第四章 八月上旬~九月中旬 36
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春夫が明美と互いの夏休みについて話し合ったのは、その夜だった。実家で過ごした夏休みについて聞こうかな、と思っているところに明美の方から連絡をして来たのだった。
「ハル君の話題から始めようね。いろいろバッチリの話を聞かせてよ」
「いいですよう。冴子と特別の仲になったよ」
「やったわね。どんな風にそこに至ったか教えて頂戴」
「話せる範囲で、だよ。それから、今後、彼女と会うことがあるかも知れないから言っておくけど、間違っても僕から聞いたなんて言ったら駄目だからね」
「あたり前でしょう。そんな野暮なことしません」
「じゃあ」
春夫は、冴子の名古屋の大学院の女友達が中学生の時、絵を習っていた先生の夫との個展に行ったことから手短に話し始めた。
「ステンレスアートの川上達夫さん見た時、西野さんが頭をよぎった」
「私が?」
「筋肉がたくましいんだよ。髭を生やして精悍さもあってさ」
「髭、どんな風に?」
「顎の下全体」
「アアー、顎の下全体に髭ねえ。ちょっと、タイプと違うかな。ちょび髭だったらセーフだけど。それより、冴子ちゃんとのセックスの話続けてよ」
明美は、催促して来る。
セックスの話、だなんて露骨だろう、と思いながら、春夫は話を続けた。
「ラーメン店でふたりして味噌ラーメン食べて、日本橋の駅近くの立ち飲みバーに寄って、ちょこっとアルコールを入れて鶯谷のラブホテルで、――した」
「フムフム。立ち飲みバーがポイントだったわね。お酒無理やり勧めたんじゃないの?」
「しないよ。ラーメン店から直行でも鶯谷駅で素直におりたと思うよ」
「そうかしら。まあいいわ。とに角、鶯谷のラブホテルに入って、ふたりで乱れに乱れたわけね。そこの所を詳細に聞きたいわ」
「言うわけないでしょう」
春夫は言った。本当は、明美とこれについて話すことがあれば、「おっぱいがお椀型で揉んで時、ああ、マシュマロなんて思ったとか挿れる時、久しぶりで内心心配だったけど、スムーズに入ってほっとした」とか、言おうと思っていたが、全てキャンセルにしていた。




