第四章 八月上旬~九月中旬 24
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「決まってる。明美さんってニューハーフクラブに勤めていたんですよね」
「そう。ハル君から聞いてるでしょ、私のいろいろを」
「いろいろかどうかは分からないけど、ある程度は聞いています。なんていうお店ですか?」
「教えないんだよね。名前位教えてくれてもいいじゃない」
「うーん、冴子ちゃんに会えた記念に言っちゃおうかな」
明美が、これまで秘密にしていた店の名前を言ってもいい、と言った。この機会を逃す手はない。
「言っちゃえ、言っちゃえ」
春夫は焚きつけた。
「ラウンジスリー、っていうお店」
「ええ、やっぱり、ラウンジスリーだったのか。佐野店長の言葉が正しかったわけだ」
「えっ、佐野店長って」
「上野にあるパピル東京上野店っていう名前のバラエティーショップ。うちの商品少しだけど置いてくれてる店舗なんだけさ。西野さんがお気に入りでニューハーフクラブをネットで検索して、西野さんらしき人が踊っている画像を見つけて印刷までしてた。あの時、懸命に否定してたよね。焦った?」
「突然胸のポケットから出すんだもの、動揺したわよ」
明美は、笑った。
「ということは、佐野店長が印刷した画像は、西野さんだったわけ?」
「あれは、違う。誰々ね、ってピンと来たけどね。ホームページも作り変えていると思うわよ、全然、見ないから分からないけど」
「私、一度、行ってみたい。ニューハーフクラブって。ショーもやって、明美さんが、センターだったって、佐伯君から聞いてます。連れてってくれません?」
「ラウンジスリー以外だったら、考えてもいい」
「何でラウンジスリーじゃいけないわけ?」
「何でも。ねえ、冴子ちゃん、お昼食べて来たの?」
「新幹線のなかでサンドイッチ食べた。でも、ケーキか何か食べたい気分」
「だったら、私おごるわ。近くにケーキ屋さんある?」
「いいんですか?ごちそうさま」
冴子は、遠慮しない。今度は、春夫も遠慮しなかった。歩いて五分とかからないグルメ雑誌にも掲載されたことがあるケーキ屋さんの場所を明美に教えたのだった。




