第五章 九月下旬~十一月中旬 5
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ラウンジスリーは、新宿二丁目にあった。
当日、春夫と冴子と明美は、午後六時に新宿東口の出口近くで待ち合わせた。
階段を上がり周りを見渡していると「ハルくーん」という明美の声が彼を呼んだ。長袖の萌黄色のセーターにピンクのフレアースカート姿の明美の姿が五メートル程先にあった。
「シャツだけで、寒くないの?」
「ちょっと涼しい」
春夫は、答える。
昼間、買い物に出た時に暑さを感じたのでジャケットを着ることなしで部屋を出たのだが、「夕方から夜にかけて急に気温が下がります」という朝の天気予報を新宿駅のホームに立った時に思い出した。
「風邪ひかないでね。冴子ちゃんは横浜から直接?」
「そう。ばっちり決めて来たね、メイク」
春夫は、言った。
明らかにメイクは会社で見るより濃いめであった。くるんを巻いたつけまつげが目元をパッチリを演出している。
「メイクだけじゃないわよ。ネイルも決めて来たわよ」
明美は手の甲を春夫にかざした。十本の指に大胆な幾何学模様の、ネイルチップがほどこされていた。
「すげえ、お店にこれ付けて出ていたの?」
「たまにね」
明美が答えた時、「こんばんは」と冴子がやって来た。クリーム色のセーターにライトブラウンのジャケットにパンツ。つけまつげやネイルチップこそつけてないものの夜の時間帯を意識したメイクをしている。
「お久しぶり。元気そうね」
「元気ですよう」
「おいしい亭、父危篤とか使ったの?」
「使いません。今日はお招き預かりましてありがとうございます」
「そんなに感謝しないで。こっちも頼むことあるから、ご招待したんだから」
「えっ、やっぱり裏があったのか」
春夫が言い、冴子と視線を合わせた。
「裏、嫌な言葉ね。大したことない頼みごとよ。ラウンジスリーでもお食事出来るけど、私が、贔屓にしていたとこに付き合ってくれる?」
もちろん、ふたりともオーケーである。
「貝は大丈夫よね。生じゃなくて熱を通したものだけど」
「大丈夫」
「私も」
「じゃあ、ちょっと待ってね」
明美は携帯を取り出した。




