件目。


二年前。


三件目。


一年半前。


四件目。


一年ほど前。


その後、しばらく間が空いていた。


そして、


兄の日。


女は画面を指した。


「ここ。」


「うん。」


「兄の日にも使われている。」


「そう。」


「でも、初めてじゃない。」


「うん。」


女は少し安心したように息を吐いた。


「また同じ。」


「そう。」


「その日だけ作られたものではない。」


「うん。」


「昔からある仕組み。」


「そう。」


彼女は過去の使用履歴を開いた。


三年前の最初の使用。


「外部連携方式変更対応。」


「入力形式――旧形式。」


「変換処理――実施。」


「個人識別情報――一部欠損。」


女が止まった。


「これ。」


「うん。」


「さっきの障害記録とつながる。」


「そう。」


二年前。


「外部照会対応。」


「入力経路――業務窓口。」


「旧名称関連情報――あり。」


「本人一致確認――未実施。」


一年半前。


「所在関連情報。」


「入力経路――連携システム。」


「本人識別――対象外。」


一年ほど前。


「業務名称更新。」


「旧名称参照――あり。」


「個人情報照合――なし。」


女は一つずつ見ていった。


「全部、少しずつ違う。」


「うん。」


「でも、同じ番号を使っている。」


「そう。」


「D―41―09は案件番号じゃない。」


「うん。」


「経路の番号。」


「そう。」


女は頷いた。


「だから。」


「うん。」


「同じ番号だから同じ案件とは限らない。」


「そう。」


「兄の日の記録も。」


「うん。」


「D―41―09だけでは、過去のどの案件とも結びつかない。」


「そのとおり。」


女は画面を閉じかけた。


そこで、透が止めた。


「待って。」


「何?」


「兄の日の詳細。」


「まだある?」


「一つ。」


透は詳細履歴を開いた。


そこには、


「D―41―09――経路確定処理」


とあった。


「処理開始――翌日。」


「終了――同日。」


「確認対象――外部入力。」


「確認方法――連携識別子照合。」


女が読む。


「連携識別子照合。」


「うん。」


「つまり、D―41―09が本当にその外部入力につながっているかを確認した。」


「そう。」


「それで翌日、依頼者区分が変わった。」


「うん。」


「外部から業務連携先へ。」


「そう。」


女は少し考えた。


「じゃあ。」


「うん。」


「昨日の時点では、外部から来たものとして扱っていた。」


「そう。」


「でも翌日。」


「内部連携の経路が確認された。」


「だから分類が変わった。」


「うん。」


女はノートを開いた。


「これは。」


彼女は書きながら言った。


「情報の出所が変わったわけではない。」


「そう。」


「出所の意味づけが変わった。」


透は頷いた。


「外部。」


「うん。」


「業務連携先。」


「うん。」


「同じ情報でも、管理上の位置が変わる。」


「そう。」


女はしばらく黙った。


「それなら。」


「うん。」


「兄の日に関連性が発生したのも分かる。」


「どうして?」


「最初は外部入力。」


「うん。」


「だから、依頼者情報が必要になる。」


「そう。」


「そして、名称と時間と外部連携履歴が一致した。」


「うん。」


「だから関連可能性あり。」


「そう。」


「でも翌日、D―41―09が確認された。」


「うん。」


「外部から来たものではなく。」


「業務連携経路の一部だった。」


「そう。」


「だから関連性が消えた。」


「うん。」


女はペンを止めた。


「でも。」


「うん。」


「ここでも一つ分からない。」


透は黙っている。


「D―41―09が、その入力に割り当てられた理由。」


「そう。」


「誰が割り当てた?」


透は詳細を開いた。


「割当方法――自動生成。」


女は眉を寄せた。


「また自動。」


「うん。」


「生成条件は?」


「第七管理系統の外部連携受付。」


「つまり。」


「その受付を通れば、D―41―09が付く。」


「そう。」


「誰かが特別に選んだわけではない。」


「そう。」


女は少し考えた。


「じゃあ、番号そのものには意思がない。」


「そう。」


「番号が付いたことも。」


「うん。」


「誰かが兄を追った証拠ではない。」


「そう。」


「でも。」


彼女は画面を見た。


「その番号を使って、翌日に経路を確認した。」


「うん。」


「そこには誰かの判断が入っている?」


透は詳細を確認した。


「確認方法は自動判定。」


女は黙った。


「人じゃない。」


「そう。」


「じゃあ。」


彼女は少し笑った。


「また、人を探していたら、人が出てこない。」


透も少しだけ口元を緩めた。


「そういうことになる。」


女は笑わなかった。


「でも。」


「うん。」


「ここまで全部、自動だったとは思わない。」


透が見る。


「どうして?」


「自動処理は、条件が必要。」


「うん。」


「条件を決めた人はいる。」


「そう。」


「だから。」


彼女は画面を指した。


「人が消えたわけじゃない。」


「うん。」


「人が条件の中に移っただけ。」


透は何も言わなかった。


女は続けた。


「誰が設定したか。」


「うん。」


「いつ設定したか。」


「そう。」


「なぜその条件にしたか。」


「うん。」


「そこを見ればいい。」


透はD―41―09の設定履歴を開いた。


「設定管理――M―2。」


女が止まった。


「またM―2。」


「うん。」


「三年前の変更。」


「そう。」


「設定権限――M―2管理権限。」


「うん。」


「担当者は?」


透が画面を開いた。


「権限制限。」


「名前は?」


「非表示。」


「人数。」


「二名。」


女はゆっくり頷いた。


「また二人。」


「そう。」


「でも。」


「うん。」


「ここでは、もう少し違う情報がある。」


「何?」


女が画面を指した。


「設定変更理由。」


透は読む。


「旧外部連携障害への対応。」


女の表情が変わった。


「三年前の障害。」


「そう。」


「個人識別情報が欠損した。」


「うん。」


「それを受けて。」


「D―41―09が作られた。」


「そう。」


女はしばらく画面を見ていた。


「なら。」


「うん。」


「兄の日に使われた番号は。」


彼女はゆっくり言った。


「兄のために作られたものではない。」


「そう。」


「三年前の問題を処理するために作られた仕組み。」


「うん。」


「そして。」


彼女は過去の使用履歴をもう一度見た。


「その仕組みが、何年も後になって。」


「うん。」


「兄の日にも使われた。」


透は頷いた。


女は画面を閉じた。


「それなら。」


「うん。」


「次に見るべきなのは、番号じゃない。」


透が彼女を見る。


「条件。」


「そう。」


「D―41―09を付ける条件。」


「うん。」


「三年前に、誰が何を決めたのか。」


透は設定履歴を保存した。


その下に、まだ開いていない項目が一つ残っていた。


「条件変更履歴――一件。」


登録日は、三年前ではなかった。


一年半前。


女は画面を見つめた。


「変更されている。」


透は、その項目を開いた。

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