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嘘の向こう側  作者: 亀


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第一百二十七章 自動分類条件

「条件定義――旧名称関連外部入力。」


女は、その文字をゆっくり読んだ。


「これ。」


「うん。」


「今まで見てきたものの中で、一番重要かもしれない。」


透は画面を見た。


「まだ分からない。」


「そうだけど。」


女は続けた。


「ここには、外部から入った情報が、どうして『本人に関する情報』として扱われたのかが書いてある。」


「うん。」


「つまり、意味が変わった場所。」


透は詳細を開いた。


最初の項目。


「入力形式――旧名称関連情報。」


次。


「入力元――外部。」


次。


「分類基準――既存名称との一致。」


女が止まった。


「既存名称。」


「うん。」


「何と一致したら?」


透はさらに開いた。


「旧名称索引。」


女は画面を見た。


「旧名称索引と一致したら。」


「自動分類される。」


「本人に関する情報として?」


「そう。」


女は黙った。


「じゃあ。」


「うん。」


「名前が一致しただけで。」


「分類条件を満たす。」


「でも、それは本人確認じゃない。」


「そう。」


女はノートに書いた。


「名称一致→自動分類。」


その下に、


「自動分類→本人確認ではない。」


と書いた。


「これなら、今までの記録が全部つながる。」


「うん。」


「本人一致確認――未実施。」


「そう。」


「でも、本人に関する情報として登録される。」


「うん。」


「矛盾していない。」


「そう。」


女は少し考えた。


「名前が、本人確認の代わりになっているわけじゃない。」


「うん。」


「名前が、分類条件として使われているだけ。」


「そう。」


「だから、名前が間違っていたら。」


「誤分類される可能性がある。」


「同じ名前の別人でも。」


「分類条件を満たす可能性がある。」


「業務名称でも。」


「旧名称索引と一致すれば、同じ条件に入る。」


女は黙った。


「じゃあ。」


「うん。」


「この仕組みでは、名前が人を指すとは限らない。」


「そう。」


「名前が、検索条件になっている。」


「うん。」


女は画面を見た。


「それなら、兄の日に起きたことは。」


透は答えなかった。


女が続ける。


「外部から何かが入った。」


「うん。」


「そこに、旧名称索引と一致する文字列があった。」


「そう。」


「それで自動分類された。」


「そう。」


「本人確認はしていない。」


「うん。」


「だから、それだけでは兄だとは言えない。」


「そう。」


女は少し間を置いた。


「でも、兄に関する情報として分類された可能性は残る。」


透は頷いた。


「その通り。」


女は画面を見た。


「可能性。」


「うん。」


「ここでも、それ以上は言えない。」


「そう。」


しばらく二人は黙っていた。


透が条件の詳細をさらに開く。


「分類条件――一致項目三つ。」


女が見る。


「三つ?」


「名称。」


「うん。」


「業務区分。」


「うん。」


「入力経路。」


女は少し考えた。


「名前だけじゃない。」


「そう。」


「業務区分も。」


「うん。」


「入力経路も。」


「そう。」


女はノートに書いた。


「名称一致」


「業務区分一致」


「入力経路一致」


「三条件。」


透は頷いた。


「三つ全部が一致した場合。」


「本人に関する情報として分類。」


「そう。」


女は画面を見つめた。


「じゃあ、外部入力の業務区分は?」


「所在関連情報。」


「入力経路は?」


「業務窓口。」


「名称は?」


「権限制限。」


女が言った。


「それなら、三条件のうち二つは分かる。」


「うん。」


「名称だけが見えない。」


「そう。」


「だから、ここも最後まで確認できない。」


透は頷いた。


「でも、分類されたという結果がある。」


「そう。」


「なら、条件は満たした。」


「うん。」


女は少し考えた。


「名称そのものを見る必要がある。」


「そう。」


「でも、今の権限では見えない。」


「うん。」


「誰なら見られる?」


透は権限定義を開いた。


「X―4。」


女が顔を上げた。


「またX―4。」


「うん。」


「外部連携履歴。」


「そう。」


「入力内容。」


「そう。」


「名称。」


「うん。」


女は少し黙った。


「じゃあ、X―4は外部との境界を見るための権限。」


「そう。」


「M―2は内部の旧記録を見る。」


「うん。」


「X―4は外部入力と伝達を見る。」


「そう。」


女は整理するように言った。


「M―2――内部旧記録。」


「うん。」


「X―4――外部連携。」


「そう。」


「そして両方が同じ名称を扱っている。」


「うん。」


女は画面を見た。


「だから、M―2だけ追っても外部が分からない。」


「そう。」


「X―4だけ追っても、昔の名称がどこから来たか分からない。」


「うん。」


「二つを合わせる必要がある。」


透は頷いた。


「その通り。」


女はX―4の参照履歴へ戻った。


「じゃあ、X―4の二人。」


「うん。」


「誰がこの条件を設定したかは?」


「別記録。」


「開く。」


透は条件設定履歴を開いた。


「設定者区分――X―4管理者。」


「個人名――権限制限。」


女は苦笑した。


「また役割。」


「うん。」


「X―4を持っている人とは限らない。」


「そう。」


「X―4を管理する人。」


「うん。」


「じゃあ、三人の権限者の誰かとは限らない。」


「そう。」


女は少し黙った。


「また、個人を追えなくなった。」


透は答えた。


「追う必要がないところまで、役割が分かれている。」


「でも。」


女は画面を見た。


「その方が、この記録には合っている。」


「どういう意味?」


「誰か一人が全部をやった記録になっていない。」


「うん。」


「旧記録を見る人。」


「M―2。」


「外部連携を見る人。」


「X―4。」


「条件を管理する人。」


「X―4管理者。」


「分類を実行する仕組み。」


「自動処理。」


女は一つずつ指で数えた。


「仕事が分かれている。」


「そう。」


「だから、一人を見つけても全体は分からない。」


「うん。」


女はしばらく黙った。


「それなら、兄の日の処理をした人を探すより。」


「うん。」


「どの処理がどの役割を通ったかを見る方がいい。」


透は頷いた。


「今は、その方が正確。」


女はノートに新しい線を引いた。


「外部」


↓


「X―4」


↓


「自動分類」


↓


「S―系統」


↓


「C―12」


そして左側に、


「M―2」


と書いた。


「M―2はどこ?」


「旧名称検索。」


「つまり。」


女は線を追加した。


「X―4から入った情報が、M―2の旧記録と照合される。」


「そう。」


「それで名称一致。」


「うん。」


「その結果、自動分類。」


「そう。」


女は画面を見た。


「この構造。」


「うん。」


「誰かが兄を探したから成立した処理ではなくても。」


「そう。」


「兄の情報がこの処理に入る可能性はある。」


「うん。」


「つまり。」


女は慎重に言った。


「仕組みと、個別事案は分けて考えなければいけない。」


透は頷いた。


「その通り。」


「仕組みが存在した。」


「うん。」


「兄の日に使われた。」


「うん。」


「でも、それが兄のために作られたとは限らない。」


「そう。」


「兄がそこに入った可能性は残る。」


「うん。」


「でも、兄だと確認されたわけではない。」


「そう。」


女はノートを閉じた。


「この三つを混ぜない。」


「うん。」


そのとき、画面の下に小さな表示が出た。


「自動分類後――再確認処理あり。」


女が顔を上げた。


「再確認?」


透は開いた。


そこには、


「再確認目的――分類結果妥当性確認」


「確認方法――旧記録照合」


「本人一致確認――実施せず」


とあった。


女はしばらく黙った。


「また旧記録。」


「うん。」


「分類した後も、旧記録を見る。」


「そう。」


「でも、本人は確認しない。」


「うん。」


女は眉を寄せた。


「じゃあ、何を確認した?」


透は最後の項目を読む。


「名称使用区分。」


女は目を閉じた。


「また名前。」


「うん。」


「分類した。」


「そう。」


「その分類が正しいか確認した。」


「うん。」


「でも、確認したのは人ではなく。」


「名称の使われ方。」


女はゆっくり目を開いた。


「つまり、この日の処理は最初から最後まで。」


透を見る。


「人を確認していない。」


透は答えた。


「少なくとも、記録上は。」


女は画面に戻った。


そして、再確認処理の日時を見た。


「この再確認。」


「うん。」


「兄の日の翌日。」


透も画面を見る。


「翌日。」


「しかも。」


女の声が少し低くなった。


「旧名称使用区分の再確認結果が、別の記録に通知されている。」


「どこへ?」


透は通知先を開いた。


そこには、


「通知先――P―4」


と表示されていた。

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